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第68話「全員、何か、異常があったのでは?と、心配して来てくれたようだ」
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「論より証拠。やってみようか」
ローラン様はそう言い、何の変哲もないこん棒から、
岩へ向かい、風弾を撃つ事を命じた。
しかし、改めて感じた。
そう言われても、やはり俺は半信半疑だったから。
いくらローラン様でも所詮は人間、神様ではない。
神様は絶対に失敗しないが、人間は失敗する生き物。
すなわち、ローラン様でも失敗する……万にひとつ、間違いはある、
というロジックが成り立つ。
一方、俺はここで失敗しても、失うものは何もない。
強いて言うなら、単に持ち上げられた期待値が下がるだけ、つまり落胆するだけだ。
メンタルには、多少ダメージを受けるが。
そもそも騎士見習いの俺が、魔法も使える魔法剣士になれるんて、
全くの夢物語だもの。
という事で、割り切った俺は無理やり、愛用のこん棒を、
魔法杖なのだと思い込む事にした。
腰から提げたままとなっている魔法杖を一瞥し、集中! 集中!と言いながら、
訓練、実戦と俺は風弾を撃ったイメージを心に描く。
「ふう」と息を吐き、こん棒を思い切り突き出す。
「風弾!」
うお!
恥ずかし~!
つい、必殺技みたいに、声に出てしまった。
でも、恥ずかしがっている場合ではなかった。
何と何と何と! 奇跡が起こったのだ。
ぱうっ!と情けない音がして、こん棒からは、弱っちい大気の塊が発射。
ひゅ~と飛行音を立てて岩へ向かって飛び、
ぱちん!と、岩へぶつかり、これまた情けなく四散したのだ。
風弾を撃った瞬間は大いに感動した。
感動の嵐と言っても過言ではない。
おお! すっげえ!!!
風弾、撃てたああ!!!
しっかし、すぐにダダ下がり、どよ~んと落胆も来た。
ど素人がいきなり風弾を撃てただけでも凄すぎるのに、人間ってすぐ欲が出る。
こんな弱っちい風弾じゃあ、敵を倒すどころかダメージが限りなくゼロ。
何の威力もないし、陽動にさえ使えない。
がっくりしてしまう。
あ~あ、残念すぎる!
これじゃあ、まるで子供だましのおもちゃだ。
そんな気持ちが顔に出ていたのだろう。
「ははははははははは!!!」
ローラン様に思い切り、大笑いされてしまった。
なので、畏れ多くもむかっと来て、つい言ってしまう。
「ローラン様!」
「はははは、怖い顔して何だい? エルヴェ君」
「失礼な物言いで申し訳ありませんが、そんなに笑わないでください。風弾を撃てたのは嬉しいのですが、これでは全く使えませんよ」
「ははは、まあそうだろうな」
「ええっと、まあそうだろうなって……」
「ああ、エルヴェ君の言う通り、これでは所詮、生活魔法レベルのそよ風、せいぜい洗濯物を乾かすのが関の山さ」
ときっぱり言い切り、ローラン様は更に言う。
「人間というのは、ひとつの目標を達成すると、すぐ欲が出るものだ。とりあえず、いきなり無詠唱で、風弾を撃てた事を素直に喜びなさい」
「わ、分かりました! 確かにローラン様がおっしゃる通りです」
いきなり無詠唱で、風弾を撃てた事を素直に喜びなさい。
ローラン様から、正論を言われてハッとした。
上を上をと目指すあまり、俺みたいな魔法の訓練などした事のないど素人が、
いきなり魔法を使えた……
それも言霊、呪文を唱えない、無詠唱で行使出来た事を忘れていた。
「千里の道も一歩よりだ。これから、更に上を上を目指せば良い。魔法の威力だけでなく、使える魔法の範疇もどんどん増える」
笑顔を抑え、真顔に戻ったローラン様は、
またも、きっぱりと言い切ってくれたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
1回風弾を撃って、コツをつかんだというか、
毎回、深呼吸をし、こん棒を構え風弾を撃つ事を俺は続けた。
のべ回数で100回くらい撃っただろうか、
すると、すると、ローラン様のおっしゃった通り、
千里の道も一歩よりをまさに地で行った。
風弾の威力、命中率などが、ぐんぐん上がりまくり、
自在に制御出来るようになって来たのだ。
終いには、構えたと同時に、
しゅばっ!と放ち、き~んと凄まじい音をたてた大気の塊は、
標的にした岩のど真ん中へ見事に命中した。
どっがああああんんん!!!
すっげえ!!!
岩が木っ端みじんだ!!!
これなら使える!!!
ゴブリン、オークは粉々だろうし、オーガやそれ以上の魔物にも、
大きなダメージを与えられるだろう。
更に威力は上げられるし、これだけ撃っても体内魔力の消費もさほどではない。
まだまだ余裕がある。
魔導ポーションで補填すれば、もっと撃てるだろうし。
今度こそ、遠慮なく感動しても構わないだろう。
「い、やったああああ!!!!!」
岩を破砕した大きな音、そして俺のつんざくような叫び声が聞こえたのだろう。
しばらくすると……
少し離れた場所で訓練を行っていた、
セレスさん、クリスさん、シャルロットさん、
バスチアンさん、フェルナンさん、クランメンバーが、
「どうしたあ!?」
「何があったあ!?」
「エルく~ん!! 大丈夫うう!?」
と、呼びかけながら、駆けつけて来た。
全員、何か、異常があったのでは?と、心配して来てくれたようだ。
しかし、何事もなく、満足げに頷くローラン様と、歓喜に打ち震える俺が立っているのを見て、ホッと安堵したらしい。
安堵した後、ローラン様と俺から事情を聞き、状況を知ったメンバーたちは、
俺へ「おめでとう! 良かったね!」と祝福の言葉を述べてくれたのである。
ローラン様はそう言い、何の変哲もないこん棒から、
岩へ向かい、風弾を撃つ事を命じた。
しかし、改めて感じた。
そう言われても、やはり俺は半信半疑だったから。
いくらローラン様でも所詮は人間、神様ではない。
神様は絶対に失敗しないが、人間は失敗する生き物。
すなわち、ローラン様でも失敗する……万にひとつ、間違いはある、
というロジックが成り立つ。
一方、俺はここで失敗しても、失うものは何もない。
強いて言うなら、単に持ち上げられた期待値が下がるだけ、つまり落胆するだけだ。
メンタルには、多少ダメージを受けるが。
そもそも騎士見習いの俺が、魔法も使える魔法剣士になれるんて、
全くの夢物語だもの。
という事で、割り切った俺は無理やり、愛用のこん棒を、
魔法杖なのだと思い込む事にした。
腰から提げたままとなっている魔法杖を一瞥し、集中! 集中!と言いながら、
訓練、実戦と俺は風弾を撃ったイメージを心に描く。
「ふう」と息を吐き、こん棒を思い切り突き出す。
「風弾!」
うお!
恥ずかし~!
つい、必殺技みたいに、声に出てしまった。
でも、恥ずかしがっている場合ではなかった。
何と何と何と! 奇跡が起こったのだ。
ぱうっ!と情けない音がして、こん棒からは、弱っちい大気の塊が発射。
ひゅ~と飛行音を立てて岩へ向かって飛び、
ぱちん!と、岩へぶつかり、これまた情けなく四散したのだ。
風弾を撃った瞬間は大いに感動した。
感動の嵐と言っても過言ではない。
おお! すっげえ!!!
風弾、撃てたああ!!!
しっかし、すぐにダダ下がり、どよ~んと落胆も来た。
ど素人がいきなり風弾を撃てただけでも凄すぎるのに、人間ってすぐ欲が出る。
こんな弱っちい風弾じゃあ、敵を倒すどころかダメージが限りなくゼロ。
何の威力もないし、陽動にさえ使えない。
がっくりしてしまう。
あ~あ、残念すぎる!
これじゃあ、まるで子供だましのおもちゃだ。
そんな気持ちが顔に出ていたのだろう。
「ははははははははは!!!」
ローラン様に思い切り、大笑いされてしまった。
なので、畏れ多くもむかっと来て、つい言ってしまう。
「ローラン様!」
「はははは、怖い顔して何だい? エルヴェ君」
「失礼な物言いで申し訳ありませんが、そんなに笑わないでください。風弾を撃てたのは嬉しいのですが、これでは全く使えませんよ」
「ははは、まあそうだろうな」
「ええっと、まあそうだろうなって……」
「ああ、エルヴェ君の言う通り、これでは所詮、生活魔法レベルのそよ風、せいぜい洗濯物を乾かすのが関の山さ」
ときっぱり言い切り、ローラン様は更に言う。
「人間というのは、ひとつの目標を達成すると、すぐ欲が出るものだ。とりあえず、いきなり無詠唱で、風弾を撃てた事を素直に喜びなさい」
「わ、分かりました! 確かにローラン様がおっしゃる通りです」
いきなり無詠唱で、風弾を撃てた事を素直に喜びなさい。
ローラン様から、正論を言われてハッとした。
上を上をと目指すあまり、俺みたいな魔法の訓練などした事のないど素人が、
いきなり魔法を使えた……
それも言霊、呪文を唱えない、無詠唱で行使出来た事を忘れていた。
「千里の道も一歩よりだ。これから、更に上を上を目指せば良い。魔法の威力だけでなく、使える魔法の範疇もどんどん増える」
笑顔を抑え、真顔に戻ったローラン様は、
またも、きっぱりと言い切ってくれたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
1回風弾を撃って、コツをつかんだというか、
毎回、深呼吸をし、こん棒を構え風弾を撃つ事を俺は続けた。
のべ回数で100回くらい撃っただろうか、
すると、すると、ローラン様のおっしゃった通り、
千里の道も一歩よりをまさに地で行った。
風弾の威力、命中率などが、ぐんぐん上がりまくり、
自在に制御出来るようになって来たのだ。
終いには、構えたと同時に、
しゅばっ!と放ち、き~んと凄まじい音をたてた大気の塊は、
標的にした岩のど真ん中へ見事に命中した。
どっがああああんんん!!!
すっげえ!!!
岩が木っ端みじんだ!!!
これなら使える!!!
ゴブリン、オークは粉々だろうし、オーガやそれ以上の魔物にも、
大きなダメージを与えられるだろう。
更に威力は上げられるし、これだけ撃っても体内魔力の消費もさほどではない。
まだまだ余裕がある。
魔導ポーションで補填すれば、もっと撃てるだろうし。
今度こそ、遠慮なく感動しても構わないだろう。
「い、やったああああ!!!!!」
岩を破砕した大きな音、そして俺のつんざくような叫び声が聞こえたのだろう。
しばらくすると……
少し離れた場所で訓練を行っていた、
セレスさん、クリスさん、シャルロットさん、
バスチアンさん、フェルナンさん、クランメンバーが、
「どうしたあ!?」
「何があったあ!?」
「エルく~ん!! 大丈夫うう!?」
と、呼びかけながら、駆けつけて来た。
全員、何か、異常があったのでは?と、心配して来てくれたようだ。
しかし、何事もなく、満足げに頷くローラン様と、歓喜に打ち震える俺が立っているのを見て、ホッと安堵したらしい。
安堵した後、ローラン様と俺から事情を聞き、状況を知ったメンバーたちは、
俺へ「おめでとう! 良かったね!」と祝福の言葉を述べてくれたのである。
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