冒険者クラン新人選択希望会議でドラフト1位指名された無名最底辺の俺が、最強への道を歩みだす話!

東導 号

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第77話「あ、ついふたりの世界へ入って、フェルナンさんの存在を完全に忘れてたぞ」

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にっこにこのセレスさんの少し後方、
俺を凝視するシャルロットさんは、とても不安そうな視線を送っていた。

誤解だ、『彼女』のお前しか見ないと、シャルロットさんへ、はっきり言いたい。

こういう時、どうしたらいいのか?

……実は俺、昨夜ず~っと考えていた。

なので、現在のこの状況は想定内だ。

昨夜、考えながら思い出していた。
……以前読んだ小説のくだりで、
「私と仕事、どちらが大事?」と恋人から問われるケースがあったと。

もしかしたら、恋人、仕事を他の何かに置き換え、
聞かれた経験のある人も居るかもしれないが。

恋人と仕事。

ある意味、究極の選択と言えなくもない。
生きる為には仕事をして働かないといけない、じゃないと生活が成り立たない。

だけど……恋人や家族の愛が無くては、生活に潤いがないと思う。

どちらが欠けても、こころざしが、生きて行く張り合いが生まれないから、
人生のやりがいも見いだしにくい……という念の為、俺、個人の感想。

確かにひとりは自由だし、気楽だ。
それは間違いない。

わずらわしい騎士爵家の実家から解放というか、追放され、
宿屋でひとり、きままな冒険者稼業で暮らしていたら、俺は強くそう思った。

しかし、心配性の俺は想像した。

ひとりで暮らしていて、健康かつ生活に不安がない時はまだ良い。

でも……年を取った時、ふと人生を振り返ったり、
万が一病気になって難儀した時など、実感するに違いないと。

ぼっちの孤独は寂しい。
支えがない、もしくはなかった人生は辛すぎるのではと。

結論!
心の底から自分を愛し、「貴方へ寄り添って生きて行きたい」という人が居たら、
絶対にその手を離してはいけない!

その関係を本当に大事にすべきだと思う。

話を戻そう。

この小説を読んだ当時、究極の選択だと思ったのだが、
結局、主人公は態度を曖昧あいまいにした。

つまり、どっちつかず。
でもでもだっての、ぐだぐだ状態のバッドエンドになってしまった。

これは救いようがない悪手、大失敗に陥るパターン。

まずコミュニケーションの欠如は致命傷。
俺に関して言えば、
言わなくても分かっていたよね? とシャルロットさんへ、
後出しじゃんけんで告げるのは、愚の骨頂、地獄への入口直行便。

だから考え抜いた末、答えは出ている。

言葉に出し、態度を明確にする事が賢明なのである。

そう!
「どちらも大事だ」と双方へアピールし、はっきりと内容を、
差別ではなく、『区別』するのだ。

では区別とは、具体的にどうするのか?

引き出された気になる答えは、上司で先輩のセレスさんには『礼』を尽くし、
恋人で彼女のシャルロットさんには、『愛情』を示す。

「セレスさん、本日はご指導よろしくお願い致します」

シャルロットさんへも聞こえるよう声を張り上げた俺は、
セレスさんへ深くお辞儀をすると、クリスさんの下へも駈け寄る。

「おはようございます! クリスさん、本日はご指導よろしくお願い致します」

こちらでも深くお辞儀をし、俺は周囲を見渡す。

「指導役の方々、新人3人でいつもの通り、朝食の準備をして構いませんか?」

対して、

「ああ、エルヴェ君、3人で食事の支度をしてくれたまえ」

笑顔のローラン様へ命じられ、俺は「はい!」と元気よく返事をし、ダッシュ。

呆然としていた、シャルロットさんの手を取ったのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

俺に手を取られたシャルロットさんは、ハッと我に返った。

「エ、エル君……」

「シャルロット! さあ、行こうぜ! いつものように、予備棟ロッジで朝めしの支度をしよう」

「う、うん」

「彼女のお前と一緒に支度をするのは楽しいからさ」

「え? 彼女のお前?」

ぽかんとするシャルロットさん。

どうやら、いろいろな想いが混在し、気持ちが、どこかへ飛んでいるようだ。

「おいおいおい、大丈夫か? 冒険者で魔法使いのシャルロット・ブランシュは、俺冒険者エルヴェ・アルノーの彼女さんだろ?」

ここでようやく、シャルロットさんは通常運転へ戻る。

「私がエル君の彼女……そう! そうよ! 間違いナッシング! それは何があっても変わらない絶対不変の事なんだから!」

きっぱりと言い切り、俺へ向かって、にこにこ顔のシャルロットさん。

おお、いつもの強気で可愛いシャルロットへ戻った。

うんうん!
こんなの面倒だと、横着してはいけない。
誤解が生じている時は、その都度、こういう事実確認が必要なんだ……と思う。

……そういえば、どこかのイケメンが、
「女子には、まめさが必要なんだ」って言ってたな。

恋愛超初心者の俺には全く縁がない話だから、気にも留めなかったけど。
改めて実感したよ。

ということで、俺はシャルロットさんの手をきゅ!と優しく握り、再び言う。

「さあ、シャルロット、行こう、予備棟に」

「うんうん! 行こう!」

よし!
いつもの通り、打てば響くようになった。

あれ?
ジト目の視線を感じる。

視線の方向を、チラ見すると、フェルナンさんだった。

朝から勘弁してくれと、うんざりしたような顔をしていた。

あ、ついふたりの世界へ入って、フェルナンさんの存在を完全に忘れてたぞ。

「ええっと……フェルナンさんも一緒に行きましょうね」

そんな俺の言葉を聞き、

「はあ~。まあ、仕方ない。けど、頼むから、シャルロットさんのついでみたいに、言わんでくれよ」

と、フェルナンさんはため息をついて脱力し、苦笑したのである。
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