冒険者クラン新人選択希望会議でドラフト1位指名された無名最底辺の俺が、最強への道を歩みだす話!

東導 号

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第86話「でも、良いよ、開き直る。 すぐ気持ちが、心が軽くなった」

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緊張が解けたのか、にっこり笑ったシャルロットさんは、
攻撃魔法『火弾』をガンガン撃ちまくった。

そのまま俺もじ~っと観察を続ける。
心の中で、火属性魔法発動のイメージが作られて行く……

既に俺は、風属性、水属性、葬送魔法、回復魔法を習得しているが、
何というのか……コツをつかんでしまったようである。

そうなると、もっと様々な魔法を習得しようと、気持ちが貪欲になる。
否、向学心に燃えて来ると言おう。

さてさて、100発ほど火弾を撃ったであろうか……

シャルロットさんが、「はい」と手を挙げた。

「ごめんなさい、セレスさん。申し訳ありませんが、魔力ポーションを頂けますか」

魔力ポーションを所望とは、魔力切れ……
すなわち魔力枯渇になる前に少し余裕をもって申請って事か?

そうか、成る程。
シャルロットさんの体内魔力キャパは、火弾約100発分プラスアルファなんだ。

メンバーの体内魔力限界を把握しておくのは、大事である。

「うふふ♡ 了解! エルヴェ君、これ、お願い!」

「分かりました!」

俺は笑顔のセレスさんから魔力ポーションを受け取り、小走りで駆け、
シャルロットさんへ渡した。

「ありがと♡ エル君♡」

嬉しそうに、にっこり笑ったシャルロットさんは、魔力ポーションを受け取ると、
しゅぽっと栓を抜き、可憐なポーズで、こくこくこくっと飲んだ。

あはは、何だか、我が彼女ながら可愛いな。
いや、どんなポーズをしても、愛する彼女は可愛いのか。

と恋愛初心者の俺が勝手に萌えていると、シャルロットさんは、
ポーションをあっという間に飲み干した。

笑顔で空き瓶を渡して来る。

「うふふふ♡ 魔力満タン。エル君、空瓶よろしくう!」

「了解!」

空瓶を受け取り、ささっと俺は後方へ。

クリスさんがゴミ用のズタ袋をくれたので、魔力ポーションの空き瓶を放り込む。

ローラン様から、魔法変更の指示が出ない。
多分、俺にじっくり観察させる為だろう。

なので、シャルロットさんは、火弾の行使を再開する。

約30秒間、言霊を詠唱した後に、決めの言霊を言い放つ。

「火弾!」

しゅばっ!

「火弾!」「火弾!」

しゅばっ! しゅばっ!

「火弾!」「火弾!」「火弾!」

しゅばっ! しゅばっ! しゅばっ!

5発放たれたシャルロットさんの火弾……

そんなにごつい感じではない。
俺の拳よりもやや大きい、綺麗なオレンジ色の火球が、何もない空間から現れ……
次々と標的の岩へ向かい、飛んで行く。

ぼ、しゅっ! ぼ、しゅっ! ぼ、しゅっ! ぼ、しゅっ! ぼ、しゅっ!

おお、見事だ! 全てが命中!
さすが! 才色兼備の我が彼女!

シャルロットさんの腕前に感心した瞬間!

何となく……分かる。
手ごたえがある!

もうすぐ、火弾のイメージが完全に構築出来そうだ。

俺は更に『観察』を続けたのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

それから更に、シャルロットさんは、火弾を100発ほど撃った。

命中率、発動の円滑さは一層増していた。

ここでローラン様は言う。

笑顔で手を軽く挙げていた。

「よし! ストップ! 合格だぞ、見事だな、シャルロット君」

「あ、ありがとうございます!」

「ふむ、では次の魔法へ移行する前に、エルヴェ君の火弾習得を確認しておこうか」

「はい、分かりました、エル君が火弾を発動するのですね」

え?
俺、手ごたえは感じたけど、まだ1発も火弾を撃っていない。

それなのにローラン様、習得を言い切ってしまった。

すんごいプレッシャーだ。

でも、良いよ、開き直る。
すぐ気持ちが、心が軽くなった。

行使できなくても当たり前。

不合格となり、グランシャリオに正式採用されずとも、
俺は違うクランでも、否、俺自身がクランを率いてもやっていける。

もしシャルロットさんが一緒なら、なおベストだけどな。

「という事で、エルヴェ君、準備はどうだ?」

「はい、問題ありません。ローラン様。エルヴェ・アルノー、火弾発動……行きます!」

俺がきっぱり宣言すると、ローラン様は、満足そうに微笑み、背中を押してくれる。

「うむ! エルヴェ君! 存分に行使するが良い!」

大きく頷いた俺は、シャルロットさんから少し離れた横にたった。

ここから見える、巨大な岩を標的にするのだ。

す~は~、す~は~、す~は~、

改めて呼吸法を使う。

と言っても自己流の深呼吸だけど。

速攻で精神が集中、均衡化し、体内魔力が活性化、みなぎって来る。

うん!
心の中に先ほどの火球がイメージされる。
シャルロットさんが、異界から呼び出した綺麗なオレンジ色の火球だ。

……大きさは、直径1mくらいにしておくか!

俺はゆっくりと両手を挙げ、標的とした巨大岩を狙って構える。

言霊は不要、無詠唱の発動だ。

心の中で念じる。

現れよ、火弾!

その瞬間!

俺の両手からそれぞれ火球が出現。
イメージ通りに直径1m。
5発連射×2で行く!

行け!
火弾よ!
敵を焼き尽くせ!

そう俺が命じたと同時に、浮かんだ火球は次々と現れ、連続発射!

しゅばっ! しゅばっ! しゅばっ! しゅばっ! しゅばっ! 
しゅばっ! しゅばっ! しゅばっ! しゅばっ! しゅばっ! 

ぼ、しゅっ! ぼ、しゅっ! ぼ、しゅっ! ぼ、しゅっ! ぼ、しゅっ!
ぼ、しゅっ! ぼ、しゅっ! ぼ、しゅっ! ぼ、しゅっ! ぼ、しゅっ!

勢いよく放たれた計10発の火球は、標的とした大岩のど真ん中へ、
見事に命中していたのである。
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