冒険者クラン新人選択希望会議でドラフト1位指名された無名最底辺の俺が、最強への道を歩みだす話!

東導 号

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第85話「成る程、思う存分、遠慮なく撃ちまくれって事か」

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新人3人の連携プレーも上手く行き、ローラン様以下4人からは、
合格点を出して貰った。

そして翌日も、それ以降も……基礎訓練&連携プレー中心の訓練を行い……
結局、俺たちの10日間研修は1日繰り上げての9日間で終了となった。

何故10日間、フルで行わなかったのか?
これには理由がある。

ここまで研修が行われていたのは、王国が管理する、
火気厳禁のヴィクトワール訓練場だ。

この訓練場は、王国のルールにより、場内で火が使えない。

つまりクランメンバーで俺の彼女でもある魔法使いのシャルロットさんは、
得意とする火属性の魔法が使えないのだ。

研修において、自分の得意とする魔法が使えない、というのは、
シャルロットさんにとって重すぎるハンディキャップである。
何せ、一番評価して貰える部分が見せる事さえ出来ないのだから。 

それゆえローラン様はシャルロットさんへ、
「君の実力を披露する機会を必ず与える」と約束していたのだ。

という事で、その約束を果たす為、10日目の早朝、
俺たちはヴィクトワール訓練場のロッジを引き払い、
2台の馬車で、とある原野へ向かった……

ヴィクトワール訓練場の中にも良く似た地形はあったが……
この原野は、荒地、砂地、大きな岩が混在した人間が住まぬ不毛の地である。
広さも相当なものであり、シャルロットさんが火属性魔法をガンガン使っても、
全く支障がない。

原野へ到着し、俺たちが馬車から降りると、ローラン様以下から指示が出された。

まずは班分け。

ローラン様、セレスさん、クリスさんに、俺とシャルロットさんで一組。

バスチアンさんは、フェルナンさんで一組。
このふたりで、馬車の番をしながら、剣技、格闘技の訓練を行う事に。

じゃあ俺たち5人は、どうするのかといえば、馬車から少し離れた場所へ移動。
だだっ広く開けて、大中小の岩が点在する場所へ。

ここで、ローラン様以下3人が見守る中、シャルロットさんは、
得意な火属性魔法を行使する。

少し離れた岩々を標的にして、攻撃魔法を行使し、評価して貰うのだ。

ひと通り攻撃魔法を撃ったら、防御魔法である火壁も行使する。

遂に披露出来る自分の十八番おはこたる火属性魔法。

いよいよ自分の本領が発揮出来るとあって、
シャルロットさんに凄く気合が入ったのは言うまでもない。

俺はといえば、シャルロットさんの火属性魔法行使をひたすら見守る事に。

そう、皆さんにはもうお分かりだろう。

いつもの訓練方法通りである。

俺はシャルロットさんの火属性魔法をじっと凝視、観察する。
心の中でイメージトレーニングをする。

そして実践。
実際に発動する事で、習得を目指す。

試射が成功したら、何回も反復する。

すなわち、風、水、火、3つの属性魔法を習得した、この世界でも希少価値のある、
複数属性魔法使用者マルチプルになる為の訓練だともいえよう。

そうなったら、俺の本契約は確定リーチ。

更に全属性魔法使用者を目指して!と夢は大きく広がる。

さてさて!

俺とシャルロットさんは、各々が呼吸法を使い、
精神を集中しつつ、均衡化。
体内魔力も活性化した。

頃合いと見たのだろう、ローラン様が問いかける。

「ではシャルロット君、準備は良いかい?」

「は、はい、ローラン様! 準備万端! いつでも大丈夫ですっ!」

「よし! 元気があってよろしい! ではあの岩へ向け、火弾から、行ってみようか」

「は、はい!」

シャルロットさんは元気よく返事をし、言霊の詠唱を開始したのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「ビナー、ゲブラー……」

ほんの少しだけ、緊張気味だろうか……

顔をこわばらせたシャルロットさんは、火弾の言霊を詠唱して行く。

一方、ローラン様以下3人は、じ~っと見守り、
俺はといえば、目を皿のようにして同じくじ~っと観察。

そしてシャルロットさんは約30秒間、言霊を詠唱した後、決めの言霊を言い放つ。

「火弾!」

しゅばっ!

「火弾!」「火弾!」

しゅばっ! しゅばっ!

「火弾!」「火弾!」「火弾!」

しゅばっ! しゅばっ! しゅばっ!

5発放たれたシャルロットさんの火弾……

そんなにごつい感じではない。
俺の拳よりやや大きい火球が何もない空間から現れ……
次々と標的の岩へ向かい、飛んで行く。

ぼ、しゅっ! ぼ、しゅっ! ぼ、しゅっ! ぼ、しゅっ! ぼ、しゅっ!

おお、5発全てが命中か!

「うむ、シャルロット君、良い感じだ。引き続き、火弾を撃ってくれるか」

ローラン様が言えば、セレスさんのフォロー。

「ええ、魔力ポーションもたっぷりあるから、私へ気軽に言ってちょうだい。魔力枯渇の心配は皆無よ」

成る程、思う存分、遠慮なく撃ちまくれって事か。

「は、はい! どんどん行きますっ!」

緊張が解けたのか、にっこり笑ったシャルロットさんは、
火弾をガンガン撃ちまくったのである。
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