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第149話「はっきり言うぜ、兄貴」
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ホテルへ戻って来た俺とシャルロットは、手をつなぎ、ロビーへ。
そ~っと近づいてみれば、ロビーの片隅に居た。
ふたり居るクソ兄貴のうちの長男、家督を継ぎ、
アルノー騎士爵を名乗るマティアスだ。
マティアスは、顔を伏せ、じっと考え込んでいる。
その為か、俺たちには気が付かない。
俺とシャルロットは、無言で顔を見合わせ、頷きながら、もう少し近づいた。
ようやくマティアスへ声をかける。
無論、手はつないだままだ。
「マティアス兄貴」
「あ、ああ!! エルヴェか!!」
「おう、久しぶり、元気だったかい?」
「あ、ああ……お、お前、その子……」
女子には全く無縁だった俺が、ストロベリーブロンドの超絶美少女と、
親しそうな雰囲気で、しっかり手をつないでいるのを見て、大いに驚いたのだろう。
誰なんだ? と聞きたかったに違いないが、俺はスルー。
「失礼して、座るよ、兄貴」
俺はそう言い、シャルロットにも目くばせした。
「失礼いたします」
シャルロットは応え、ふたりでマティアス兄貴の対面にあるソファへ座った。
「で、兄貴。もう二度と会わないと絶縁した弟に、いきなり会いに来て、何の用だい?」
「い、いや! エルヴェ! お、お前がグランシャリオと契約したのに、実家に連絡して来ないからさ」
俺がグランシャリオと契約したのに、実家に連絡しない?
何だ、それ?
むっとした俺は思わず、声を荒げる。
「はあ? わけがわからないぞ、どういう理屈だ? あんたに絶縁され、俺はアルノー家へは出入り禁止となったのに、何でこちらから、連絡しなくちゃいけないんだ?」
「で、でも……」
「でもも何もないだろ。書面にした絶縁状を渡され、二度と帰って来るなよ、絶対にな、と念を押され、笑って俺を放り出したじゃないか」
「………………………」
ああ、クソ兄貴の奴、全く変わっていない。
論破され、都合が悪くなると、いっつもだんまりになるんだ。
「兄貴、用がないなら、とっとと帰ってくれ。俺はいろいろ忙しいんだ」
俺がホテルの出口を指さすと、
「エ、エルヴェ。お、お前の左手、薬指にある指輪……そ、その平民の子の薬指にもある。そ、その子とは、どういう間柄なんだ?」
「いや、兄貴に答える義務はないし、どの子と、どのように付き合おうが俺の勝手だ」
「な、な、なんだと! と、と、当主の俺の許可なしで、か、か、勝手に結婚は許さんぞ!」
「おい、兄貴! さっきからアホな事ばかり言うんじゃない。俺はもうアルノー家とは関係ない。だからあんたの命令には従わない。あんた直筆のサイン&紋章入り絶縁状、今でも、しっかり持っているよ、捨てずにな」
「あ、あ、あれは、ほ、ほ、法的に、む、む、無効だ!」
「馬鹿抜かせ、ふざけるな、あんた直筆のサイン&紋章入り絶縁状だぞ。王国裁判所の判事に見せようか?」
俺がそう言うと、クソ兄貴はまたもだんまり。
「………………………」
そして、しばし経ってから、消え入るような声で、
「エ、エ、エルヴェ、ゆ、ゆ、許してやるから、か、か、帰って来い」
「嫌だね! 許して貰うも何も、俺は悪いことを一切していない!」
「お、お、お前はアルノー家へ、も、も、戻り! し、し、しかるべき貴族家へ! む、む、婿養子へ行くのだ!」
「断る!」
あ~あ。
呆れた。
ほぼシャルロットの予想通りじゃないか。
俺はきっぱりと、クソ兄貴の要求を拒絶したのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「うううう……」
俺にきっぱりと拒絶され、唸るクソ兄貴こと、マティアス・アルノー。
放つ心の波動から勘働きスキルで分かる、クソ兄貴の本音。
エルヴェは、マエストロ、英雄ローラン様に見込まれた凄腕の魔法剣士。
身内なのは、宝くじの一等に当たったようなもの。
これで我がアルノー家は大が付く安泰。
エルヴェの力で、当主の俺は絶対、上級貴族に成り上がってやる!
コイツの利用法はたくさんある!
まずコイツが持つ金を全て巻き上げる。
今まで育てて貰った恩を返せと言ってな!
その後は、無理やりアルノー家へ連れ戻し、
無報酬でガンガンこき使う奴隷郎党にするも良し。
しかるべき上級貴族家へ、コイツを婿養子として押し込み、恩を売り、
姻戚関係となり、いろいろと便宜をはかって貰うのも良し。
弟経由でローラン様に、お願い事をしても良し。
一生食いっぱぐれがないし、散々利用し尽してやるぞ!
使い道がなくなったら、こんな弟は、また追放!
あっさりと捨ててやる!
……そこまでクソ兄貴の心の波動を読み、本当に驚き、呆れた。
おいおいおい!
なんだ、クソ兄貴の奴、本当に腐ってやがるぞ!
百歩譲って、確かに気持ちだけは分かる。
俺だって、そういう素敵な身内が居たら、助けて貰いたいし、あやかりたい。
でも、クソ兄貴のストレート過ぎる畜生な欲望には吐き気がする。
お願い事をする時は、例え弟であったとしても、
丁寧な言い方で、もっと控えめに、申し訳ないという、謙虚な気持ちであるべきだ。
クソ兄貴にはそんな気配りは勿論、弟に対する愛も情も全く感じられない。
血を分けた実の兄とは思えない、魔物以下の極悪外道ぶりだ。
もしも素直に俺を追放、絶縁した事を謝罪し、丁寧にお願いがあったら、
少々金銭的援助をするくらい、聞き入れる余地もあったのに。
俺は怒りを抑え、淡々と言う。
「はっきり言うぜ、兄貴」
「………………………」
「俺はアルノー家とはもう一切関係ない。冒険者として、クラングランシャリオと本契約を結んだし、他で働く事はない。この子との仲だって、ローラン様に認められ、祝って貰っている」
「………………………」
「今後一切、俺に関わるな。もし俺の周囲で何かが起こり、あんたやアルノー騎士爵家が原因だと分かったら、ローラン様に報告し、厳正な処罰をして貰う。事によっては連座制で一族全員が処罰されるぞ」
俺が軽度の威圧スキルを込め、脅しをかけると、クソ兄貴は悲鳴をあげる。
「ひ、ひえ!」
ここで俺はにっこり笑い、
「……という事で、あんたが決めた通り、全く赤の他人同士だが、これからの人生、お互いに頑張ろうぜ、マティアス・アルノー騎士爵、さようなら!」
最後にクソ兄貴を、完全に他人扱いし、ざまああ!!と心の中で叫び、
永遠の別れを告げたのである。
そ~っと近づいてみれば、ロビーの片隅に居た。
ふたり居るクソ兄貴のうちの長男、家督を継ぎ、
アルノー騎士爵を名乗るマティアスだ。
マティアスは、顔を伏せ、じっと考え込んでいる。
その為か、俺たちには気が付かない。
俺とシャルロットは、無言で顔を見合わせ、頷きながら、もう少し近づいた。
ようやくマティアスへ声をかける。
無論、手はつないだままだ。
「マティアス兄貴」
「あ、ああ!! エルヴェか!!」
「おう、久しぶり、元気だったかい?」
「あ、ああ……お、お前、その子……」
女子には全く無縁だった俺が、ストロベリーブロンドの超絶美少女と、
親しそうな雰囲気で、しっかり手をつないでいるのを見て、大いに驚いたのだろう。
誰なんだ? と聞きたかったに違いないが、俺はスルー。
「失礼して、座るよ、兄貴」
俺はそう言い、シャルロットにも目くばせした。
「失礼いたします」
シャルロットは応え、ふたりでマティアス兄貴の対面にあるソファへ座った。
「で、兄貴。もう二度と会わないと絶縁した弟に、いきなり会いに来て、何の用だい?」
「い、いや! エルヴェ! お、お前がグランシャリオと契約したのに、実家に連絡して来ないからさ」
俺がグランシャリオと契約したのに、実家に連絡しない?
何だ、それ?
むっとした俺は思わず、声を荒げる。
「はあ? わけがわからないぞ、どういう理屈だ? あんたに絶縁され、俺はアルノー家へは出入り禁止となったのに、何でこちらから、連絡しなくちゃいけないんだ?」
「で、でも……」
「でもも何もないだろ。書面にした絶縁状を渡され、二度と帰って来るなよ、絶対にな、と念を押され、笑って俺を放り出したじゃないか」
「………………………」
ああ、クソ兄貴の奴、全く変わっていない。
論破され、都合が悪くなると、いっつもだんまりになるんだ。
「兄貴、用がないなら、とっとと帰ってくれ。俺はいろいろ忙しいんだ」
俺がホテルの出口を指さすと、
「エ、エルヴェ。お、お前の左手、薬指にある指輪……そ、その平民の子の薬指にもある。そ、その子とは、どういう間柄なんだ?」
「いや、兄貴に答える義務はないし、どの子と、どのように付き合おうが俺の勝手だ」
「な、な、なんだと! と、と、当主の俺の許可なしで、か、か、勝手に結婚は許さんぞ!」
「おい、兄貴! さっきからアホな事ばかり言うんじゃない。俺はもうアルノー家とは関係ない。だからあんたの命令には従わない。あんた直筆のサイン&紋章入り絶縁状、今でも、しっかり持っているよ、捨てずにな」
「あ、あ、あれは、ほ、ほ、法的に、む、む、無効だ!」
「馬鹿抜かせ、ふざけるな、あんた直筆のサイン&紋章入り絶縁状だぞ。王国裁判所の判事に見せようか?」
俺がそう言うと、クソ兄貴はまたもだんまり。
「………………………」
そして、しばし経ってから、消え入るような声で、
「エ、エ、エルヴェ、ゆ、ゆ、許してやるから、か、か、帰って来い」
「嫌だね! 許して貰うも何も、俺は悪いことを一切していない!」
「お、お、お前はアルノー家へ、も、も、戻り! し、し、しかるべき貴族家へ! む、む、婿養子へ行くのだ!」
「断る!」
あ~あ。
呆れた。
ほぼシャルロットの予想通りじゃないか。
俺はきっぱりと、クソ兄貴の要求を拒絶したのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「うううう……」
俺にきっぱりと拒絶され、唸るクソ兄貴こと、マティアス・アルノー。
放つ心の波動から勘働きスキルで分かる、クソ兄貴の本音。
エルヴェは、マエストロ、英雄ローラン様に見込まれた凄腕の魔法剣士。
身内なのは、宝くじの一等に当たったようなもの。
これで我がアルノー家は大が付く安泰。
エルヴェの力で、当主の俺は絶対、上級貴族に成り上がってやる!
コイツの利用法はたくさんある!
まずコイツが持つ金を全て巻き上げる。
今まで育てて貰った恩を返せと言ってな!
その後は、無理やりアルノー家へ連れ戻し、
無報酬でガンガンこき使う奴隷郎党にするも良し。
しかるべき上級貴族家へ、コイツを婿養子として押し込み、恩を売り、
姻戚関係となり、いろいろと便宜をはかって貰うのも良し。
弟経由でローラン様に、お願い事をしても良し。
一生食いっぱぐれがないし、散々利用し尽してやるぞ!
使い道がなくなったら、こんな弟は、また追放!
あっさりと捨ててやる!
……そこまでクソ兄貴の心の波動を読み、本当に驚き、呆れた。
おいおいおい!
なんだ、クソ兄貴の奴、本当に腐ってやがるぞ!
百歩譲って、確かに気持ちだけは分かる。
俺だって、そういう素敵な身内が居たら、助けて貰いたいし、あやかりたい。
でも、クソ兄貴のストレート過ぎる畜生な欲望には吐き気がする。
お願い事をする時は、例え弟であったとしても、
丁寧な言い方で、もっと控えめに、申し訳ないという、謙虚な気持ちであるべきだ。
クソ兄貴にはそんな気配りは勿論、弟に対する愛も情も全く感じられない。
血を分けた実の兄とは思えない、魔物以下の極悪外道ぶりだ。
もしも素直に俺を追放、絶縁した事を謝罪し、丁寧にお願いがあったら、
少々金銭的援助をするくらい、聞き入れる余地もあったのに。
俺は怒りを抑え、淡々と言う。
「はっきり言うぜ、兄貴」
「………………………」
「俺はアルノー家とはもう一切関係ない。冒険者として、クラングランシャリオと本契約を結んだし、他で働く事はない。この子との仲だって、ローラン様に認められ、祝って貰っている」
「………………………」
「今後一切、俺に関わるな。もし俺の周囲で何かが起こり、あんたやアルノー騎士爵家が原因だと分かったら、ローラン様に報告し、厳正な処罰をして貰う。事によっては連座制で一族全員が処罰されるぞ」
俺が軽度の威圧スキルを込め、脅しをかけると、クソ兄貴は悲鳴をあげる。
「ひ、ひえ!」
ここで俺はにっこり笑い、
「……という事で、あんたが決めた通り、全く赤の他人同士だが、これからの人生、お互いに頑張ろうぜ、マティアス・アルノー騎士爵、さようなら!」
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