気が付いたら下僕!隙あらば支配!追放大歓迎!実は脱出!マウントポジション大好きな悪役令嬢よ、さようなら!の俺が幸せになるまでの大冒険物語!

東導 号

文字の大きさ
8 / 145

第8話「リベンジ!鋼鉄の処女団結成!」

しおりを挟む
ディーノ・ジェラルディがジェトレ村で、何人もの慈愛に包まれていた頃……
所変わって、ここはルサージュ辺境伯が治めるフォルスの城館。

ルサージュ辺境伯のひとり娘ステファニーは、副従士長ロクサーヌ・バルトと私室で密談していた。
ロクサーヌには「絶対父へ知られないように!」と、固く念押しをして。

現在ロクサーヌ・バルトは28歳。
肩書はルサージュ辺境伯家副従士長。
元冒険者ギルド所属ランクAの戦士。
ポジションは防御力抜群の盾役《タンク》
ふたつ名は『荒れ狂う猛獣』
身長2m。
体重は……内緒だが、100㎏を超えていた。

そう……ロクサーヌは元々、王都ガニアンを本拠にする指折りの上級ランカーであった。
しかしルサージュ騎士爵が昇格し、フォルスの領主となった際、
ステファニーが父に口入れして、高給で引き抜いたのである。

ロクサーヌが気ままで結構な稼ぎの冒険者稼業をやめ、貴族に仕える事を決めたのは、高給や騎士となる名誉に魅かれただけではない。
 
王都で生まれ育ったロクサーヌであったが……
実は今は亡き両親がフォルス出身であった事。
そして、ステファニーが直接ロクサーヌの家に出向き熱心に口説いてくれた事も大きかった。

心の恋人? ディーノがルサージュ家を去り、「ざまぁ」の手紙まで置いて行った日……
ステファニーは父を詰問して全てを白状させた後、
悲しくて辛くて寂しくて……そしてとても悔しくて大泣きした。
否、大泣きというレベルを遥かに超えていた。
号泣し、泣き叫び、慟哭したのである。

1日たっぷり泣いてクールダウンしたステファニーは、さっぱりした顔で、
すぐにロクサーヌを呼び寄せた。
そして全ての事情を伝えた後、1日対応する時間を置き、改めてロクサーヌを私室へ呼び寄せたのである。

「さて……事情は理解し、対応しているわね、ロクサーヌ」

「はい! お嬢様」

「で、私の計画ってどう?」

「とても面白いと思いますよ」

「面白い?」

ステファニーは口答えを一切許さない。
それは腹心のロクサーヌにも同様である。

スタイル抜群な金髪碧眼の美少女ながら……
グーパン一発でオークを殴殺し、「今度はオーガをぶちのめす!」と豪語する強靭な主君に、ロクサーヌは一目も二目も置いていた。

「い、いえ! 撤回します! 改めて申し上げますっ! とても素晴らしい非の打ち所がない、完璧な計画だと思います!」

「宜しい! で、段取りは?」

「はい! 王都在住の昔の部下には、魔法鳩便で緊急連絡を入れました。王都へ向かったディーノ・ジェラルディの足取りを掴むとともに、お嬢様の様々な要望も伝わるかと思います」

「では! 部下とやらから、ディーノ追跡と手配完了の報告が来るまで、若干の時間があるわね。私はもっともっと強くなる為、剣技と格闘技の修業を徹底的にするわ。ロクサーヌ、付き合って頂戴」

「かしこまりました! で、場所は?」

「西の森が良いわ。この前、私がオークを殴り殺した場所よ。今日もきっと良い獲物が居るわ。今、超むかついてるから10匹くらいぶっ殺したいの。オークよりも格上のオーガが出たら最高ね!」

「かしこまりました。私だってオーガを5匹くらい粉々に殴殺したい気分ですよ。お嬢様を無視して逃げたディーノの奴にむかつきますから」

「ふふふ、ロクサーヌ、私達やっぱり気が合うわね」

「御意!」

打合せは終わり、話はまとまったようである。
ステファニー、ロクサーヌ……
ふたりの猛女は、顔を見合わせると冷たく笑ったのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

密談から1週間後……

ステファニーの私室前に、ロクサーヌがその巨躯を現していた。
大きな拳で無造作にノックする。
重く鈍い音が樫の扉に響いた。

どうやら主は在室しているようだ。

「そのノックはロクサーヌね。開いているわ、お入りなさい」

「はい、お嬢様! ロクサーヌ・バルト、入ります!」

扉を開けたロクサーヌは深々とお辞儀した後、顔を上げ二ッと笑った。
これだけでステファニーにはピンと来たようである。

「うふふ、その様子だと段取りは組めたみたいね」

「はい! 首尾は上々です。ディーノが王都へ到着したら、敢えて手を出さず、お嬢様が到着されるまで監視する事を命じました」

「宜しい! ディーノには私が直接お仕置きをするからね。手出しは厳禁よ」

「かしこまりました。改めて厳命しておきます。それとお嬢様がお住まいになるお洒落なお屋敷も手配済みです」

「ふむ、さすがロクサーヌ。万全ね」

「はい! 部下達もお嬢様が王都へいらっしゃる事を少しでも早くと心待ちにしておりますよ」

「よっし! では早速旅立ちの準備よ! 良い? パパには私から言うわ。嫌とは言わせない! ロクサーヌの立場も考えて、私が強引に貴女を連れて行くって話にしておくわね、OK?」

相変わらず……強烈な速射砲の如きステファニーの物言いである。
しかし、ステファニーに絶対の忠誠を誓うロクサーヌには全然苦にならない。
むしろ、主に似て来ている……

「OKです。助かります。出張扱いですね?」

「そうよ! 暫しの間、王都ガニアンを楽しみましょう」

「はい! お嬢様!」

「うふふ、そして、いよいよ鋼鉄の処女団アイアンメイデン再結成ね」

「です! ですっ! 楽しみですっ!」

ステファニーが言う鋼鉄の処女団アイアンメイデンとは……
ロクサーヌが現役冒険者だった頃、組んでいた女性メンバーのみで構成された冒険者クラン名である。

ふたりが密談して立てた計画とは……
名付けて、鋼鉄の処女団アイアンメイデン再結成作戦。
新たなリーダーにステファニーが就任し、王都でも有力クランと謳《うた》われた鋼鉄の処女団アイアンメイデンを改めて立ち上げるのだ。

もう少し詳しく説明すれば……
ディーノが王都で冒険者になるのを見越して、ステファニーも対抗、
忠実なロクサーヌ達と強力なクランを組む。

結果、冒険者としてディーノより遥かに上を行き、思いっきり「ざまぁ」をする。
それにより「ざまぁ」されて失ったプライドを完全に回復させる。

更に……
無断で家出した罰として土下座させ、ステファニーの靴を舐めさせ、憂さを晴らすという、ディーノにとって非道というか、とんでもなく『はた迷惑』なものであった。

その上でディーノを王都から無理やり連れ帰り……
エモシオンで強引に結婚式を挙げるという、これまた超非道な荒業の計画なのだ。

秘密の計画が準備万端となって、ステファニーは高らかに笑う。

「あははははは! 待ってなさい、ディーノ・ジェラルディ! 約束は絶対に守って貰うわよ。私を一生守るって約束してくれたでしょ? あれは嘘なの?」

嘘なの?
というのは、もし自分がディーノに妻になったらと誓うのかと、
ステファニーが猛然と迫った仮定の話。

……実際、ディーノが体罰を逃れる為、その場限りの嘘なのだが。
そんな事はステファニーに関係ない。
約束をした事が最重要なのだ。

更にステファニーは吠える! 憤る!

「ちきしょうぉ! ざまあしやがってえ、ディーノめえ! 地獄の果てまで追いかけて、絶対に捕まえてやるう! 捕まえたらグーパン百発喰らわせ、ぎったんぎったんにして、このフォルスへ連れ戻してやる! 身も心も支配してやるからあ!」

憎しみの言葉を吐きまくり、満足したのかステファニーは一転、笑顔になる。
乙女チックな夢を呟く。

「でもでも! その後には、想い人の私と最高の結婚式をあげようね! ふたりで白馬に乗って祝福して貰うの。だって! ディーノは私の白馬の王子様だもん、そして一生一緒に! いえ、死んだ後だってゾンビにしてず~っと一緒よ! うふふっ!」

なんという……歪んだ愛情であろうか……

ディーノに対する深い愛と激しい憎悪に満ちたステファニーは……
獲物を追う狼のような目をして笑ったのであった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

罠にはめられた公爵令嬢~今度は私が報復する番です

結城芙由奈@コミカライズ連載中
ファンタジー
【私と私の家族の命を奪ったのは一体誰?】 私には婚約中の王子がいた。 ある夜のこと、内密で王子から城に呼び出されると、彼は見知らぬ女性と共に私を待ち受けていた。 そして突然告げられた一方的な婚約破棄。しかし二人の婚約は政略的なものであり、とてもでは無いが受け入れられるものではなかった。そこで婚約破棄の件は持ち帰らせてもらうことにしたその帰り道。突然馬車が襲われ、逃げる途中で私は滝に落下してしまう。 次に目覚めた場所は粗末な小屋の中で、私を助けたという青年が側にいた。そして彼の話で私は驚愕の事実を知ることになる。 目覚めた世界は10年後であり、家族は反逆罪で全員処刑されていた。更に驚くべきことに蘇った身体は全く別人の女性であった。 名前も素性も分からないこの身体で、自分と家族の命を奪った相手に必ず報復することに私は決めた――。 ※他サイトでも投稿中

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

前世ブラックOLの私が転生したら悪役令嬢でした

タマ マコト
ファンタジー
過労で倒れたブラック企業勤めのOLは、目を覚ますと公爵令嬢アーデルハイトとして転生していた。しかも立場は“断罪予定の悪役令嬢”。だが彼女は恋愛や王子の愛を選ばず、社交界を「市場」と見抜く。王家の財政が危ういことを察知し、家の莫大な資産と金融知識を武器に“期限付き融資”という刃を突きつける。理想主義の王太子と衝突しながらも、彼女は決意する――破滅を回避するためではない。国家の金脈を握り、国そのものを立て直すために。悪役令嬢の経済戦争が、静かに幕を開ける。

処理中です...