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第9話「召喚訓練①」
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遥か遠き地、フォルスで……
自称・想い人&幼馴染ステファニーの怖ろしい陰謀が、
着々と進行中だという事をディーノは全く知らない。
そのディーノはジェトレ村で様々な体験をし、程よい疲れもあって、
ぐっすり眠り込んでいた。
胸からは古の魔法使いロランより受け継いだ五芒星ペンタグラムが提げられ、
左手の中指には、ディーノの面影に亡き弟をしのぶクロティルドから贈られた魔法指輪が光っていた。
翌朝早く……
ディーノと共に商隊はジェトレ村を出発した。
だが馬車の速度はあまりあげない。
北へ向かう王都ガニアンへの街道をゆっくりと走っている。
何故ゆっくり走るのか?
ディーノが旅する遥か南方の街道は……
馬車などが通る度にひどく砂ぼこりが立ち、誰もが難儀する悪路であった。
街道といっても、石畳できちんと舗装されたり、こまめに均される等、
整地などはされてはいない。
単に草を刈り、ほんの気持ち程度に均した石ころだらけの道なのだ。
ちなみに、きちんと舗装された街道は『王都近郊のみ』である。
では砂ぼこりがおさまるから、単に雨が降れば良いというものでもない。
少しでも多めに雨が降ると、街道はすぐぬかるみとなり、やがて泥の川と化してしまう。
通行する人間や馬車を容赦なく泥まみれにした上、車輪が回るのも滞らせていたのだ。
いろいろとあったが、現在ディーノの旅自体は順調だ。
しかし旅が順調でも、貴重な出会いがあっても腹は減る。
確実に減る。
自然の摂理だから仕方がない。
という事で、まもなくお昼である。
やがて予定の場所に到着し、馬車が停まった。
停まったのは街道脇の空き地で、簡易なキャンプが可能なくらいの広さがある。
旅人や商隊が宿泊や休憩などに使うスペースであり、誰もが使用可能な場所だ。
曳いていた馬がハーネスから外され、生えている樹々につながれた。
これから昼食の支度が為される。
当然雑用係のディーノは率先して働く。
商隊の食事を準備する際も、ディーノは結構な働きを見せた。
幼い頃に母が亡くなってから、自宅では父に代わって食事の支度をしており、簡単な料理くらいは作れたのだ。
ちなみに……
王都ガニアン、そしてフォルスで暮らしていた頃は、ステファニーにせがまれ、何度も料理を作った事がある。
だがステファニーはしっかり完食し、何皿もお代わりまでする癖に、
いつも「何、これ? 超まずいっ!」と文句をさく裂させるのが常であった。
さてさて、ディーノは食事の準備を進めて行く。
とはいってもここは野外。
ろくに調理など出来ない。
ディーノは湯を沸かして濃い紅茶を淹れ、干からびた乾燥肉を軽くあぶり、
卵を器用に割ってスクランブルエッグを作り、パンと共に運んだ。
そんなシンプルな食事でもブノワを始めとした商隊のメンバーは喜んだ。
「美味い!」 と感嘆し、「がつがつ」と食らいつく。
ディーノは素早く食事を済ませると、商隊のキャンプ地を離れ、傍らにある雑木林の中へ入って行った。
しかし生理的な『用足し』だと思ったのか、誰も咎める者は居ない。
実は……
ディーノは人知れず魔法を使おうとしていた。
ジェトレでは時間が取れず、ロランから受け継いだ『3つの魔法』を試す事が出来なかったからだ。
『読心』『夢魔法』も興味はあるのだが……
中でもディーノは、魔物を呼び従える『召喚魔法』に目途をつけたかった。
現在ディーノはたったひとり、良く言えば冒険者でいうソロプレーヤーだ。
ズバリ、『ぼっち』である。
頼りになる仲間など居ない。
それゆえ、とりあえず『使い魔』レベルの魔物を呼び、
文字通り『お使い役』でも頼もうと考えていたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
雑木林奥へ入ったディーノは左右を見回した。
更に耳もすました。
人間の気配は感じられない。
ロランから彼の持っていた『能力』を受け継いで以来、与えられた魔法以外に五感等も鋭くなっているような気がする。
また今迄感じた事のなかった体内魔力の膨大な量や流れもはっきりと実感出来る。
それが受け継いだペンタグラムの力の効用だと、
ディーノは未だに気付いてはいなかった。
閑話休題。
念の為、何回か確認したが……
周囲に潜んでいる者も、後をつけて来ている者も居なかった。
発動して問題なし!
安堵したディーノは大きく頷いた。
繰り返して言うが……
ディーノは本格的な魔法を教授されたり、発動訓練など受けた事はない。
火をおこす、飲み水を呼ぶ、洗濯物を乾かすくらいの、生活魔法は使える。
この世界ではざらに居る素人だ。
しかし、自然と呼吸が整い、一定のリズムとなる。
気持ちがシンプルに且つ落ち着いて来る。
ディーノは亡き父から聞いた事がある。
大気の中に含まれる魔力の素は、肺へ取り込まれ、心臓に送られ精製されると、体内魔力となり、血液と共に送られ循環すると……
ペンタグラムに触れ、目を閉じて呼吸をしていると……
父の言う通りだと思った。
身体中に魔力が巡り、高まるのを感じる。
ロランから魔法発動における言霊や呪文は不要だと言われたが……
自然に口が動いた。
「召喚《サモン》」
ディーノが小さく呟いた瞬間!
目の前に魔力の渦が湧き上がる。
いつの間にか……
ディーノの5mほど前方に輝く奇妙な円形図が現れている。
魔力の渦は円形図から湧き上がっていた。
あのような円形図など、ディーノは当然見た事がない。
昔、父から聞いた事しかない。
だが力を受け継いだ今なら分かる。
確信出来る。
現れた円形図は……
亡きロランが習得した、召喚魔法の発動から生じる魔法陣であるのだと。
徐々に出現した魔力の渦が固まって来る。
物体化し、何かの形となって来る。
召喚されるのは……動物!?
それもあまり大きくないものだ。
多分、使い魔クラスだろう。
さあ!
いよいよ……
召喚した魔物のお出ましだ。
現れる魔物は一体どのような奴なのだろう?
もしもの緊急事態の場合も考え、身構えたディーノは……
期待と不安が交錯する中で、今か今かと待っていたのだった。
自称・想い人&幼馴染ステファニーの怖ろしい陰謀が、
着々と進行中だという事をディーノは全く知らない。
そのディーノはジェトレ村で様々な体験をし、程よい疲れもあって、
ぐっすり眠り込んでいた。
胸からは古の魔法使いロランより受け継いだ五芒星ペンタグラムが提げられ、
左手の中指には、ディーノの面影に亡き弟をしのぶクロティルドから贈られた魔法指輪が光っていた。
翌朝早く……
ディーノと共に商隊はジェトレ村を出発した。
だが馬車の速度はあまりあげない。
北へ向かう王都ガニアンへの街道をゆっくりと走っている。
何故ゆっくり走るのか?
ディーノが旅する遥か南方の街道は……
馬車などが通る度にひどく砂ぼこりが立ち、誰もが難儀する悪路であった。
街道といっても、石畳できちんと舗装されたり、こまめに均される等、
整地などはされてはいない。
単に草を刈り、ほんの気持ち程度に均した石ころだらけの道なのだ。
ちなみに、きちんと舗装された街道は『王都近郊のみ』である。
では砂ぼこりがおさまるから、単に雨が降れば良いというものでもない。
少しでも多めに雨が降ると、街道はすぐぬかるみとなり、やがて泥の川と化してしまう。
通行する人間や馬車を容赦なく泥まみれにした上、車輪が回るのも滞らせていたのだ。
いろいろとあったが、現在ディーノの旅自体は順調だ。
しかし旅が順調でも、貴重な出会いがあっても腹は減る。
確実に減る。
自然の摂理だから仕方がない。
という事で、まもなくお昼である。
やがて予定の場所に到着し、馬車が停まった。
停まったのは街道脇の空き地で、簡易なキャンプが可能なくらいの広さがある。
旅人や商隊が宿泊や休憩などに使うスペースであり、誰もが使用可能な場所だ。
曳いていた馬がハーネスから外され、生えている樹々につながれた。
これから昼食の支度が為される。
当然雑用係のディーノは率先して働く。
商隊の食事を準備する際も、ディーノは結構な働きを見せた。
幼い頃に母が亡くなってから、自宅では父に代わって食事の支度をしており、簡単な料理くらいは作れたのだ。
ちなみに……
王都ガニアン、そしてフォルスで暮らしていた頃は、ステファニーにせがまれ、何度も料理を作った事がある。
だがステファニーはしっかり完食し、何皿もお代わりまでする癖に、
いつも「何、これ? 超まずいっ!」と文句をさく裂させるのが常であった。
さてさて、ディーノは食事の準備を進めて行く。
とはいってもここは野外。
ろくに調理など出来ない。
ディーノは湯を沸かして濃い紅茶を淹れ、干からびた乾燥肉を軽くあぶり、
卵を器用に割ってスクランブルエッグを作り、パンと共に運んだ。
そんなシンプルな食事でもブノワを始めとした商隊のメンバーは喜んだ。
「美味い!」 と感嘆し、「がつがつ」と食らいつく。
ディーノは素早く食事を済ませると、商隊のキャンプ地を離れ、傍らにある雑木林の中へ入って行った。
しかし生理的な『用足し』だと思ったのか、誰も咎める者は居ない。
実は……
ディーノは人知れず魔法を使おうとしていた。
ジェトレでは時間が取れず、ロランから受け継いだ『3つの魔法』を試す事が出来なかったからだ。
『読心』『夢魔法』も興味はあるのだが……
中でもディーノは、魔物を呼び従える『召喚魔法』に目途をつけたかった。
現在ディーノはたったひとり、良く言えば冒険者でいうソロプレーヤーだ。
ズバリ、『ぼっち』である。
頼りになる仲間など居ない。
それゆえ、とりあえず『使い魔』レベルの魔物を呼び、
文字通り『お使い役』でも頼もうと考えていたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
雑木林奥へ入ったディーノは左右を見回した。
更に耳もすました。
人間の気配は感じられない。
ロランから彼の持っていた『能力』を受け継いで以来、与えられた魔法以外に五感等も鋭くなっているような気がする。
また今迄感じた事のなかった体内魔力の膨大な量や流れもはっきりと実感出来る。
それが受け継いだペンタグラムの力の効用だと、
ディーノは未だに気付いてはいなかった。
閑話休題。
念の為、何回か確認したが……
周囲に潜んでいる者も、後をつけて来ている者も居なかった。
発動して問題なし!
安堵したディーノは大きく頷いた。
繰り返して言うが……
ディーノは本格的な魔法を教授されたり、発動訓練など受けた事はない。
火をおこす、飲み水を呼ぶ、洗濯物を乾かすくらいの、生活魔法は使える。
この世界ではざらに居る素人だ。
しかし、自然と呼吸が整い、一定のリズムとなる。
気持ちがシンプルに且つ落ち着いて来る。
ディーノは亡き父から聞いた事がある。
大気の中に含まれる魔力の素は、肺へ取り込まれ、心臓に送られ精製されると、体内魔力となり、血液と共に送られ循環すると……
ペンタグラムに触れ、目を閉じて呼吸をしていると……
父の言う通りだと思った。
身体中に魔力が巡り、高まるのを感じる。
ロランから魔法発動における言霊や呪文は不要だと言われたが……
自然に口が動いた。
「召喚《サモン》」
ディーノが小さく呟いた瞬間!
目の前に魔力の渦が湧き上がる。
いつの間にか……
ディーノの5mほど前方に輝く奇妙な円形図が現れている。
魔力の渦は円形図から湧き上がっていた。
あのような円形図など、ディーノは当然見た事がない。
昔、父から聞いた事しかない。
だが力を受け継いだ今なら分かる。
確信出来る。
現れた円形図は……
亡きロランが習得した、召喚魔法の発動から生じる魔法陣であるのだと。
徐々に出現した魔力の渦が固まって来る。
物体化し、何かの形となって来る。
召喚されるのは……動物!?
それもあまり大きくないものだ。
多分、使い魔クラスだろう。
さあ!
いよいよ……
召喚した魔物のお出ましだ。
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