気が付いたら下僕!隙あらば支配!追放大歓迎!実は脱出!マウントポジション大好きな悪役令嬢よ、さようなら!の俺が幸せになるまでの大冒険物語!

東導 号

文字の大きさ
96 / 145

第96話「作戦会議」

しおりを挟む
村民達が、人喰いゴブリンとの戦いに身を投じる決意をした後……
ディーノ達一行は、ポミエ村村長セザールの自宅へ、打合せの為に移動していた。

居間のテーブル上に2枚の地図が置かれ……
それをディーノとステファニー、クラン鋼鉄の処女団アイアンメイデンのメンバー、そしてセザールと孫娘のオレリアが、凝視していた。

打合せの議長兼進行役はステファニーである。

本来、依頼の受諾者はディーノなのだが……
生まれ持ってのリーダー的な性格なのだろう、
クランの新リーダー『大嵐《テンペスト》』ことステファニーが、
ガンガン仕切っていた。

先ほど、ステファニーからほんの少しだけではあるが、
気を遣う言葉をかけて貰った。
なので、ディーノはとりあえず静観する事にした。

「爺さん、王都でオレリアから、ひと通り話は聞いた。だから……再度、同じ話を聞くのは時間が勿体ないわ」

「な、成る程」

「こちらから順序だてて簡潔に話すわ。認識に相違があったら、訂正して。または必要があれば補足してくれるかしら」

「うむ、了解したよ、ステファニー様」

セザールが同意し、頷いたので打合せは開始された。

「じゃあ、行くわよ、爺さん」

「う、うむ」

「敵は、人喰いゴブリン。出没開始は、2か月と少し前から。最初は小群だったけどあっという間に増えて、現在は約1,000体を超える。農作業中の村民に何人か、犠牲者が出た。最近は村へも頻繁に襲撃して来る……こんなものかしら?」

先の言葉通り、ステファニーは経緯と状況を簡潔に述べた。
セザールは再び頷いた。

「うむ! おおむねOKですな」

「はあ? おおむね?」

言葉尻を捉え、ステファニーが聞き直す。
対して、セザールは答える。
修正部分があるらしい。

「数だけは……違う。もっと多いと儂は思う」

「数がもっと多い? じゃあ、その根拠は?」

「うむ! 村民の目撃情報や被害現場の検証等で、儂の推定じゃ」

「ふうん……」

セザールの説明を聞いたステファニーは分かったような、
分からないような曖昧な反応をした。

と、ここでディーノが手を挙げ、発言を求める。

「ちょっと、発言して良いですか?」

「何よ? ディーノ」

「俺も村長と同意見です。多分その推定は……当たっています。既に確認しましたが、ゴブリンの数は1,000体どころじゃない。その数倍は居るでしょう」

ディーノが断定した事にステファニーは、

「へえ! それ、いつ確認したのよ? 及びその根拠は? 爺さんみたいに推定なんて言わないでよ、そんなの許さないわ」

「いえ、事実です。俺の戦友からの目撃報告ですから」

「戦友? 目撃報告? 何、戦友って! 何者? それ、どこに居るのよ?」

ステファニーの言う通りである。
ディーノが言う『戦友』らしき者の姿は周囲にはなく、気配すら無い。

しかしディーノは、改めて言い放つ。

「俺が召喚した『戦友』がこの村の周囲を巡回しています。実は、俺達がこの村へ到着するまで護衛をさせていました」

「へえ? 召喚って? ディーノ、まさか、あんた召喚魔法を使うの?」

「ええ、ほどほどに」

「ほどほどって……ふうん、少しだけ驚いたわ。で、使い魔くらい呼んだの?」

「いや、使い魔じゃないです」

「使い魔じゃないって……そうか! 護衛役なんて使い魔には到底無理だものね!」

……この世界における使い魔の定義とは、
異界に棲む自我を持つ精神体の総称である。
召喚魔法を習得した者が、最初に呼ぶのは使い魔が多いのだ。
 
使い魔は、犬や猫、鳥などの小動物の精神体が殆どである。
持つ能力もメッセンジャーや簡単な偵察、軽い荷物のお運びをする事くらいだと認識されている。

「ステファニー様が馬車の中で、がっつり押さえつけて、ず~っと毛をもふもふ、いじくってた黒猫も、俺の戦友のひとりです」

「え? あの黒猫も召喚したの? 村に着いたら何故か、すっとんで一目散に逃げたけど」

「あはは、多分ステファニー様が怖くて、逃げんたんでしょ」

「はあ、何言ってるの! 私は猫が大好きで、すっごく懐かれるのよ! 失礼な事言うと、ぶっ飛ばす!」

「華麗にスルー。ちなみに、あの猫は魔族ですが、召喚で呼んだのではありません。テイムしました」

「テイム? 何それ? あんたテイマーでもあるの?」

テイムとは、魔法で異界から呼び出す召喚とは違い、
現世に存在する魔族を手なずける事である。
テイマーとは、そのてなずける技に長けた者だ。
 
妖精猫《ケット・シー》のジャンが戦友になった経緯は少々違うが、
面倒なので、ディーノはテイムと伝えたのである。 

しかし……
このまま話が進めば、興味を持ったステファニーにより、
いろいろ突っ込まれた上に『打合せも』滞るに違いない。
 
この場で、ケルベロス達の説明を詳しくするわけにはいかなかった。
だからディーノは、さりげなく話題を変える。 

「まあ細かい事は置いといてです」

「何よ、それ」

「俺の戦友からの報告では、ポミエ村へ向かう森林で合わせて2,000体近く、目撃したそうです」

ディーノの口調は真剣であった。
ステファニーも、釣られて表情が引き締まる。

「2,000体……か。それは少し手間取るわね」

「いや、多分、2,000体だけじゃないです」

「え? だけじゃない?」

「はい、奴らの本拠が……間違いなく、この近くに巣穴があります。だから、その数倍は居るはずなんですよ」

ディーノは全員へ『現実』をズバリ告げた。

対して、ロクサーヌは無言で聞き流した。
マドレーヌ、ジョルジエット、タバサ、
そしてセザールとオレリアは表情を暗くしたが……

唯一、ステファニーだけは目をギラギラさせ、不敵に笑った。

「わお! 2,000体の数倍って? だったら下手すりゃ、5,000体、いえ、1万体と戦うの? これは面白くなって来たわね」

「ええっと、面白いって……ステファニー様らしいですね。怖くはないんですか?」

と、ディーノが苦笑すれば、

「怖いわけないわ! 面白いのは当然でしょ! たった6人で1万体のゴブリンを相手にするのよ! 最初から勝てると分かった戦いなんて全然面白くないじゃない!」

「成る程」

「負け戦は絶対に嫌! だけど、どきどきしない、高揚感皆無の戦いなんて、もっと嫌!! 全然つまらないわ!」

と、ここで口を開いたのがロクサーヌである。

「頼もしい! それでこそ、ステファニー様です。ウチのメンバーの持ち味はご説明した通りです。盾役《タンク》は私にお任せを」

「了解! 王都までの道中、あんたから散々聞かされたから、マドレーヌ達の能力は把握してる」

ステファニーはそう言うと、再びディーノへ向き直る。

「初戦は必勝が条件! 結構な数のゴブをぐっちゃぐっちゃの血祭りにあげ、村民達の士気をより高める事が必要。……ディーノ、あんたには妙案がありそうね」

「はは、分かります?」

「分かるわよ、あんた、自分で1万体と言ったのに、やけに落ち着いてるから」

「いや、俺は1万体とは言ってません。言ったのはステファニー様ですよ」

「うるさい! 黙れ!」

「はあ……」

「よっし! そんな事は置いといて! 『愛する妻』として、あんたの顔を大いに立ててあげるわ。作戦を提案してちょうだい!」

「あ、愛する? つ、妻!? ステファニー様がディーノさんの!?」

驚いたのはセザールである。
他の者は表情を全く変えず、無言である。
オレリアを含めた女子達は、既にステファニーから散々聞かされていたから。

「いえいえ、ステファニー様は、俺とは全くの無関係です。絶対に『愛する妻』じゃありません」

「何よお! ディーノ、生意気ぃ!」

「事実ですから。……では、作戦をお話します」

首を振り、ステファニーの発言を否定したディーノは、
自分が考えた作戦の段取りを話し始めたのである。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

罠にはめられた公爵令嬢~今度は私が報復する番です

結城芙由奈@コミカライズ連載中
ファンタジー
【私と私の家族の命を奪ったのは一体誰?】 私には婚約中の王子がいた。 ある夜のこと、内密で王子から城に呼び出されると、彼は見知らぬ女性と共に私を待ち受けていた。 そして突然告げられた一方的な婚約破棄。しかし二人の婚約は政略的なものであり、とてもでは無いが受け入れられるものではなかった。そこで婚約破棄の件は持ち帰らせてもらうことにしたその帰り道。突然馬車が襲われ、逃げる途中で私は滝に落下してしまう。 次に目覚めた場所は粗末な小屋の中で、私を助けたという青年が側にいた。そして彼の話で私は驚愕の事実を知ることになる。 目覚めた世界は10年後であり、家族は反逆罪で全員処刑されていた。更に驚くべきことに蘇った身体は全く別人の女性であった。 名前も素性も分からないこの身体で、自分と家族の命を奪った相手に必ず報復することに私は決めた――。 ※他サイトでも投稿中

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

【最強モブの努力無双】~ゲームで名前も登場しないようなモブに転生したオレ、一途な努力とゲーム知識で最強になる~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
アベル・ヴィアラットは、五歳の時、ベッドから転げ落ちてその拍子に前世の記憶を思い出した。 大人気ゲーム『ヒーローズ・ジャーニー』の世界に転生したアベルは、ゲームの知識を使って全男の子の憧れである“最強”になることを決意する。 そのために努力を続け、順調に強くなっていくアベル。 しかしこの世界にはゲームには無かった知識ばかり。 戦闘もただスキルをブッパすればいいだけのゲームとはまったく違っていた。 「面白いじゃん?」 アベルはめげることなく、辺境最強の父と優しい母に見守られてすくすくと成長していくのだった。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国の辺境で、ただ静かに生き延びたいと願う少年、ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、前世の記憶と、母が遺した『物理法則を応用した高圧魔力』という危険な理論だけだ。 敵の大軍が迫る中、ヴァンは剣も振るわず、補給線と心理を切り裂く。 結果、敵軍は撤退。代償も、喝采も、彼には無意味だった。 だが、その「効率的すぎる勝利」は帝国の目に留まり、彼は最高峰の『帝国軍事学院』へと引きずり出される。 「英雄になりたいわけじゃない。生き残りたいだけだ」 謎の仮面メイド『シンカク』、命を取引に差し出した狼耳の少女『アイリ』。 少年は選択する。正義ではなく、最も費用対効果の高い道を。 これは、合理が英雄譚を侵食していく、学園ミリタリーファンタジー。 【※作者は日本語を勉強中の外国人です。翻訳ソフトと辞書を駆使して執筆しています。至らない点もあるかと思いますが、物語を楽しんでいただければ幸いです。】

処理中です...