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第3章 異世界レジスタンス
第8話 幕開け
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アキの復讐劇の最終章が幕を開けようとしていた。
「アキ。準備できたよ」
コウが呼びかける。先ほどまで尋問したギルノート商会の会長には寝てもらっている。
「じゃあ行きましょうか。」
アキは再度、ホストラを訪れていた。入場してから2日目。
機会が訪れることをずっと宿で待ち続けていた。
事態が動き始めたのは夜になってからだった。
===================================================
最初に異変を感じたのは、宿の店主だった。
店主は普段から宿の厨房に立ち、宿泊客の食事を作っている。
手に違和感を覚えたのは、食器を洗っていた時だった。手が痺れて持っていた食器を落としてしまう。
2,3枚の食器が割れる音が鳴った。
宿の女将である店主の妻は食事をしていた宿泊客に謝罪を告げていると、1人の宿泊客がチェックアウトを申し出ていた。
礼儀正しい子供で、1人で滞在していたことを妻と二人で不思議に思っていた。
かなり多めに宿泊料を払っていったようで妻が慌てているが、店主はそれどころではない。気持ちが悪くなってきて奥で休むことを妻に伝える。
だが、妻を含め先ほどまでエール片手にワイワイ騒いでいた客も気分が悪くなったようで、皆部屋に戻り始めていた。
悪いものでも食べたかな?と不思議に思っていた店主だったが、宿を閉め床に入ると朝まで一度も目を覚ますことが無かった。
============================================
アキは2日前からホストラで工作を行っていた。
遅効性の麻酔薬を井戸に投げ込んでいたのだ。目標となったのは領主館付近と、北門付近、そしてその2点を結ぶ道周辺の井戸である。
出来るだけ弱毒性の薬を調合したが、それでもやはり気が進まなかった。
潜入に苦労したのは領主館がある貴族街だったが、流石に井戸周辺は警備が薄く、なんとか投薬に成功した。
宿泊した宿の井戸にも同量の薬を入れていた。皮膚からも吸収される性質があったので、効能に個人差がでたが、宿の店主が食器を落とす瞬間を見てから行動を開始した。
宿をチャックアウトした足でそのまま北門へ向かう。
人通りはまばらとなっていた。
道中で路地に入りローブと頬当を着けてから、一気に駆け始めた。
犬笛を吹き、北門にたどり着くとまだ寝ていない衛兵に吹き矢で睡眠薬を打ち込む。
周りの人影がないことを確認し閂を外し、タロアやコウらを引き入れた。
タロアらは大通りをそのまま一気に領主館を目指す。アキは路地を隠れて付いて行った。
タロアらは万が一のため、村を襲撃した騎士たちの鎧を装着しており、ローブを着た不審者と一緒にいるところを見られる訳にはいかなかったからである。
ギルノート商会のブルドから聞き出した情報を基に貴族街も駆け抜ける一行。貴族街を守る衛兵もすでに夢の中であった。
領主館に着くと一行は2手に分かれた。
アキはそのまま領主館に突入を開始する。
ほぼ制圧が完了していた館内の2階に駆けあがり、一番奥の部屋をその勢いのまま蹴り飛ばした。
想像以上に跳ね飛ぶ扉。
留め具が大分古くなっていたらしい。
アキの目の前では太った醜い男が仰向けでイビキをがーがーかいて寝ている。
(このクズがばあちゃんを、、、)
ひと思いに潰してしまいたい衝動をこらえ、価値のありそうな宝石や装飾品を奪っていく。
持ち運びに不便な骨とう品や絵画は全て破壊した。将来のゴッホやフェルメールらに謝罪を胸の奥で呟く。
続いて2つ隣りの部屋を蹴破る。執務室に間違いない。
先ほどと同じように奪取と破壊と謝罪を行うと、執務机から金色のカギを見つけ出しそのまま地下室へと向かう。
全てギルノート商会の会長から聞き出した通りであった。
道すがら廊下にあった壺や絵画も破壊し、1階に降りるとタロアらと合流。
皆で地下室の保存庫から金品や食料を根こそぎ奪取すると、玄関前に停車してある馬車に積み込んでいく。馬車もタロアらが屋敷の厩舎から奪ってきたものだ。
「破滅しろ。」
そう言い残して馬車は屋敷から走り去っていった。
=============================================
「アルフレッドオオオオオオオオオオ!!!!!」
ホストラの領主館に早朝、悲鳴ともいえる絶叫が響き渡る。
叫び声の主は館の主であるホップス子爵。
彼が朝目を覚ますと部屋の中は台風が通過したような有様であった。
壁に掛けた貴重な絵画や金銀をあしらった装飾剣、高級な壺、全て無くなっているか破損している。
子爵の声を聞いた執事のアルフレッドが部屋に入ってくる。扉がないので、ノックのしようも無かった。
「旦那様、一大事です。!!ほう…。」
部屋に入るなり、アルフレッドは緊急事態を告げようとするも部屋の様子を見て驚きを隠せない。ただその声にはさほどの焦りも感じられなかった。
「一体!どうなっておる!儂の宝は!」
「その件ですが、旦那様。廊下に飾ってある美術品も軒並み破壊されております。」
「何ぃ!?」
アルフレッドの言葉を聞き、廊下に飛び出すホップス子爵。廊下の様子を見て言葉を失うも体は怒りに震えている。
「警備は!!!警備は何をしていた!?」
アルフレッドに向き直り、問い詰める子爵。
「それが、皆眠らされておりまして。おそらく毒を盛られたものと思われます。」
「毒だと!?」
怒りに身を任せ、警備の1人でも斬り殺そうかと歩を進ませる子爵。直ぐにその表情を青ざめさせる。執務室の扉が破壊されていたからだ。
(まさか、まさか、まさか)
重い体を弾ませながら、机に向かう。引き出しを開け、手探りで上部に張り付けていた金庫室のカギを探す。
(な…い…)
赤かった顔が色を変え、真っ青に変わり始める。
扉の側で控えていたアルフレッドを突き飛ばし、金庫室へと進路を変える。子爵の足音と屋敷の騒ぎで家人や騎士たちが起き始めるが、子爵は気にも止めない。ただ地下へと一目散に向かった。
悪い予感が当たった。地下の金庫には何も無かった。
無言で座り込む子爵。
様子がおかしいことを不審に思い、後を追ってきた騎士の1人が追いついてきた。
「なっ!?狼藉だあああ!!!」
館に次に響き渡ったのは騎士の叫びだった。
「アキ。準備できたよ」
コウが呼びかける。先ほどまで尋問したギルノート商会の会長には寝てもらっている。
「じゃあ行きましょうか。」
アキは再度、ホストラを訪れていた。入場してから2日目。
機会が訪れることをずっと宿で待ち続けていた。
事態が動き始めたのは夜になってからだった。
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最初に異変を感じたのは、宿の店主だった。
店主は普段から宿の厨房に立ち、宿泊客の食事を作っている。
手に違和感を覚えたのは、食器を洗っていた時だった。手が痺れて持っていた食器を落としてしまう。
2,3枚の食器が割れる音が鳴った。
宿の女将である店主の妻は食事をしていた宿泊客に謝罪を告げていると、1人の宿泊客がチェックアウトを申し出ていた。
礼儀正しい子供で、1人で滞在していたことを妻と二人で不思議に思っていた。
かなり多めに宿泊料を払っていったようで妻が慌てているが、店主はそれどころではない。気持ちが悪くなってきて奥で休むことを妻に伝える。
だが、妻を含め先ほどまでエール片手にワイワイ騒いでいた客も気分が悪くなったようで、皆部屋に戻り始めていた。
悪いものでも食べたかな?と不思議に思っていた店主だったが、宿を閉め床に入ると朝まで一度も目を覚ますことが無かった。
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アキは2日前からホストラで工作を行っていた。
遅効性の麻酔薬を井戸に投げ込んでいたのだ。目標となったのは領主館付近と、北門付近、そしてその2点を結ぶ道周辺の井戸である。
出来るだけ弱毒性の薬を調合したが、それでもやはり気が進まなかった。
潜入に苦労したのは領主館がある貴族街だったが、流石に井戸周辺は警備が薄く、なんとか投薬に成功した。
宿泊した宿の井戸にも同量の薬を入れていた。皮膚からも吸収される性質があったので、効能に個人差がでたが、宿の店主が食器を落とす瞬間を見てから行動を開始した。
宿をチャックアウトした足でそのまま北門へ向かう。
人通りはまばらとなっていた。
道中で路地に入りローブと頬当を着けてから、一気に駆け始めた。
犬笛を吹き、北門にたどり着くとまだ寝ていない衛兵に吹き矢で睡眠薬を打ち込む。
周りの人影がないことを確認し閂を外し、タロアやコウらを引き入れた。
タロアらは大通りをそのまま一気に領主館を目指す。アキは路地を隠れて付いて行った。
タロアらは万が一のため、村を襲撃した騎士たちの鎧を装着しており、ローブを着た不審者と一緒にいるところを見られる訳にはいかなかったからである。
ギルノート商会のブルドから聞き出した情報を基に貴族街も駆け抜ける一行。貴族街を守る衛兵もすでに夢の中であった。
領主館に着くと一行は2手に分かれた。
アキはそのまま領主館に突入を開始する。
ほぼ制圧が完了していた館内の2階に駆けあがり、一番奥の部屋をその勢いのまま蹴り飛ばした。
想像以上に跳ね飛ぶ扉。
留め具が大分古くなっていたらしい。
アキの目の前では太った醜い男が仰向けでイビキをがーがーかいて寝ている。
(このクズがばあちゃんを、、、)
ひと思いに潰してしまいたい衝動をこらえ、価値のありそうな宝石や装飾品を奪っていく。
持ち運びに不便な骨とう品や絵画は全て破壊した。将来のゴッホやフェルメールらに謝罪を胸の奥で呟く。
続いて2つ隣りの部屋を蹴破る。執務室に間違いない。
先ほどと同じように奪取と破壊と謝罪を行うと、執務机から金色のカギを見つけ出しそのまま地下室へと向かう。
全てギルノート商会の会長から聞き出した通りであった。
道すがら廊下にあった壺や絵画も破壊し、1階に降りるとタロアらと合流。
皆で地下室の保存庫から金品や食料を根こそぎ奪取すると、玄関前に停車してある馬車に積み込んでいく。馬車もタロアらが屋敷の厩舎から奪ってきたものだ。
「破滅しろ。」
そう言い残して馬車は屋敷から走り去っていった。
=============================================
「アルフレッドオオオオオオオオオオ!!!!!」
ホストラの領主館に早朝、悲鳴ともいえる絶叫が響き渡る。
叫び声の主は館の主であるホップス子爵。
彼が朝目を覚ますと部屋の中は台風が通過したような有様であった。
壁に掛けた貴重な絵画や金銀をあしらった装飾剣、高級な壺、全て無くなっているか破損している。
子爵の声を聞いた執事のアルフレッドが部屋に入ってくる。扉がないので、ノックのしようも無かった。
「旦那様、一大事です。!!ほう…。」
部屋に入るなり、アルフレッドは緊急事態を告げようとするも部屋の様子を見て驚きを隠せない。ただその声にはさほどの焦りも感じられなかった。
「一体!どうなっておる!儂の宝は!」
「その件ですが、旦那様。廊下に飾ってある美術品も軒並み破壊されております。」
「何ぃ!?」
アルフレッドの言葉を聞き、廊下に飛び出すホップス子爵。廊下の様子を見て言葉を失うも体は怒りに震えている。
「警備は!!!警備は何をしていた!?」
アルフレッドに向き直り、問い詰める子爵。
「それが、皆眠らされておりまして。おそらく毒を盛られたものと思われます。」
「毒だと!?」
怒りに身を任せ、警備の1人でも斬り殺そうかと歩を進ませる子爵。直ぐにその表情を青ざめさせる。執務室の扉が破壊されていたからだ。
(まさか、まさか、まさか)
重い体を弾ませながら、机に向かう。引き出しを開け、手探りで上部に張り付けていた金庫室のカギを探す。
(な…い…)
赤かった顔が色を変え、真っ青に変わり始める。
扉の側で控えていたアルフレッドを突き飛ばし、金庫室へと進路を変える。子爵の足音と屋敷の騒ぎで家人や騎士たちが起き始めるが、子爵は気にも止めない。ただ地下へと一目散に向かった。
悪い予感が当たった。地下の金庫には何も無かった。
無言で座り込む子爵。
様子がおかしいことを不審に思い、後を追ってきた騎士の1人が追いついてきた。
「なっ!?狼藉だあああ!!!」
館に次に響き渡ったのは騎士の叫びだった。
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