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第23話:ヴェールウッドの刃と風

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昼のヴェールウッド村を、突然の地面の震えが襲った。土が微かに跳ね、木々がざわめく。村の外から重い足音が近づき、傭兵バルドが姿を現す。35歳、無口で鋭い目をした男だ。黒い革鎧が陽光に鈍く光り、擦り減った双剣が腰に揺れる。風に混じる汗と鉄の匂いが、彼の存在を際立たせた。村の入り口に立ち、低く響く声で言い放つ。
「異邦人を出せ。」
その声は冷たく、まるで刃が石を削るような鋭さだった。

エリナが剣を手に広場に飛び出し、バルドの前に立ちはだかった。彼女の鞘が土を叩き、鋭い眼光が傭兵を射抜く。
「何者だ!」
バルドが一瞬で双剣を抜き、エリナの剣を弾いた。金属が激突する甲高い音が響き、エリナが後退する。彼女が目を細め、息を呑んで呟いた。
「速い…!」
その一撃に、剣士としての彼女の直感が警鐘を鳴らす。  

タクミが倉庫から駆け出し、煤けた手でガイストMk-I改のコックピットに飛び乗った。機体が軋みながら立ち上がり、彼がレバーを握って吼える。
「傭兵か…貴族の犬かよ!」
バルドが冷たく笑い、双剣を構えた。唇の端がわずかに歪み、無感情な瞳が機体を値踏みする。
「鉄の玩具か。壊してやる。」  

バルドが突進し、地面を蹴る音が鋭く響く。タクミが魔脈ガンランチャーを肩に担ぎ、爆裂弾を放った。轟音が空気を震わせ、弾が炎の尾を引いて飛ぶ。だが、バルドが軽やかに身を翻し、弾を紙一重で避ける。そのまま機体の脚部に双剣を振り下ろし、装甲に浅い傷を刻んだ。金属が軋む音が響き、タクミが焦りを滲ませる。
「速え…!こいつ、ただ者じゃねえ!」
ガイストの声がコックピットから低く響いた。
「敵の速度、反応時間0.5秒以内。爆裂弾の命中率30%以下。接近戦が最適解だ。」  

タクミが機体を操作し、魔振剣を振り下ろした。刃が高速で振動し、青い光が空気を切り裂く。だが、バルドが「遅い」と呟き、一瞬でかわす。双剣が機体の側面を斬り、火花が散った。鋭い金属音が響き、ガイストが警告する。
「装甲損傷15%、炉温度上昇中。敵の攻撃精度が高い。」
タクミが歯を食いしばり、機体を操作して横に回り込んだ。
「なら動きを読んでやる!」
ドリルアームが唸りを上げ、バルドに突き刺さる。だが、彼が身を低くして回避し、逆に双剣で脚部を再び斬る。機体がよろめき、タクミがコックピット内で体を揺らした。

バルドが無表情で言い放つ。
「玩具は玩具だ。貴族の命令で終わりだ。」
その声に感情はなく、ただ冷徹な事実が響く。タクミが魔脈ガンランチャーを連射したが、バルドが跳躍し、全ての弾を避けた。空中で体を捻り、着地と同時に機体の腕に剣を突き刺す。装甲が軋み、金属の悲鳴が上がる。タクミが叫んだ。
「くそっ!こいつ、隙がねえ!」
ガイストが冷静に報告する。
「装甲損傷25%、炉温度が危険領域に接近。冷却が必要だ。」  

バルドの猛攻にガイストMk-I改が押される。タクミがスイッチを押し、吼えた。
「風魔コア、フル稼働!」
リアが倉庫の影から駆け出し、風魔法を全力で解き放つ。
「風を…コアに…!」
彼女の手から吹き出した風が風魔コアを包み、青い光が強く瞬いた。冷風が機体を覆い、炉から蒸気が白い尾を引いて噴き出す。ガイストが即座に分析する。
「冷却効率112%達成、炉温度安定。戦闘継続可能だ。」

だが、リアが連続で魔法を放ち、疲弊が彼女を蝕む。手が震え、コアの光が弱まった。彼女が膝をつき、掠れた声で呟く。
「私…ダメかも…」
バルドが双剣を構え、低く言い放った。
「終わりだ。」
剣が振り上げられた瞬間、タクミがコックピットから叫んだ。
「リア、立て!お前は弱くねえ!俺を信じろ!」
その声は熱を帯び、風よりも鋭く彼女に届く。  

リアが涙を乱暴に拭い、タクミを見上げた。
「タクミ…!」
彼女が立ち上がり、震える手で再び呪文を唱える。
「風を…コアに…!」
風魔コアが再び輝き、強烈な冷風が機体を包んだ。炉が完全に冷え、蒸気が勢いよく噴き出す。ガイストが報告する。
「冷却効率120%、反応速度35%アップ。機体復活だ、タクミ。」  

タクミが機体を立て直し、魔振剣を構えた。
「お前の風が俺を救ったぜ、リア!今度はこいつを仕留める!」
バルドが双剣を振り下ろすが、タクミが機体を急旋回させ、剣が空を切る。機体がバルドの背後に回り込み、魔振剣が振動を帯びて彼の肩を狙った。バルドが跳躍してかわすが、タクミが魔脈ガンランチャーを発射。爆裂弾が至近距離で炸裂し、土煙が舞う。バルドが初めて後退し、革鎧の端が焦げた。  

タクミが吼えた。
「貴族の犬が!村を舐めるな!」
リアが風魔法で援護し、冷風が機体の動きを加速させる。風がバルドの視界を揺らし、彼が目を細めて呟いた。
「玩具が…少しはやるな。」
エリナが剣を手に広場に駆け戻り、叫ぶ。
「タクミ、リア、奴を仕留めなさい!」
その声に、剣士の覚悟が宿る。

ガイストが分析を挟む。
「敵の動きに乱れあり。装甲損傷30%、エネルギー残量70%。反撃のチャンスだ。」
タクミが拳を握り、呟いた。
「次でお前を潰す。」
バルドが双剣を構え直し、静かに息を整える。再び突進するその姿に、冷酷な殺意が滲む。ヴェールウッドの戦いは、風と鋼の試練の頂点に達していた。

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