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レベル100 ──初任務、そして地獄の幕開け
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ギルドの受付嬢から任務を受け取り、俺たちはギルド前に集まっていた。
「今回の依頼は、郊外の《グレイヴ森林》での魔物討伐。……初心者向けとはいえ、あなたのせいで何が起こるか分からないから、気を抜かないでよね」
リリスが冷たい目で釘を刺してくる。
隣でミルとエリスも不安げな顔、そして――
「任務で共に戦うなら、より絆が深まる。覚悟しなさい」
そう言って当然のように同行を申し出た、氷刃姫クラリス。
一目惚れが継続してるらしい。なんなんだこのハーレム体質。
「まぁ、戦力多い方がいいしな……俺は戦えねぇけど」
「正確には、魔法もスキルも使えない、ただの歩く不幸連鎖」
「めっちゃ言うな、リリスさん」
◇ ◇ ◇
《グレイヴ森林》は、木々が鬱蒼と茂る迷いの森だった。
「うわ、雰囲気やべぇなここ」
「大丈夫だよ、私、森得意だから!」
ミルがふさふさの尻尾を揺らして笑う。
だが、ここでも運-∞が発動。
足元の石に引っかかり、俺は盛大に転倒――
「わぷっ!?///」
「またそのパターンかよ……」
見事にミルを巻き込んで、ふわふわの尻尾と耳をむぎゅっと掴む事故発生。
「へ、変態!!」
エリスの平手打ちが飛んでくるも、防御400でノーダメ。
「もう、学習しないのね……」
「いや、してるけど避けらんねぇんだって!」
そんなドタバタの中、前方から魔物が現れる。
「こ、この魔物は《ギルデン・ウルフ》!新人泣かせの強敵よ!」
「どう考えても新人任務の範囲超えてるだろ!」
「あなたのせいよ!」
またか、俺の運-∞。
ギルデン・ウルフは牙をむき、突進してくる。
「ここは私が」
クラリスが氷の剣を構え――その瞬間、不幸連鎖発動。
遠くでリスが木の実を落とし、それが転がり、クラリスの足元へ。
「んっ――きゃっ!」
まさかの氷刃姫、転倒。
倒れた拍子に氷の魔法が暴走、ウルフに当たり、爆発。
「え、ウルフ倒した?」
「ま、また事故連鎖で……」
「さすが私の運命の人……」
クラリスは頬を染め、ミルとエリスはため息。
リリスはもう目を伏せた。
こうして、カオスとラッキースケベと地獄の連続初任務は、無理やり成功に終わった。
が――まだ終わりじゃない。
遠くで雷雲が渦巻き、巨大なドラゴンの影が見えた。
「また、運-∞かよ……!!」
異世界無理ゲー生活、休む暇もなく続くのだった。
グレイヴ森林での初任務が、事故連鎖でなんとか終わった……かと思った、その時だった。
「お、おい、あれ見ろ……」
上空に、巨大な影。
翼を広げ、雷雲をまとった漆黒のドラゴンが、こちらを睨み下ろしていた。
「嘘でしょ!?なんでドラゴンなんて……!!」
リリスが顔を青ざめさせ、ミルとエリスは怯えた表情。
「普通、ドラゴンはこのランク帯の森には来ない……」
「……私の、運-∞だな」
「開き直ってんじゃないわよ!!」
ゴォォォォォ……!!!
ドラゴンが咆哮し、雷が炸裂する。
草木が燃え、地面が揺れる。まさに絶望の演出。
「いやいや、俺、魔法もスキルも使えねぇのに、これどーすんの!?」
「任せて、私が……」
クラリスが氷の剣を構え、前へ――だが。
不幸連鎖、即発動。
木の枝が折れ、鳥の糞がクラリスの顔面に直撃。
「んぐっ!?」
そのまま転倒、またもや俺の上に美少女ダイブ。
当然のラッキースケベポジションで、胸元と太もも、両方を同時キャッチ。
「またそのパターンかよ!!!」
「ちょ、カズトさん!?///」
「う、運-∞、ほんと最悪……///」
リリスはもう怒りを超えて無表情。
その隙に、ドラゴンが雷ブレスを吐く。
落雷が直撃――だが、偶然にも崩れた木々が盾になり、かすり傷。
「いや、これもしかして……」
「事故連鎖で勝てる……パターン?」
俺の疑念は的中した。
倒木が転がり、岩を跳ね、巨大な蜂の巣を落とし、蜂たちがドラゴンに特攻。
蜂の猛攻で、ドラゴンがパニックに。
そこにクラリスの暴走氷魔法が暴発し、氷結。
さらに、俺の転倒が偶然にも、地面の弱点を突いて大地が崩れ、ドラゴンの下半身が埋まる。
「ちょ、マジで勝てるかも――」
最後に、エリスが慌てて放った弓矢が跳ね返り、偶然ドラゴンの目にクリーンヒット。
グワァァァァ!!!
ドラゴンは雄叫びを上げ、ついには倒れ込んだ。
「勝った……のか……?」
「信じられない……全部、事故連鎖で……」
「あなた、どこまで無敵の不幸体質なの……」
クラリスは未だに俺の上に倒れ込んだまま、顔を真っ赤にしている。
こうして、あり得ない方法でドラゴンを撃破し、俺たちは王都に帰還することになった。
ドラゴン討伐(事故)を終え、俺たちは王都の宿屋に戻ってきた。
「ふぅ……ようやく、ゆっくりできる……」
「あなたのせいで疲労倍増なんだけど」
リリスの冷たい視線を浴びながら、カウンターで部屋を取る。
「おい、部屋……って、まさか」
受付嬢が不穏な表情で言った瞬間、俺の運-∞が炸裂。
後方で別客が暴れて、棚が倒れ、宿の予約帳が吹き飛ぶ。
「え、ええっと……」
受付嬢が予約状況を確認するも、データがめちゃくちゃに。
「残ってるの、ファミリールーム1部屋だけ……」
「いや、俺と女3人で同室とか、フラグしかねぇだろこれ!!」
「むしろあなたの体質じゃ、それ以外無理よ」
リリスの冷酷な指摘。ミルとエリスは顔を真っ赤にし、クラリスは目を輝かせている。
◇ ◇ ◇
夜。
1部屋、ベッド2つ、寝具はギリギリの量。
「えっと、これ、どう分ける……?」
「当然、私はあなたの隣」
クラリスが当然のように隣を確保。
「私も、守るためにそばにいないと……」
エリスが言い訳しつつ布団に潜り込む。
「わ、わたしも……お、おやすみ……」
ミルがもじもじと俺の布団に潜り、耳と尻尾が顔に当たる。
「いや、狭い、無理、ラッキースケベ不可避!!」
その時、天井のランプが不穏に揺れ、外の風でカーテンが捲れる。
運-∞、またも暴走。
ランプのヒモが俺の足に絡まり、バランスを崩す。
次の瞬間、ミルの尻尾を掴み、クラリスの胸元に顔面ダイブし、エリスの太ももを膝で押す。
「んっ!?///」
「きゃっ!?///」
「やだぁ……///」
大・大・大事故。
「おいおいおい、これ以上フラグ立てるなよ!!!」
「手遅れよ」
リリスのため息で夜は更けていく。
もちろん、寝ようとしても運-∞は止まらず、次々と不可抗力のハーレム事故が続発。
俺の平穏なんて、どこにもなかった。
翌朝、寝不足と疲労感を抱えつつ、俺たちは再び王都の冒険者ギルドに向かった。
「昨日の宿、地獄だったな……」
「あなたのせいでしょ」
リリスの鋭いツッコミを受けながら、ギルドの扉を開く。
中は、昨日と変わらず騒がしい……いや、むしろ昨日以上にざわついていた。
「なんか、雰囲気ヤバくね?」
「騒ぎが広まったのよ、あなたが“事故だけでドラゴン倒した謎の新人”として」
「いや、言い方ァ!!!」
その時、ギルド内の掲示板前に集まる群衆がざわつき、誰かが叫ぶ。
「例の、討伐証明書の提出ミス!? またカオスな依頼が混ざったってよ!!」
「またかよ、ギルドのシステムどうなってんだ!」
「どうせ誰もやらねぇよ、あんな無理ゲー依頼……」
そこに受付嬢が近づいてきた。
「カミヤ・カズトさん、丁度いいところに」
「嫌な予感しかしねぇんだが」
「昨日のドラゴン討伐を確認したところ、事故判定とはいえ正式依頼扱いに。よって次は、さらなるS級難度の依頼が自動で割り当てられます」
「いや、待て待て待て。おかしいだろそのシステム!!」
「問題ありません。あなたのレベルは∞、該当ランクは自動S級」
「ステータス詐欺のせいで地獄の案件来てんじゃねぇか!!!」
その時、再び運-∞が発動。
背後で転んだ冒険者がビール樽をぶちまけ、俺の服が透ける。
ミルとエリスが赤面、クラリスが近づき、またもや事故的ラッキースケベ。
「ちょ、いや、またかよ!!!」
そのカオスの最中、受付嬢がにっこりと微笑む。
「今回のS級依頼は――“《混沌の迷宮》調査および生還”です。成功率、過去0%。ご武運を」
「ふざけんなあああああああ!!!」
またもや無理ゲー確定。
王都ギルドのカオスは、止まらない。
王都から東へ数キロ。
そこにぽっかりと開いた、黒い穴――《混沌の迷宮》。
「ここが……」
「本当に戻ってこれた人、ゼロよ」
リリスが冷たい目で説明する。
「俺の運-∞でさらに地獄の予感しかしねぇんだけど」
「でも、あなたなら事故で生き残るかも」
「信頼ゼロの前提やめろ!!」
ミルとエリス、クラリスも緊張の面持ち。
「……カズトさんと一緒なら、頑張れる気がする」
「危険でも、あなたの隣なら構わない」
「お前ら、完全にハーレムフラグ立てんのやめろ!!!」
◇ ◇ ◇
迷宮内部は、まるで異次元だった。
歪んだ空間、浮かぶ岩、重力がめちゃくちゃ。
「これ、普通の迷宮じゃねぇな……」
「だから“混沌”なのよ。空間が不安定、常識は通用しない」
「俺の人生そのものじゃねぇか」
そんな中、運-∞が炸裂。
足元の岩が突然崩れ、俺はミルとエリスとクラリスを巻き込んで転倒。
ラッキースケベ・三重発動。
「きゃっ!?///」
「ちょ、どこ触って……///」
「ふむ、これが運命……」
耳、尻尾、太もも、胸、すべてに手がめり込む事故連鎖。
「ほんとふざけんな俺の体質!!!」
そして、また不幸連鎖。
天井から結晶が落ち、壁が崩れ、敵の魔物が大量に現れる。
「……終わった」
「でも、あの魔物たち、なんか変」
リリスが指差す。
魔物同士が、なぜか事故連鎖でぶつかり合い、勝手に自滅。
岩が転がり、壁が崩れ、罠が暴発し、迷宮内部が自壊。
「これ、まさか……」
「運-∞と混沌の迷宮、相性最悪ね」
結果――
迷宮崩壊。
だが俺たちは、偶然崩れた通路から外に吹き飛ばされる。
「うわああああああ!!!」
気づけば、迷宮外の草原に投げ出されていた。
「生還、しちゃった……」
「また事故で……」
「さすが私の運命の人」
ギルド記録を塗り替えた地獄の迷宮攻略(事故)だった。
混沌の迷宮(事故)から生還し、俺たちは王都ギルドに戻った。
ギルド内は大騒ぎ。
「カズトって奴、また事故で迷宮クリアしたってよ」
「伝説級のポンコツなのに、生還率100%……」
「いや、ラッキースケベ率100%もヤバいだろ」
周囲の視線が痛い。
ミルとエリスは顔を赤らめ、クラリスは無言で距離を詰めてくる。
「な、なんか人増えてね?」
「当然よ、あなたのせいで有名人だもの」
リリスの冷静な指摘の最中――
「ふふっ、あなたが噂のカミヤ・カズトさん?」
鈴のような声が響く。
振り向くと、そこに立っていたのは――
まるで人形のような美少女……いや、よく見ると男の娘。
銀髪、華奢な体、フリルのついた白い服、完璧な美少女フェイス。
ただ、微妙に胸が平坦で、声もやや中性的。
「え、まさか……男?」
「失礼ね、ちゃんと男の娘ってジャンルよ」
「そこは自信満々に言うとこか!?」
周囲がざわつく。
「彼は……《シオン・ルフェール》。王都でも有名な男の娘……そして毒舌系美少女系トリックスター」
「情報量多すぎだろ!!!」
シオンはにっこり微笑む。
「私、あなたに興味あるの。だって“運-∞”で“ハーレム体質”って、最高のオモチャだもの」
「表現やべぇなお前!!」
運-∞がまたも暴走。
シオンの足元の石が転がり、バランスを崩し――
「わ、きゃっ!?」
見事に俺の上にダイブ。
そして、お約束のラッキースケベポジションへ。
「や、やだ……こんな格好で……///」
「いや、男だよな!?なにこの状況!!?」
リリスは冷静に言い捨てる。
「諦めなさい、あなたの人生、もうハーレム(性別問わず)から逃れられないわ」
こうして、俺の地獄ハーレムに、最強の男の娘・シオンが加わった。
だが、運-∞の暴走は、まだまだ終わらない。
「今回の依頼は、郊外の《グレイヴ森林》での魔物討伐。……初心者向けとはいえ、あなたのせいで何が起こるか分からないから、気を抜かないでよね」
リリスが冷たい目で釘を刺してくる。
隣でミルとエリスも不安げな顔、そして――
「任務で共に戦うなら、より絆が深まる。覚悟しなさい」
そう言って当然のように同行を申し出た、氷刃姫クラリス。
一目惚れが継続してるらしい。なんなんだこのハーレム体質。
「まぁ、戦力多い方がいいしな……俺は戦えねぇけど」
「正確には、魔法もスキルも使えない、ただの歩く不幸連鎖」
「めっちゃ言うな、リリスさん」
◇ ◇ ◇
《グレイヴ森林》は、木々が鬱蒼と茂る迷いの森だった。
「うわ、雰囲気やべぇなここ」
「大丈夫だよ、私、森得意だから!」
ミルがふさふさの尻尾を揺らして笑う。
だが、ここでも運-∞が発動。
足元の石に引っかかり、俺は盛大に転倒――
「わぷっ!?///」
「またそのパターンかよ……」
見事にミルを巻き込んで、ふわふわの尻尾と耳をむぎゅっと掴む事故発生。
「へ、変態!!」
エリスの平手打ちが飛んでくるも、防御400でノーダメ。
「もう、学習しないのね……」
「いや、してるけど避けらんねぇんだって!」
そんなドタバタの中、前方から魔物が現れる。
「こ、この魔物は《ギルデン・ウルフ》!新人泣かせの強敵よ!」
「どう考えても新人任務の範囲超えてるだろ!」
「あなたのせいよ!」
またか、俺の運-∞。
ギルデン・ウルフは牙をむき、突進してくる。
「ここは私が」
クラリスが氷の剣を構え――その瞬間、不幸連鎖発動。
遠くでリスが木の実を落とし、それが転がり、クラリスの足元へ。
「んっ――きゃっ!」
まさかの氷刃姫、転倒。
倒れた拍子に氷の魔法が暴走、ウルフに当たり、爆発。
「え、ウルフ倒した?」
「ま、また事故連鎖で……」
「さすが私の運命の人……」
クラリスは頬を染め、ミルとエリスはため息。
リリスはもう目を伏せた。
こうして、カオスとラッキースケベと地獄の連続初任務は、無理やり成功に終わった。
が――まだ終わりじゃない。
遠くで雷雲が渦巻き、巨大なドラゴンの影が見えた。
「また、運-∞かよ……!!」
異世界無理ゲー生活、休む暇もなく続くのだった。
グレイヴ森林での初任務が、事故連鎖でなんとか終わった……かと思った、その時だった。
「お、おい、あれ見ろ……」
上空に、巨大な影。
翼を広げ、雷雲をまとった漆黒のドラゴンが、こちらを睨み下ろしていた。
「嘘でしょ!?なんでドラゴンなんて……!!」
リリスが顔を青ざめさせ、ミルとエリスは怯えた表情。
「普通、ドラゴンはこのランク帯の森には来ない……」
「……私の、運-∞だな」
「開き直ってんじゃないわよ!!」
ゴォォォォォ……!!!
ドラゴンが咆哮し、雷が炸裂する。
草木が燃え、地面が揺れる。まさに絶望の演出。
「いやいや、俺、魔法もスキルも使えねぇのに、これどーすんの!?」
「任せて、私が……」
クラリスが氷の剣を構え、前へ――だが。
不幸連鎖、即発動。
木の枝が折れ、鳥の糞がクラリスの顔面に直撃。
「んぐっ!?」
そのまま転倒、またもや俺の上に美少女ダイブ。
当然のラッキースケベポジションで、胸元と太もも、両方を同時キャッチ。
「またそのパターンかよ!!!」
「ちょ、カズトさん!?///」
「う、運-∞、ほんと最悪……///」
リリスはもう怒りを超えて無表情。
その隙に、ドラゴンが雷ブレスを吐く。
落雷が直撃――だが、偶然にも崩れた木々が盾になり、かすり傷。
「いや、これもしかして……」
「事故連鎖で勝てる……パターン?」
俺の疑念は的中した。
倒木が転がり、岩を跳ね、巨大な蜂の巣を落とし、蜂たちがドラゴンに特攻。
蜂の猛攻で、ドラゴンがパニックに。
そこにクラリスの暴走氷魔法が暴発し、氷結。
さらに、俺の転倒が偶然にも、地面の弱点を突いて大地が崩れ、ドラゴンの下半身が埋まる。
「ちょ、マジで勝てるかも――」
最後に、エリスが慌てて放った弓矢が跳ね返り、偶然ドラゴンの目にクリーンヒット。
グワァァァァ!!!
ドラゴンは雄叫びを上げ、ついには倒れ込んだ。
「勝った……のか……?」
「信じられない……全部、事故連鎖で……」
「あなた、どこまで無敵の不幸体質なの……」
クラリスは未だに俺の上に倒れ込んだまま、顔を真っ赤にしている。
こうして、あり得ない方法でドラゴンを撃破し、俺たちは王都に帰還することになった。
ドラゴン討伐(事故)を終え、俺たちは王都の宿屋に戻ってきた。
「ふぅ……ようやく、ゆっくりできる……」
「あなたのせいで疲労倍増なんだけど」
リリスの冷たい視線を浴びながら、カウンターで部屋を取る。
「おい、部屋……って、まさか」
受付嬢が不穏な表情で言った瞬間、俺の運-∞が炸裂。
後方で別客が暴れて、棚が倒れ、宿の予約帳が吹き飛ぶ。
「え、ええっと……」
受付嬢が予約状況を確認するも、データがめちゃくちゃに。
「残ってるの、ファミリールーム1部屋だけ……」
「いや、俺と女3人で同室とか、フラグしかねぇだろこれ!!」
「むしろあなたの体質じゃ、それ以外無理よ」
リリスの冷酷な指摘。ミルとエリスは顔を真っ赤にし、クラリスは目を輝かせている。
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夜。
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「当然、私はあなたの隣」
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「私も、守るためにそばにいないと……」
エリスが言い訳しつつ布団に潜り込む。
「わ、わたしも……お、おやすみ……」
ミルがもじもじと俺の布団に潜り、耳と尻尾が顔に当たる。
「いや、狭い、無理、ラッキースケベ不可避!!」
その時、天井のランプが不穏に揺れ、外の風でカーテンが捲れる。
運-∞、またも暴走。
ランプのヒモが俺の足に絡まり、バランスを崩す。
次の瞬間、ミルの尻尾を掴み、クラリスの胸元に顔面ダイブし、エリスの太ももを膝で押す。
「んっ!?///」
「きゃっ!?///」
「やだぁ……///」
大・大・大事故。
「おいおいおい、これ以上フラグ立てるなよ!!!」
「手遅れよ」
リリスのため息で夜は更けていく。
もちろん、寝ようとしても運-∞は止まらず、次々と不可抗力のハーレム事故が続発。
俺の平穏なんて、どこにもなかった。
翌朝、寝不足と疲労感を抱えつつ、俺たちは再び王都の冒険者ギルドに向かった。
「昨日の宿、地獄だったな……」
「あなたのせいでしょ」
リリスの鋭いツッコミを受けながら、ギルドの扉を開く。
中は、昨日と変わらず騒がしい……いや、むしろ昨日以上にざわついていた。
「なんか、雰囲気ヤバくね?」
「騒ぎが広まったのよ、あなたが“事故だけでドラゴン倒した謎の新人”として」
「いや、言い方ァ!!!」
その時、ギルド内の掲示板前に集まる群衆がざわつき、誰かが叫ぶ。
「例の、討伐証明書の提出ミス!? またカオスな依頼が混ざったってよ!!」
「またかよ、ギルドのシステムどうなってんだ!」
「どうせ誰もやらねぇよ、あんな無理ゲー依頼……」
そこに受付嬢が近づいてきた。
「カミヤ・カズトさん、丁度いいところに」
「嫌な予感しかしねぇんだが」
「昨日のドラゴン討伐を確認したところ、事故判定とはいえ正式依頼扱いに。よって次は、さらなるS級難度の依頼が自動で割り当てられます」
「いや、待て待て待て。おかしいだろそのシステム!!」
「問題ありません。あなたのレベルは∞、該当ランクは自動S級」
「ステータス詐欺のせいで地獄の案件来てんじゃねぇか!!!」
その時、再び運-∞が発動。
背後で転んだ冒険者がビール樽をぶちまけ、俺の服が透ける。
ミルとエリスが赤面、クラリスが近づき、またもや事故的ラッキースケベ。
「ちょ、いや、またかよ!!!」
そのカオスの最中、受付嬢がにっこりと微笑む。
「今回のS級依頼は――“《混沌の迷宮》調査および生還”です。成功率、過去0%。ご武運を」
「ふざけんなあああああああ!!!」
またもや無理ゲー確定。
王都ギルドのカオスは、止まらない。
王都から東へ数キロ。
そこにぽっかりと開いた、黒い穴――《混沌の迷宮》。
「ここが……」
「本当に戻ってこれた人、ゼロよ」
リリスが冷たい目で説明する。
「俺の運-∞でさらに地獄の予感しかしねぇんだけど」
「でも、あなたなら事故で生き残るかも」
「信頼ゼロの前提やめろ!!」
ミルとエリス、クラリスも緊張の面持ち。
「……カズトさんと一緒なら、頑張れる気がする」
「危険でも、あなたの隣なら構わない」
「お前ら、完全にハーレムフラグ立てんのやめろ!!!」
◇ ◇ ◇
迷宮内部は、まるで異次元だった。
歪んだ空間、浮かぶ岩、重力がめちゃくちゃ。
「これ、普通の迷宮じゃねぇな……」
「だから“混沌”なのよ。空間が不安定、常識は通用しない」
「俺の人生そのものじゃねぇか」
そんな中、運-∞が炸裂。
足元の岩が突然崩れ、俺はミルとエリスとクラリスを巻き込んで転倒。
ラッキースケベ・三重発動。
「きゃっ!?///」
「ちょ、どこ触って……///」
「ふむ、これが運命……」
耳、尻尾、太もも、胸、すべてに手がめり込む事故連鎖。
「ほんとふざけんな俺の体質!!!」
そして、また不幸連鎖。
天井から結晶が落ち、壁が崩れ、敵の魔物が大量に現れる。
「……終わった」
「でも、あの魔物たち、なんか変」
リリスが指差す。
魔物同士が、なぜか事故連鎖でぶつかり合い、勝手に自滅。
岩が転がり、壁が崩れ、罠が暴発し、迷宮内部が自壊。
「これ、まさか……」
「運-∞と混沌の迷宮、相性最悪ね」
結果――
迷宮崩壊。
だが俺たちは、偶然崩れた通路から外に吹き飛ばされる。
「うわああああああ!!!」
気づけば、迷宮外の草原に投げ出されていた。
「生還、しちゃった……」
「また事故で……」
「さすが私の運命の人」
ギルド記録を塗り替えた地獄の迷宮攻略(事故)だった。
混沌の迷宮(事故)から生還し、俺たちは王都ギルドに戻った。
ギルド内は大騒ぎ。
「カズトって奴、また事故で迷宮クリアしたってよ」
「伝説級のポンコツなのに、生還率100%……」
「いや、ラッキースケベ率100%もヤバいだろ」
周囲の視線が痛い。
ミルとエリスは顔を赤らめ、クラリスは無言で距離を詰めてくる。
「な、なんか人増えてね?」
「当然よ、あなたのせいで有名人だもの」
リリスの冷静な指摘の最中――
「ふふっ、あなたが噂のカミヤ・カズトさん?」
鈴のような声が響く。
振り向くと、そこに立っていたのは――
まるで人形のような美少女……いや、よく見ると男の娘。
銀髪、華奢な体、フリルのついた白い服、完璧な美少女フェイス。
ただ、微妙に胸が平坦で、声もやや中性的。
「え、まさか……男?」
「失礼ね、ちゃんと男の娘ってジャンルよ」
「そこは自信満々に言うとこか!?」
周囲がざわつく。
「彼は……《シオン・ルフェール》。王都でも有名な男の娘……そして毒舌系美少女系トリックスター」
「情報量多すぎだろ!!!」
シオンはにっこり微笑む。
「私、あなたに興味あるの。だって“運-∞”で“ハーレム体質”って、最高のオモチャだもの」
「表現やべぇなお前!!」
運-∞がまたも暴走。
シオンの足元の石が転がり、バランスを崩し――
「わ、きゃっ!?」
見事に俺の上にダイブ。
そして、お約束のラッキースケベポジションへ。
「や、やだ……こんな格好で……///」
「いや、男だよな!?なにこの状況!!?」
リリスは冷静に言い捨てる。
「諦めなさい、あなたの人生、もうハーレム(性別問わず)から逃れられないわ」
こうして、俺の地獄ハーレムに、最強の男の娘・シオンが加わった。
だが、運-∞の暴走は、まだまだ終わらない。
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世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。
地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。
最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~
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綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。
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異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
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農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
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前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
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