異世界となった現実を生き残るために、俺は あのスキルを使います

眠過 遊魔

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第1章  学校編

第8話〜怪鳥コカトリス単独討伐〜

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ドンッッ!!ドンッ!ガシャンガシャン!

コカトリスは僕らを敵だと認識した瞬間、校舎に向かって体当たりを始めた。たしかに美玲の異能力のおかげで壊されはしないようだが、揺れが凄い。校舎が崩れなくてもサイコロのように綺麗に転がるのではないかと思うほどだ。女子生徒は悲鳴をあげてうずくまって泣いている子が多い。女子戦士団のメンバーは建物の外へ出て戦うべきか迷っている。

…仕方ないか。

「僕がやるよ」
そう言って立ち上がった。激しい揺れの中、そのまま体育館のバルコニーへ出てコカトリスと正面から向き合った。
焦点の合わない赤黒の不気味な目に、大きな翼、ガチガチと鳴るキバ、魔物をいざ目の前にするとこんなに威圧感があるのかというほどだ。
正直怖すぎるが女の子にこんなのと戦わせるわけにはいかない。

コカトリスが雄叫びをあげた瞬間に構えた。
そして右手で照準を合わせるように前に出して叫んだ。

『雷槍!』

それとほぼ同時にコカトリスの口から火炎放射のようなブレスが放たれる。雷槍が相殺された。
こうなったら本気でいくしかない。

--5分後--
電撃砲は避けられるか、チャージ時間中に攻撃をされる可能性が高いから撃てない。
でもそれ以下の攻撃力の技だと相殺されるか、仮に命中したとしても大したダメージにならない。

体力もかなり消耗してきた。
それでもやるしかない。
イメージだけでまだ実際には使ったことのない技。
タイミングをミスれば自分も巻き込まれて、今度こそ致命傷を負うかもしれない。
それでもここを通しちゃいけない。
覚悟は決めた。もう逃げない。

コカトリスは僕に攻撃手段がなくなったことを嘲笑うように「グエッゲッ」と声を出しながら近づいてくる。今だ。

『耳障りな声だな。 黒雷こくらい 』

黒雲が空を覆い、黒い光が空を照らし出した。
刹那、コカトリスに空から真っ黒な雷が落ちた。
コカトリスは油断していたところをモロに喰らい、
手羽先のような匂いをさせながら落下して動かなくなった。

確実に倒したのを確認して、校内に戻ろうとしたところを振り向きざま、緊張の糸が切れたのかドサッと倒れ込んでしまった。

やばい。体力が尽きた。
そりゃこんだけの威力の技を打てばこうなるか。今
使える力を全部出し切ってぎりぎりだった。
もしあれで倒しきれなかったら…
なんて考えていると、すぐに美玲が駆けつけて抱きしめてくれた。

「なんで1人で行くのよ。馬鹿。」
彼女はそう言いながら肩を震わせて泣いていた。

「ごめん。でも女の子に戦わせるわけにはいかないし、美玲を危険な目に合わせられないからね」

「そんなの私も一緒に決まってるでしょ。白蘭が死んだら涙が枯れるまで泣いて、コカトリスハンターなんてあだ名で呼ばれるくらいにはあの魔物を恨むわ」

「それは嬉しいねぇ天使様」

「そうやって馬鹿なこと言わないの。今まで通り美玲って呼んで」

そんないちゃいちゃトークを繰り広げていると嘘検知のスキルを持っていたさっきの子が近づいてきた。

「怪我をなさっているようですし、天照様が治してあげればいいのでは?」

こう言われて美玲はそうだった…と顔を赤らめつつ、治癒してくれた。完全回復だ。
美玲の側近のように動く彼女は名前を心木真実というらしい。桃…いや、立派に育ったメロンがすごいんですよこれが。収穫祭とか開催されないんですかね。
そんなことを考えていたら美玲にジトーってした目で見られたので僕はすぐに目を逸らした。

「私のだったら見ても文句言わないのに…」とか
「やっぱり大きい方がいいのかしら…」とかなんやら言っていた。安心してください。小さいのはそれは
それで夢と魅力が詰まっていますよ。

--

コカトリスとの戦いも終わり、代表者として美玲と心木さんを連れていきたいところだが、女子校であるがゆえにここには戦える人が女の子だけだし数も少ない。
さらにそこから美玲がいなくなるのは不安だろうから僕が1度学校へ戻り、会長を連れてまたこっちに来ることにした。
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