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第5章 神様の新しい棲み家は、俺のネットショップ
37.父さんの奥さんは、以前の俺を知っている?痛いのも怖いのも寒いのも嫌だ。俺は、神様と仕事をしている。父さんに与えられた仕事はしない。
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神様には、会えないまま、夜になった。
パソコンは、インターネットに接続しようとすると不安定になることが分かった。
パソコンが古いのか、置かれている場所が悪いのか。
ネット接続に関係ないパソコンの中身を消したら、接続できる?
神様に会いたい。
俺の頭の中にあるのは、それだけ。
神様に会える方法を見つけたと思ったのに、会えなかったことが、こたえる。
「志春(しはる)、成果を見せなさい。」
父さんが、部屋の扉の向こうにいる。
父さんじゃなく、神様が来てくれたらいいのに。
神様と一緒に暮らした、山のふもとの我が家に帰りたい。
今日中に、神様に会えないと思ったら、どっと疲れてきた。
何もやる気になれない。
俺は黙って、扉を見ていた。
扉の前の重石が、動く音がする。
扉が開くと、そこにいたのは父さんだけじゃなかった。
母さんより、十歳以上年下に見える女の人が、父さんの斜め後ろに立って、俺を見ていた。
父さんの奥さん?
「志春(しはる)。成果を見せなさい。」
父さんは、椅子に座って脱力している俺を押しのけた。
「成果、ゼロだと。
志春(しはる)、今まで、何をしていた!
時間がないのに!」
と言うなり、父さんは、俺の頭を叩いた。
脱力していた俺は、父さんに力任せにふるわれた腕の威力をまともにくらって、デスクにぶつかり、椅子から落ちた。
頭が痛い。
椅子から落ちるときに、デスクにぶつけた横っ腹や太ももが痛い。
椅子から落ちたときに、打った腰も痛い。
体中、どこもかしこも痛い。
なんで、俺は、夜中まで、冷えきった部屋の床に、痛い思いをして転がっているんだろう。
山のふもとの我が家にいたら、布団の中で、ぐっすり眠っている時間。
「志春(しはる)。聞いているのか!
すぐに仕事に、取りかかりなさい。」
父さんが怒鳴っている。
父さんの怒鳴り声なんて、聞きたくない。
耳をふさぎたくて、手を動かした。
すると。
ふざけているのか!と父さんは、俺の胸ぐらをつかんできた。
父さん、どうして、俺を家に連れてきた?
俺が気に食わないなら、俺を父さんの視界に入れないで、俺から遠ざかったままでいてくれた方が良かった。
父さんも母さんから、遠く離れたところで、父さんとの荒ぶる姿を知ることなく、いつの日か、思い出になるのを待てたかもしれなかったのに。
俺は、父さんに胸ぐらをつかまれているけれど、父さんのなすがまま。
俺、この期に及んで、父さんに、どう振る舞うのがいいのか、分からないんだ。
俺が知っていた父さんは、いきなり、俺に暴力をふるう人じゃなかった。
俺は、今まで、暴力をふるう人と接したことがない。
暴力をふるわれた経験もない。
暴力は、喧嘩とは違う。
喧嘩は、同じエネルギーがぶつかる。
暴力は、激しくて一方的だ。
「仕事は、真面目にやりなさい。」
と、父さんは、俺の胸ぐらをつかむ手を緩めない。
「返事!」
と父さんが、また怒鳴る。
俺は、言いたかった。
暴力をふるわないで。
一方的に従わせようとしないで。
もう痛いのは嫌だ。
寒いのも嫌だ。
帰りたい、帰りたい。
「神様に会いたい。神様に会いたい。」
痛い、怖い、寒い、という悲鳴の代わりに。
俺は、『神様に会いたい』と繰り返していた。
止める人がいない目覚まし時計みたいに。
ふと、俺は、もう、父さんに胸ぐらを掴まれていないことに気付いた。
父さんは、俺から離れて、女の人の肩を抱いていた。
父さんが、俺から離れた。
俺は、父さんとの距離が出来たことで、段々、落ち着きを取り戻した。
俺、父さんとは、この先、何があっても、一緒にいることができないと思う。
父さんの腕が届く範囲にいると、俺の体は、恐怖で、強張る。
「気味悪い。ちょっと見ないうちに、何にハマったの?
前は、そうでもなかったでしょ?」
と女の人は、嫌悪の眼差しで俺を見ながら、自身の腕をさすっている。
女の人は、今じゃない俺を知っている?
「頭を打ちすえたくらいで大げさな。
仕事をしない志春(しはる)が悪い。」
と父さん。
父さん。
俺、父さんに与えられた仕事は、絶対にしない。
父さんには、言っていないけれど、俺は、もう一国一城の主。
俺には、自分の店がある。
俺の店には、カリスマ店員の神様だっている。
俺の居場所は、父さんの新居じゃない。
「神様に会いたい。俺は、神様と暮らした家に帰る。父さんとは一緒にいない。父さんの仕事は、絶対にしない。
俺は、もう、神様と仕事をしている。」
パソコンは、インターネットに接続しようとすると不安定になることが分かった。
パソコンが古いのか、置かれている場所が悪いのか。
ネット接続に関係ないパソコンの中身を消したら、接続できる?
神様に会いたい。
俺の頭の中にあるのは、それだけ。
神様に会える方法を見つけたと思ったのに、会えなかったことが、こたえる。
「志春(しはる)、成果を見せなさい。」
父さんが、部屋の扉の向こうにいる。
父さんじゃなく、神様が来てくれたらいいのに。
神様と一緒に暮らした、山のふもとの我が家に帰りたい。
今日中に、神様に会えないと思ったら、どっと疲れてきた。
何もやる気になれない。
俺は黙って、扉を見ていた。
扉の前の重石が、動く音がする。
扉が開くと、そこにいたのは父さんだけじゃなかった。
母さんより、十歳以上年下に見える女の人が、父さんの斜め後ろに立って、俺を見ていた。
父さんの奥さん?
「志春(しはる)。成果を見せなさい。」
父さんは、椅子に座って脱力している俺を押しのけた。
「成果、ゼロだと。
志春(しはる)、今まで、何をしていた!
時間がないのに!」
と言うなり、父さんは、俺の頭を叩いた。
脱力していた俺は、父さんに力任せにふるわれた腕の威力をまともにくらって、デスクにぶつかり、椅子から落ちた。
頭が痛い。
椅子から落ちるときに、デスクにぶつけた横っ腹や太ももが痛い。
椅子から落ちたときに、打った腰も痛い。
体中、どこもかしこも痛い。
なんで、俺は、夜中まで、冷えきった部屋の床に、痛い思いをして転がっているんだろう。
山のふもとの我が家にいたら、布団の中で、ぐっすり眠っている時間。
「志春(しはる)。聞いているのか!
すぐに仕事に、取りかかりなさい。」
父さんが怒鳴っている。
父さんの怒鳴り声なんて、聞きたくない。
耳をふさぎたくて、手を動かした。
すると。
ふざけているのか!と父さんは、俺の胸ぐらをつかんできた。
父さん、どうして、俺を家に連れてきた?
俺が気に食わないなら、俺を父さんの視界に入れないで、俺から遠ざかったままでいてくれた方が良かった。
父さんも母さんから、遠く離れたところで、父さんとの荒ぶる姿を知ることなく、いつの日か、思い出になるのを待てたかもしれなかったのに。
俺は、父さんに胸ぐらをつかまれているけれど、父さんのなすがまま。
俺、この期に及んで、父さんに、どう振る舞うのがいいのか、分からないんだ。
俺が知っていた父さんは、いきなり、俺に暴力をふるう人じゃなかった。
俺は、今まで、暴力をふるう人と接したことがない。
暴力をふるわれた経験もない。
暴力は、喧嘩とは違う。
喧嘩は、同じエネルギーがぶつかる。
暴力は、激しくて一方的だ。
「仕事は、真面目にやりなさい。」
と、父さんは、俺の胸ぐらをつかむ手を緩めない。
「返事!」
と父さんが、また怒鳴る。
俺は、言いたかった。
暴力をふるわないで。
一方的に従わせようとしないで。
もう痛いのは嫌だ。
寒いのも嫌だ。
帰りたい、帰りたい。
「神様に会いたい。神様に会いたい。」
痛い、怖い、寒い、という悲鳴の代わりに。
俺は、『神様に会いたい』と繰り返していた。
止める人がいない目覚まし時計みたいに。
ふと、俺は、もう、父さんに胸ぐらを掴まれていないことに気付いた。
父さんは、俺から離れて、女の人の肩を抱いていた。
父さんが、俺から離れた。
俺は、父さんとの距離が出来たことで、段々、落ち着きを取り戻した。
俺、父さんとは、この先、何があっても、一緒にいることができないと思う。
父さんの腕が届く範囲にいると、俺の体は、恐怖で、強張る。
「気味悪い。ちょっと見ないうちに、何にハマったの?
前は、そうでもなかったでしょ?」
と女の人は、嫌悪の眼差しで俺を見ながら、自身の腕をさすっている。
女の人は、今じゃない俺を知っている?
「頭を打ちすえたくらいで大げさな。
仕事をしない志春(しはる)が悪い。」
と父さん。
父さん。
俺、父さんに与えられた仕事は、絶対にしない。
父さんには、言っていないけれど、俺は、もう一国一城の主。
俺には、自分の店がある。
俺の店には、カリスマ店員の神様だっている。
俺の居場所は、父さんの新居じゃない。
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俺は、もう、神様と仕事をしている。」
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