フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

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第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった?

93.日常に宮廷文化を突っ込んでみたよ?

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フィリス1人のところに、もう2人、手のかかる子爵子息が増えた。

配置する職員が1人じゃ足りない。2人追加で。
職員達は、目と指で会話しながら、そつなく配置につく。

フィリスを案内してきた職員が、フィリスの名前と年齢、家の爵位を告げる。

ノーマとシエルの案内をした職員が、続けて2人分を。

ジーン、シドニー、ラウル、エスターの4人の側にいる職員が4人分の名前と年齢、家の爵位を言い終わる。

着席の合図で全員が座った。

「フィリス様、ノーマ様、シエル様、先程のやり取りは、一体何だったのでしょう?」

職員が会話の切り口として聞いた。

フィリスは、気にかかる子どもを見つけられたので、喜んでいる。

ノーマとシエルも話が分かるかもしれない子どもがいて嬉しい。


先程のやり取り、と言われて、なんのことだかわかっていない3人を見て、エスターが間に入った。

「初めまして。私は、エスター・カンダンテ。先程のやり取りというのが、この場所に来る前に3人で何かしたことじゃないかと思うんだけど、思い当たることはないかな?」

エスターはまともに会話をする気がある人間と気づいたノーマが話した。

「フィリス様が、古い叙情詩のある1節を詠み、シエルと私が2節返したことでしょうか?」

エスターはちらっと職員を見た。
職員が軽く頷いたのを見て、それのことだよ、と答える。

「古式ゆかしき作法の1つです。誘いは、1節。諾なら2節。否なら、5節。」

「つまり、フィリス殿が誘い、ノーマ殿とシエル殿がそれを受けた。」

「はい。」

「初めて聞いたけれど、よく使われるもの?」

「ご存知の方は。ただ、どちらも、叙情詩そのものと作法を知らないと通用しません。」

「言葉遊びのようなものかな?」

「いいえ。旧家の方々には常識の範疇ですので。雅な宮廷文化が生きている場所では、日常的に使用されます。」

旧家とは、世界的な国家の勃興期の前から存在していた家を指す。
ガラン子爵家は、コーハ王国建国前から一大勢力を保持しているので、旧家に分類される。


「旧家で、となると、ガラン子爵家では、普段から使っているの?フィリス殿。」
とエスター。

「家中では、あまり。外で。」
名指しに答えるフィリス。

「領民相手に?」

「外つ国の。」

「ガラン子爵家は、独自の外交ルート持っているものね。」

フィリスはエスターとの受け答えよりも、ノーマとシエルが気になる。

「旧き家ではなく?」

シエルが答える。
「ノーマの家もうちも違う。祭典、式典に特化してきたから、詳しくなった。」

「嬉しい。」
とフィリス。
話が合いそうで気持ちのよい人は友達になってみたらいいよ、とお父様もお許しくださっている。

「旧き家だと思ったから、叙情詩を?なんでそう思った?」

「衣の意匠が、叙情詩の。」
とフィリス。

「服?どこ?」

「背。流るる川にかんざし。」
ノーマが、シエルの背を確認し、確かに、と言った。

「そんな意味が。知らずに着たわ。」
とシエル。

「私のも?」
とノーマ。

「叢雲に小鳥。」
とフィリス。

シエルは、ノーマの背中を見て、あーと言った。

「言われてみないとわからないけれど、言われたら、そうとしか見えない。」
とシエル。

「私ら旧き家じゃないけど、良かった?」
とノーマ。

「気に入れば、とお父様が。」
フィリスはふんわりと笑った。

「それは良かった。」

「誠に。」
とフィリス。
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