フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

文字の大きさ
159 / 1,464
第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった?

160.特定の相手がいない男性が公の場で、彼の母親に対して、男が女する紳士的な振る舞いをしているのを見たら、嫉妬する?安心する?逃げる?

しおりを挟む
「成人後はコーハ王家の成人王族として、国を盛り立てていく。」
第4王子フィリップ殿下から始まり、成人の儀の昼の部は恙無く終了。

夜会がスタート。

第4王子殿下の初ダンスのお相手を務めたのは、実母の王妃陛下であった。

選ばれなかったがっかり感と、実母に負けるのも仕方ないという諦めの後、すぐに気持ちを切り替え、一曲でも是非と狙う令嬢とその他親達により、そこここで熾烈な駆け引きや蹴落とし合いが繰り広げられた。

ウィルソンとレオナルドはフィリップ殿下と同い年である。
特大な餌のフィリップ殿下の側近として仲良く並んでいるが、2人とも公爵家の次男。
地位も名誉も十分あり、フィリップ殿下と並んでも見劣りしない容姿と知性。
狩人には、3人とも、腹が満たされる獲物。

場外乱闘も、起こしながら終了した。


「愛しいフィリスに祝われたかった。」
フィリップ殿下の本日の感想はこれに尽きた。

誰がどんな祝いを述べようと、媚びをうろうと、フィリップ殿下の感情は砂浜の波を見るくらい平坦なままだ。
寄ってるなー。ひいてるなー。また寄ってるなー。

ウィルソンもレオナルドも、見過ぎるほど見てきて、慣れてきた。

主人である第4王子フィリップは、11歳で7歳のフィリスを見初め、4年間片思いを熟成させた結果、14歳にして、11歳の(誕生日の時期の関係で、フィリスが10歳から11歳になる方が、フィリップ殿下が14歳から15歳になるより早かった)フィリスに泣いて保護者を呼ばれるくらいの何かを心の中に育ててしまった。

15歳になったところで、何も変わろうはずがない。
進化しないことを祈り、4歳下のフィリスに実害が出ないようにするのが精一杯である。

フィリップ殿下はフィリスに欲情しているが、11歳のフィリスは同性を性欲の対象にしていない。

フィリスは自分を男だと認識しており、男は友人枠に入れている。
同性に対しては、父、兄弟、友達、友達の家族、知らない人の枠組みで全て分類している。

15歳になったウィルソンとレオナルドから見て、フィリスは異性愛者にしか見えない。

フィリップ殿下の重い思いが、成就する未来は来ないと断言出来る。

王族として、最大のネックであるガランへの理解を深めても、フィリスがフィリップ殿下の隣に立つことはないだろう。

フィリスの語る未来は、愛するガラン領に住み、ガラン領のために生き、ガラン領に骨を埋めること。

2人の未来は交差さえしない。

現在、フィリップ殿下が無理やり絡み付いているから、交流があるにすぎない。

フィリスは、どれだけフィリップ殿下が一緒に過ごす時間を捻出しても、フィリップ殿下に一欠片の関心も持っていない。

いっそう残酷なくらいにハッキリしている。

口では、嫌とか、嫌いとか言うが、目の前にいなければ、どうでもよいのは明白。存在を思い出しさえしない。

興味がないことをフィリスは隠さない。

フィリップ殿下の片思いを知っていても、自分のために利用したりはしない。

決して思いに応えることがないフィリスなりの誠実さだ。

フィリスの誠実さが、フィリップ殿下の昏く救いのない片思いの昇華に繋がればよいのに。

ウィルソンもレオナルドも、フィリップ殿下とは側近として10年くらい付き合ってきた。

情もある。
才能に胡座をかかない努力家の一面も知っている。一緒に切磋琢磨してきた仲だから。
フィリスがつれないのをわかっていながらも、フィリスにしか思いを向けることが出来ない不器用さ。
諦めた方が絶対楽に生きられる。
でも、その思いを誤魔化したり、封印してしまったら、フィリップ殿下は、皆の人気者の姿を保てなくなるに違いない。

もし、ガランとの誓約に引っかかり、フィリップモリスが王族でなくなったり、国外へ出ることになったりして、ウィルソンとレオナルドが側近でいられなくても、せめて、幼馴染として力になりたい。

口には決してだすことが出来ない、ウィルソンとレオナルドの成人の儀の誓いである。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ユキ・シオン

那月
BL
人間の姿をした、人間ではないもの。 成長過程で動物から人間に変わってしまう”擬人化種”の白猫青年と、16歳年上のオッサンとのお話。 出会ったのは猫カフェ。白猫従業員としての青年と客としてやってきたオッサン。 次に再会したのは青年が人間として通う大学。オッサンは保健室の先生だった。 青年が金のためにヤバいことをしていて、あるトラブルが起こる。 そこへ見計らったかのようにオッサンが飛び込んで救出したのをきっかけに2人の距離は縮まり…… ※表紙絵は自作。本編は進むにつれてどんどん動物園と化します(笑)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

ギルド職員は高ランク冒険者の執愛に気づかない

Ayari(橋本彩里)
BL
王都東支部の冒険者ギルド職員として働いているノアは、本部ギルドの嫌がらせに腹を立て飲みすぎ、酔った勢いで見知らぬ男性と夜をともにしてしまう。 かなり戸惑ったが、一夜限りだし相手もそう望んでいるだろうと挨拶もせずその場を後にした。 後日、一夜の相手が有名な高ランク冒険者パーティの一人、美貌の魔剣士ブラムウェルだと知る。 群れることを嫌い他者を寄せ付けないと噂されるブラムウェルだがノアには態度が違って…… 冷淡冒険者(ノア限定で世話焼き甘えた)とマイペースギルド職員、周囲の思惑や過去が交差する。 表紙は友人絵師kouma.作です♪

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!

タッター
BL
 ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。 自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。 ――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。  そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように―― 「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」 「無理。邪魔」 「ガーン!」  とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。 「……その子、生きてるっすか?」 「……ああ」 ◆◆◆ 溺愛攻め  × 明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け

処理中です...