フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

文字の大きさ
165 / 1,496
第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった?

166.成人したボク、王城から、ウィルソンの兄に拉致されているの。この人達、近衛騎士なの?近衛騎士の主人って、まさか。

しおりを挟む
成人の儀が終わり、フィリスは友人に会うために会場に残り、ダルクは予定通り、出国していった。

「フィリス・ガラン」
名前を呼ぶ声は聞いたことがある。
ウィルソンの兄だ。

「聞きたいことがある。」
ウィルソンの兄は、いつも一方的。

「ボクには、話すことなんてない。貴殿の名前も聞いたことがないんだから。」

フィリスの目はこの会場のどこかにいるであろう、ノーマとシエルを探していた。

「話してもらう。建国の誓約とは何だ?」

「ボクに聞くの?教えてくれた人はなんて?」

次期公爵だというけれど、この人、出来るのかしら。

「ガランに関わると。さあ話せ。」

「知りたかったら、ちゃんと面会手続きふんで、教えて下さいと、頭をさげるんだよ。なんでしないの?」

ノーマもシエルも見つからない。行き違いになったのかも。
王都邸に帰って、連絡しよう。

フィリスは帰ることにした。

フィリスの周りには、揃いの制服姿の男が何人もいる。

「この人達は、何?」

「馬鹿過ぎて話にならんな。自国の近衛の制服も知らないとは。」

フィリップ殿下は、王子だけど、フィリスと会うときは、近衛を近くに置いていなかった。ウィルソンとレオナルドが、護衛を兼任していたし、フィリップ殿下自身が戦える王子だったから。

フィリスは、近衛の制服の話はしていない。
なんで、武装した人間に囲まれているか知りたいから、聞いたのだ。

「フィリス・ガラン。先の成人の儀での誓いは撤回しろ。」

「しないよ。なぜ、撤回させたいの?」

「お前は、近衛に入るからだ。」

「入らない。戦わない。ボク、守ってもらう側だよ。」

とりあえず、話が通じないなら、相手にしないに限る。

フィリスは帰ろうとした。

「御免。」
近衛騎士が素早くフィリスを抱きかかえる。

「ちょっと。やだ。離して。」
王城で、貴族子弟を近衛が誘拐したらだめでしょう!
フィリスは暴れたが、びくともしない。

「こんなの拉致だよ。誘拐だよ。近衛がすることじゃない。」

「いや、近衛の仕事だな。」

「まさか。」
フィリスは血の気がひいた。
思い当たる1人の人。
さっきまで熱の籠もった視線を送っていた人。
フィリップ殿下!

こんなことをしたら、だめ。

「お前を召し上げたい方がお待ちだ。可愛がっていただくといい。」

「なんで?犯罪だよ。止めよう、ね、主人を犯罪者にしてしまうんだよ。」

「犯罪など存在しない。フィリス・ガランは自らの意思でフィリップ殿下の元に駆けつけたのだ。」

「駆けつけないよ。いやだ。帰して。」

近くに誰か?と思っても顔は伏せさせられて周りが見えない。

拉致された先で、待ち構えているフィリップ殿下と再会なんて。

さっき、別れの挨拶をしたのに。

思いとどまらないと、人生の分岐点が来ちゃうんだよ。

逃げられない。助けてくれる人もいない。

フィリスの目が涙で曇った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ヒーロー組織のサポートメンバーになりました!

はちのす
BL
朝起きたら、街はゾンビだらけ!生き残りたい俺は、敵に立ち向かうヒーロー組織<ビジランテ>に出逢った。 ******** 癖の強いヒーロー達の"心と胃の拠り所"になるストーリー! ※ちょっとイチャつきます。

氷の婚約者様に破談を申し出たら号泣された

楽矢
BL
目が覚めると、レースの牢獄のような天蓋付きベッドの上だった。 何も覚えていない出来損ない下級貴族ミラ。無能だクズだと冷酷な罵詈雑言を浴びせてくる氷の騎士セティアス。 記憶喪失から始まる、2人のファンタジー貴族ラブコメディ。 ---------- ※注) かっこいい攻はいません。 タイトル通りそのうち号泣しますのでご注意! 貴族描写は緩い目で雰囲気だけお読みいただけると幸いです。 ハッピーエンドです。 激重感情をこじらせた攻→受な関係がお好きな同志の方、どうぞよろしくお願いします! 全16話 完結済み/現在毎日更新予定 他サイトにも同作品を投稿しています。 様子を見ながらそのうち統合するかもしれません。 初めての一次創作でまだよく分かっておらず、何かおかしなことをしでかしていたら申し訳ないです!

【柳原学園】いやいや、俺は『俺様生徒会長』だから

西園 斎
BL
家の都合で『俺様』を演じてる生徒会長が、生徒会やら風紀やら教師やらから好かれるお話。 演技俺様会長総受け(愛され)/後固定CP *10年以上前の作品を、やや加筆修正していきます

身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される

秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました! 最終17位でした!応援ありがとうございます! あらすじ 魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。 ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。 死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――? 傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。

【完結】Restartー僕は異世界で人生をやり直すー

エウラ
BL
───僕の人生、最悪だった。 生まれた家は名家で資産家。でも跡取りが僕だけだったから厳しく育てられ、教育係という名の監視がついて一日中気が休まることはない。 それでも唯々諾々と家のために従った。 そんなある日、母が病気で亡くなって直ぐに父が後妻と子供を連れて来た。僕より一つ下の少年だった。 父はその子を跡取りに決め、僕は捨てられた。 ヤケになって家を飛び出した先に知らない森が見えて・・・。 僕はこの世界で人生を再始動(リスタート)する事にした。 不定期更新です。 以前少し投稿したものを設定変更しました。 ジャンルを恋愛からBLに変更しました。 また後で変更とかあるかも。 完結しました。

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。

みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。 生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。 何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。

拾われた後は

なか
BL
気づいたら森の中にいました。 そして拾われました。 僕と狼の人のこと。 ※完結しました その後の番外編をアップ中です

不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる

六志麻あさ
ファンタジー
異世界に召喚され、魔王を倒して世界を救った少年、夏瀬彼方(なつせ・かなた)。 強大な力を持つ彼方を恐れた異世界の人々は、彼を追い立てる。彼方は不遇のうちに数十年を過ごし、老人となって死のうとしていた。 死の直前、現れた女神によって、彼方は二度目の人生を与えられる。異世界で得たチートはそのままに、現実世界の高校生として人生をやり直す彼方。 再び魔王に襲われる異世界を見捨て、彼方は勇者としてのチート能力を存分に使い、快適な生活を始める──。 ※小説家になろうからの転載です。なろう版の方が先行しています。 ※HOTランキング最高4位まで上がりました。ありがとうございます!

処理中です...