フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

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第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった?

222.ハーマルのサバイバル道中。学校の卒業式には、出たいなあ。ハーマルには、1人だけ、お礼を伝えたい先生がいる。

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王都を脱出したハーマル一行は、やたらめったらぶち当たったり、轢いたり、弾き飛ばしたりしながら進んでいる。

「障害物が多いのかな?獣道を選んでいるんだね。」

「街道より少し奥まっていますから。落とし物や置物、忘れ物を拾いにくる機会は少ないでしょうね。」

「どさくさに紛れて、刺客が色々混ざってますな。」

「ハーマル様、なんとしても、帰りおおせますよ。」

「生きながら、生皮剥がされないために。」

「え?剥製にされるの?」


車中は、わいわいと賑やかに盛り上がっている。ハーマルが思考の波に溺れて、いざというときに、動けなくならないように。
わざと気の抜けた会話をしている。

「ハーマル様。乗り物で進むのは、早いし、楽なんですけど、限界がきたようです。」

「障害物が多すぎて、損傷がね。このままだと、止まった途端に集中攻撃喰らいます。」

「移動しながら、徐々に速度を上げていきます。」

「最高速度になったら、その勢いで、外へ。」

「外に出たら、四方八方敵だらけです。」

「敵の包囲網を突破しながら進みます。」

「後退も停止もしません。」

「いいですね?」

「ハーマル様とチャーチャ様は必ず、やり遂げられます。」

「ハーマル様自身の安全だけを考えるんです。」

「サバイバルな学生生活で培った、慎重さ、観察眼、運動神経、警戒心、判断力を今こそ活かすときです。」

「学校生活を生き延びた根性と冷静さが、生死をわけます。」

温かく優しい、ハーマルにとってのもう1つの家族との別れは、もう少しでやってくる。

大切な家族との別れの他に、ハーマルには、考えこんでしまう理由がある。
12歳から在籍した貴族学校は、単位をとり終えているので、卒業は出来る。けれど、卒業式に出られるかわからない。それが、ハーマルのもう1つの心残りだ。

ハーマルには、1人だけ、心からの気持ちを伝えたい先生が貴族学校にいる。

ハーマルの学校生活開始から半年近くなって、新しく赴任してきた若い男の先生。

ハーマルが学校生活に苦労していると、いつも助け出してくれて、学校にいる間は、ずっと一緒にいてくれた。

『わたしはハーマル君の担任。』
『私のクラスの?』
『違うよ。私が担任をする生徒は、ハーマル君1人だけ。』
嫌がらせで、授業に出席することもままならないハーマルのために、毎日、1日中授業をしてくれた。

留学するときは、『寂しくなるけど、いい経験だから』と送り出してくれた。
帰国したら、『よく頑張ったね、お帰り。』と出迎えてくれた。


ハーマルが就職先を決めるときも相談にのってくれて、調べ物も手伝ってくれて、採用試験の対策も一緒にしてくれた。

卒業式までに、学校に戻れたら、先生に精一杯の感謝を伝えたい。
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