フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

文字の大きさ
223 / 1,496
第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった?

224.逃げてばかりで戦うことが出来ない自分の弱さに苦しんできた。捕まらないため、殺されないために、逃げて、避ける。それが、私の戦い方。

しおりを挟む
ガラン領が見える距離まできた。

ほっとする。あともう一息。

息を吐いた瞬間、体を衝撃が襲う。

護衛が移動して、体でハーマルを庇ったが、迎撃は間に合わなかったらしく、2人が動きを止めた。

「止まらず。」

分家の子の執事が、衝撃にのまれそうになったハーマルの意識を引き戻す。

2人に気を取られて、捕まったら、2人も、これまで置いてきた者も、今残っている者も、無駄死になってしまう。

「チャーチャ。」
ハーマルは、前を向いたまま、ポケットの中の小鳥に囁く。
いつもは、掌に乗せて、目が合うように、顔の高さまで、持ち上げて話をしてきた。

本当は、今も、掌に乗せたい。けれど、今そんなことをしていたら、全滅だ。
決意だけなら、顔を見なくても、伝えられる。
「チャーチャ。私は、1人でも多く家族を生き残らせて、私自身もチャーチャと一緒に生きてガラン領へ戻る。」
チャーチャは、動かない。
「難しいかもしれないけど、攻撃を出来るだけ、私自身が避けて前に進みたい。」
チャーチャの入っているポケットが少し膨らんだ。
「一緒に戦ってほしい。」
ハーマルは気づいたのだ。
「攻撃する力がないから、戦闘力がないわけじゃない。敵に捕まらないように、逃げ切ることだって、立派な戦いだ。」
今、ここから、ハーマルは変わる。
「チャーチャ。私は、これから、弱い自分に震えるんじゃなくて、自分の弱さを武器にする。」

チャーチャがポケットの中で震えている。

チャーチャの振動が段々大きくなっていく。

「チャーチャ、どうしたの?」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ヒーロー組織のサポートメンバーになりました!

はちのす
BL
朝起きたら、街はゾンビだらけ!生き残りたい俺は、敵に立ち向かうヒーロー組織<ビジランテ>に出逢った。 ******** 癖の強いヒーロー達の"心と胃の拠り所"になるストーリー! ※ちょっとイチャつきます。

氷の婚約者様に破談を申し出たら号泣された

楽矢
BL
目が覚めると、レースの牢獄のような天蓋付きベッドの上だった。 何も覚えていない出来損ない下級貴族ミラ。無能だクズだと冷酷な罵詈雑言を浴びせてくる氷の騎士セティアス。 記憶喪失から始まる、2人のファンタジー貴族ラブコメディ。 ---------- ※注) かっこいい攻はいません。 タイトル通りそのうち号泣しますのでご注意! 貴族描写は緩い目で雰囲気だけお読みいただけると幸いです。 ハッピーエンドです。 激重感情をこじらせた攻→受な関係がお好きな同志の方、どうぞよろしくお願いします! 全16話 完結済み/現在毎日更新予定 他サイトにも同作品を投稿しています。 様子を見ながらそのうち統合するかもしれません。 初めての一次創作でまだよく分かっておらず、何かおかしなことをしでかしていたら申し訳ないです!

灰の底で君に出会う

鮭茶漬け
BL
両親を亡くした高校生、神崎透は叔母の家に引き取られて暮らしている。しかしその家は、家族と呼べる場所ではなかった。家事、雑用、そしてバイト。どれだけ働いても感謝されることはなく、透は「穀潰し」と呼ばれながら日々を過ごしていた。 それでも透は思っている。ここに置いてもらえるだけでありがたい、と。 これは――居場所を持たなかった少年が、初めて愛を知るまでの物語。

【柳原学園】いやいや、俺は『俺様生徒会長』だから

西園 斎
BL
家の都合で『俺様』を演じてる生徒会長が、生徒会やら風紀やら教師やらから好かれるお話。 演技俺様会長総受け(愛され)/後固定CP *10年以上前の作品を、やや加筆修正していきます

拾われた後は

なか
BL
気づいたら森の中にいました。 そして拾われました。 僕と狼の人のこと。 ※完結しました その後の番外編をアップ中です

二十年仕えた王女が私を敵に売った。それでも守ることにした

セッシー
ファンタジー
二十年間、王女殿下の護衛騎士として仕えた。その殿下が、私を敵に売った。 牢の中で事実を知り、一分考えて——逃げることにした。殿下の目的を、まだ果たしていないから。 裏切りの真相を確かめるため、一人王都へ戻る護衛騎士の話。

妖精です、囲われてます

うあゆ
BL
僕は妖精 森で気ままに暮らしていました。 ふと気づいたら人間に囲まれてました。 でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。 __________ 妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精 なんやかんやお互い幸せに暮らします。

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。

みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。 生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。 何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。

処理中です...