フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

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第5章 コーハ王国の近衛には、わがまま姫がいる。フィリス・ガランという子爵家子息。コーハ王国のイイ男を侍らせて、手玉にとっているらしいよ?

444.風が吹いてきた気がしない?ボク達は、風に呼ばれてきたの。風の赴くままにね。フィリスの後に続く後輩達の反省と観察と決意。

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「準備運動もしたし、用意はいいね?」
とフィリス。

「最終兵器ボク達作戦の責任者は、ボクだから、3人はお仕事に励むのみ。ボクは、6人分の責任くらいとれるからね。やり過ぎくらいでちょうどいいよ。」
とフィリス。

「出発!」


会員制の高級ホテル前。

会員でない4人は、敷地に入る前に止められた。

「会員様のお名前を。」
と聞かれる。

フィリスは、近衛の制服の懐から扇を取り出した。

後輩3人は、扇なんていつ仕込んだと不思議に思いながら、何食わぬ顔をしている。

「ごめんくださいませ。風が呼んでおりますの。」
と扇を振って広げる。

フィリスの『風』という言葉とともに風が吹く。

そよ風が吹いたと思ったら、フィリス達4人を中心に風が渦巻きを作った。

フィリスを中心に台風が1つ出来上がる。

台風の目にいる4人は、なんの被害もないが、周りは暴風域である。

「風に招かれて、断る者がおりましょうか?」
とフィリスは、広げた扇を右に左にとかざす。

「風の吹くままに、いざ進まん。」
フィリスの合図に従って、ダンシェル、ロウウェル、レイモンドは後についていく。

「盛大にって言っていたもんな。台風を作って、突撃したら、確かに目立つ。」
とロウウェル。

「台風が出来る過程を初めて見た。」
とレイモンド。

「台風ごと進むのか?」
とダンシェル。

「勿論。風のお導きだもの。」
とフィリス。

導く風はフィリスの自作で、操作もフィリス自身。


新人のときは、フィリス達に、めちゃくちゃ手加減されていたんだなあ。
とロウウェルは、少し恥ずかしくなった。

台風を瞬く間に作れる実力を持ちながら、今まで手の内を明かさなかった。
今日のことは、闇に葬ると決まっているから、最初から使っているのか。
とレイモンドは思った。


ダンシェルは、フィリスの小柄な後ろ姿を見て、俺の好きな人は大物だな、と考えている。

フィリスは、10年でダンシェルを引き上げると実兄ハーマルに決意を語った。
それは、きっと、ダンシェルとフィリスのため。
その場にいたから、ダンシェルはよく理解している。
今は、フィリスが全力で守ってくれているということを。

フィリップ殿下とフィリスは、フィリップ殿下の一方的な片思い。
ジーンやラウルとフィリスは、兄貴分と手のかかる弟分みたいな関係だ。

でも、噂になっている3名の名前のインパクトがありすぎて、男爵家のダンシェルの名前がフィリスと紐づけされることはなかった。

フィリスは、ダンシェルに対して手のかかる後輩という態度を崩さない。

ダンシェルの心は、ずっと隠していないし、隠すつもりもない。

ダンシェルから働きかけることはあっても、フィリスからダンシェルに働きかけることはない。

だから、ダンシェルが一方的に好いているように見える。

でも、ダンシェルは知っている。

フィリスは、ダンシェルの好意を拒絶したことは1度もない。

ダンシェルの好意を喜び、ダンシェルがフィリスの側に、無理なく、いられるように、そっと手を添えてくれる。

今のダンシェルは、フィリスの傘で守られている。

フィリスは、ダンシェルを頼らない。
今のダンシェルでは、まだ力不足だからだ。

ダンシェル自身も自覚している。

だから。

胸を張って、フィリスと並んで歩けるようになる努力は、惜しまない。
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