フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

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第5章 コーハ王国の近衛には、わがまま姫がいる。フィリス・ガランという子爵家子息。コーハ王国のイイ男を侍らせて、手玉にとっているらしいよ?

571.『子どものうちに命を狙われるのは、一人前になったら、手も足も出ないから。わたしは、自分が子どもであることを言い訳にしなかった。』

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マーゴットは、当主である父ダルクの薫陶を受け、長兄デヒルの英才教育をやり遂げた。

そこらの貴族子弟ごとき、束になっても敵ではない。

マーゴットの目的は、近衛のていたらくぶりを近衛自身につきつけて、国の中枢も含めた意識改革を図ること。

そのためにも、多少の犠牲は出てしかるべし。

人間は、生きていたら、病気になったり、怪我をしたりする。

怪我が悪化して、手を尽くしても間に合わないこともあるかもしれない。

不幸なことに。

不幸な出来事は、ある日突然、その身にふりかかるものだ。

不慮の死だとか、不慮の事故だとかいう言葉が廃れないのは、人間の歴史に欠かせないから。

つまり、マーゴットは、やる気に満ちている。

どんとこい、ではない。

どこからやるか、である。

サブリーとユージュアルが怯えているのは、マーゴットのやる気が伝わってきているから。

女帝マーゴットが君臨する屍累々の訓練所。

簡単に想像できてしまう。



マーゴットは、準備万端。

標的の位置は把握済み。

素早く移動して、ザクザク。

こいつ、いらない、ザクザク。

こいつ、邪魔、ザク。

こいつ、生かせば、使える、ザク。

魔法も武器も容赦なし。

悲鳴を上げる暇もない。

呼び出され、不満だらけで、文句を垂れていた近衛騎士団の団員達は、殺し合いが言葉通りだと理解して、戦闘態勢に入った。

戦闘態勢に入るのも遅ければ、危機意識を持つのも遅い。

殺し合いだと、親切にも宣言してやっているのに、ぼけっと突っ立っているだけなんて、肉の壁にもならない。

戦闘をなめ過ぎ。

日常の戦闘なんて、わざわざ宣言から始まったりしない。

ある日背後から、ドスっと一突きしにやってくる。

犯人は、見知らぬ他人だったり、親しくしていた友人だったり、色々だ。

近衛を名乗るからには、戦闘ぐらい出来なくてどうする?

戦闘が無理なら、盾になれ。

盾に、と言いたいが、盾になる根性も度胸も覚悟もないようだ。

一目散に背中を見せて逃げていく。

上官命令もなんのその。

隊列も、隊形も、ボロボロに崩壊している。
1度でも、マーゴットの攻撃が届いたなら、その距離から踏み込んでこない。

いらないやつは、開始早々、ザクザクした。もう、起き上がることはない。

どうしようもない下っ端は、追い払った。

さて、残った者達。力と力をぶつけてみましょう。

逃げ出さなかったのは、責任感か、根性か、臆病さからくるものか。

フィリスお兄様のために、使える人間が残るといいけれど。

前哨戦は終わった。

本戦開始。
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