フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

文字の大きさ
616 / 1,464
第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

617.女性を追いかけて、女性達の元締めのいる仮事務所へ引っ立てられたサブリーとユージュアル。

しおりを挟む
サブリーとユージュアルは、経験豊富そうな女性の後を追いかけ、追いかけているのを見つかって、お招きされている。

女性達の元締めの仮事務所にて。

「後をつけた理由を言え」
と凄まれて。
「お願いできるかと思って。」
と答えている。けろっと。

元締めは黙って、2人を見ている。

「あんた達、貴族だろ?」

「「うん。」」

「貴族の相手はしねえんだ。」

「「なんで?」」

「貴族の客はとらねえんだ。」

「俺達、普通の人間だよ。いきなり、変身したりしないよ?」

「普通の人間だから、人間を食べたりしないぞ。」

「変身したり、食べたり、する客はとらねえが、そうじゃねえ。」

元締めは、面倒な気持ちでいっぱいだ。

ただの一般人なら、一喝して追い払うが、近衛の制服を着ているのに、頭のよくなさそうな質疑応答にしかならない2人組の若者。

のんびりした平和な国で暮らすのんびりした貴族子弟に違いない。

のんびりしているから、元締めの殺気立っている気配が、全く伝わらない。

「あんたら、仕事中じゃないのか?」

「「仕事?」」
きょとんとする2人。

「制服着て、仕事しているんじゃないのか?」

2人の若者は顔を見合わせる。
「仕事、なんか言われた?」
「何も聞いていない。」

「「多分、大丈夫。」」

「仕事じゃないなら、何していたんだ?」

「歩いていた。」

「なんで歩いていたんだ?」
元締めは、日中、制服着て堂々と女性の後をついてくる若者の対処くらい、さんざんしてきた。

いたずら半分、期待半分から、思い詰めた奴から、権力で誤魔化したい奴から、色々。

この2人は、今までの若者とは違う。

おそらく、なんにも考えてない。
権力を行使する発想もない。

たまたま女性を見つけた。
声をかけてみようとしたら、どっかに行くから、どこに行くのかと思ってついてきた。
ついてきて、元締めに確保された。

確保したのが、元締めじゃなかったら、金を巻き上げて、身ぐるみはがして、ぽい、しているだろう。

能天気過ぎて、相手し辛い。

貴族子弟となると、露骨に蔑ろにはできない。
本人がアホでもスカタンでも、巨大なバックがついていたりする。

「道があるから?」
「海の上は歩かないもんな。」

「「なーなー、なんでダメ?」」

2人の関心は、女性とどうこうすることより、ダメな理由への好奇心にうつったようだ。

仮事務所に入ってきたときも、きょろきょろ、して楽しそうにしていた。

豪胆なのかと思いきや、緊張感がないだけだった。

好奇心を満たして、帰してしまおう。

「お貴族さまとはご縁のない商売だからな。」

「心配しなくても、俺達、貴族だよ。」

「貴族にも色々あるだろう?」

「色々って?」

「王様と仲良しとか。庶民に近いとかな。」

「大丈夫。偉い人の言うことは、ちゃんと聞いている。」

「なんて言われたんだ?」

「自由にしていいんだよ、俺達。」
「好きに過ごしていいんだ、俺達。」

元締めは、半眼になりそうだった。

試しに聞いてみたが、偉い人の血縁の可能性がある。

「偉い人ってどのくらいの人だ?」

「「どのくらい?」」

「上から数えたら?」

「分からないけど、偉い人の言うことを聞いていれば問題ない。」

「爵位とか?」

「「なんだっけ?」」

「侯爵(ジーン)?」
「公爵(ウィルソン)?」
と若者はひねり出したが、なんだっていいんだ、と言った。

「偉い人が分かっていれば、いいんだよ。」

そんなわけあるか、と元締めは腹の中でどやしつけている。

1番上が下っ端に関係する日なぞ、一生のうち、何度もあるものではない。
縦社会で重要なのは、直属の上司の覚えが目出度いこと。

つまり、この2人は、公爵だか、侯爵だか、お偉いさんの庇護下にあり、公認でのびのびしているわけだ。

しかも、その偉い人の公爵だか、侯爵だかも、本当に偉いのだろう。

権力とは当たらず触らずでいたいものだ、と元締めはため息をつく。

元締めのもとに、2人の身元を確認しにいっていた部下が知らせにきた。

「コーハ王国の王子が滞在中で、王子と一緒にきた近衛ッス。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ユキ・シオン

那月
BL
人間の姿をした、人間ではないもの。 成長過程で動物から人間に変わってしまう”擬人化種”の白猫青年と、16歳年上のオッサンとのお話。 出会ったのは猫カフェ。白猫従業員としての青年と客としてやってきたオッサン。 次に再会したのは青年が人間として通う大学。オッサンは保健室の先生だった。 青年が金のためにヤバいことをしていて、あるトラブルが起こる。 そこへ見計らったかのようにオッサンが飛び込んで救出したのをきっかけに2人の距離は縮まり…… ※表紙絵は自作。本編は進むにつれてどんどん動物園と化します(笑)

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

ギルド職員は高ランク冒険者の執愛に気づかない

Ayari(橋本彩里)
BL
王都東支部の冒険者ギルド職員として働いているノアは、本部ギルドの嫌がらせに腹を立て飲みすぎ、酔った勢いで見知らぬ男性と夜をともにしてしまう。 かなり戸惑ったが、一夜限りだし相手もそう望んでいるだろうと挨拶もせずその場を後にした。 後日、一夜の相手が有名な高ランク冒険者パーティの一人、美貌の魔剣士ブラムウェルだと知る。 群れることを嫌い他者を寄せ付けないと噂されるブラムウェルだがノアには態度が違って…… 冷淡冒険者(ノア限定で世話焼き甘えた)とマイペースギルド職員、周囲の思惑や過去が交差する。 表紙は友人絵師kouma.作です♪

【BL】死んだ俺と、吸血鬼の嫌い!

ばつ森⚡️8/22新刊
BL
天涯孤独のソーマ・オルディスは自分にしか見えない【オカシナモノ】に怯える毎日を送っていた。 ある日、シェラント女帝国警察・特殊警務課(通称サーカス)で働く、華やかな青年、ネル・ハミルトンに声をかけられ、【オカシナモノ】が、吸血鬼に噛まれた人間の慣れ果て【悪霊(ベスィ)】であると教えられる。 意地悪なことばかり言ってくるネルのことを嫌いながらも、ネルの体液が、その能力で、自分の原因不明の頭痛を癒せることを知り、行動を共にするうちに、ネルの優しさに気づいたソーマの気持ちは変化してきて…? 吸血鬼とは?ネルの能力の謎、それらが次第に明らかになっていく中、国を巻き込んだ、永きに渡るネルとソーマの因縁の関係が浮かび上がる。二人の運命の恋の結末はいかに?! 【チャラ(見た目)警務官攻×ツンデレ受】 ケンカップル★バディ ※かっこいいネルとかわいいソーマのイラストは、マグさん(https://twitter.com/honnokansoaka)に頂きました! ※いつもと毛色が違うので、どうかな…と思うのですが、試させて下さい。よろしくお願いします!

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

有能すぎる親友の隣が辛いので、平凡男爵令息の僕は消えたいと思います

緑虫
BL
第三王子の十歳の生誕パーティーで、王子に気に入られないようお城の花園に避難した、貧乏男爵令息のルカ・グリューベル。 知り合った宮廷庭師から、『ネムリバナ』という水に浮かべるとよく寝られる香りを放つ花びらをもらう。 花園からの帰り道、噴水で泣いている少年に遭遇。目の下に酷いクマのある少年を慰めたルカは、もらったばかりの花びらを男の子に渡して立ち去った。 十二歳になり、ルカは寄宿学校に入学する。 寮の同室になった子は、まさかのその時の男の子、アルフレート(アリ)・ユーネル侯爵令息だった。 見目麗しく文武両道のアリ。だが二年前と変わらず睡眠障害を抱えていて、目の下のクマは健在。 宮廷庭師と親交を続けていたルカには、『ネムリバナ』を第三王子の為に学校の温室で育てる役割を与えられていた。アリは花びらを王子の元まで運ぶ役目を負っている。育てる見返りに少量の花びらを入手できるようになったルカは、早速アリに使ってみることに。 やがて問題なく眠れるようになったアリはめきめきと頭角を表し、しがない男爵令息にすぎない平凡なルカには手の届かない存在になっていく。 次第にアリに対する恋心に気づくルカ。だが、男の自分はアリとは不釣り合いだと、卒業を機に離れることを決意する。 アリを見ない為に地方に移ったルカ。実はここは、アリの叔父が経営する領地。そこでたった半年の間に朗らかで輝いていたアリの変わり果てた姿を見てしまい――。 ハイスペ不眠攻めxお人好し平凡受けのファンタジーBLです。ハピエン。

不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!

タッター
BL
 ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。 自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。 ――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。  そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように―― 「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」 「無理。邪魔」 「ガーン!」  とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。 「……その子、生きてるっすか?」 「……ああ」 ◆◆◆ 溺愛攻め  × 明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け

処理中です...