フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

673.誘拐される前に耳目を集めて、誘拐を阻止せよ。即席ハーモニーと絶妙トークで、見物人を集めるの。目玉商品は、ボク達じゃなくなったみたい?

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『坊っちゃん。誘拐は、計画的犯行です。いつ、どこで、誰を誘拐するか、綿密に計画を立てるもんです。誘拐は、人質という不確定要素に振り回されないように、人質の動きを封じれば、だいたいうまくいきます。』

『坊っちゃんが、坊っちゃんの大切な人に悲しい思いをしてほしくないのなら、誘拐されないことです。』

『誘拐犯は、誘拐する前に、邪魔が入ることを嫌います。』

『誘拐する前に、発覚してしまったら、全部、水の泡。』

『坊っちゃん。異世界の子どもは、学校に行くカバンに防犯ブザーをつけます。』

『とても、防犯ブザーは、紐を引っ張ると、大きな音がなります。止めるまで、なり続けるんです。うるさくて、周りが注目してしまうんです。』

うるさくて?

分かった。

ボクのすること。

ボクは、1人じゃない。

サブリーも、ユージュアルもいる。

アンドリューもクリストファーも。

武力を制限されていても、ボク達には戦う術がある。

だって、ボク達は、近衛別働隊。

本業は、歌と踊り。

ボク達には、誰にも傷を負わせること無く、戦う方法がある。

「サブリー、ユージュアル、ボクに合わせてね。」

ボクは、声に魔力を乗せる。

ハンティア王国の王都にいる、コーハ王国の外交団まで、届けるの。

ボクの歌を聞いて、サブリーがまず加わる。

サブリーの声にも魔力が乗って、2倍になる。

ユージュアルが、アンドリューとクリストファーを誘う。

ユージュアルも声に魔力を乗せていく。

「アンドリューとクリストファーも加わろう。」

ボクとサブリーは、歌いながら、アンドリューとクリストファーに歩み寄るけど、
貴族のご令嬢の壁に阻まれる。

「アンドリューとクリストファーの顔が見えないと、合わせづらいなあ。もっと近くに来れない?」

ご令嬢の壁は動かない。

アンドリューとクリストファーも動けない。

ユージュアルは、ご令嬢方に声をかける。

「お嬢様、うちの歌い手さんの様子は分かる?」

「人が多いせいか、様子が見えないなあ。」

ユージュアルは、一際大きな声を出した。
「お嬢様、いくら、貴族のご令嬢だとしても。うちの歌い手さんに、お触りは禁止。」

アンドリューとクリストファーの周りのご令嬢に、さざ波のような衝撃が走り抜ける。

「貴族のご令嬢に釘をさすのは野暮だけどなあ。うちは、歌い手さんの芸術だけを売っている。」

ユージュアルの声に乗る魔力が増えた。

「若い男の歌い手さんの体が目当てなら、他を当たってくれないかな?」

ご令嬢方が血相を変えた。
手に持っている扇子でユージュアルを叩いた。

「痛いなあ。ハンティア王国の王都の街中で殴るなんて、ハンティア王国にいる貴族のご令嬢は正気かい?」

「殴られ損は、御免だよ。」

ユージュアルは、笑いをたたえたまま、話し続ける。

頬のミミズ腫れ、絶対痛い。

ユージュアルの頑張りが届くように、ユージュアルの声が通りやすくするの。

ボクとサブリーは、2人でハーモニーを奏でる。

ユージュアルは、ボク達に、ニヤっとした。

届いて、広がって、ユージュアルの声。
「おおい、おおい。若い男の芸術家のパトロンになりたい貴族のご令嬢が、10人以上、ハンティア王国の王都の街中に集まっているぞ。」

扇子を持っているご令嬢がまた、扇子を振り上げた。

続いて、2人、3人。

ユージュアルは、殴られながら、話し続ける。

ボクとサブリーは、ハーモニーを奏でながら、アンドリューとクリストファーの様子をうかがう。

まだ、ご令嬢の壁は、抜け出せない。

「飛び抜けておしゃれなドレスを来て、化粧も髪型もばっちり決めている。」
とユージュアル。
「全員、10代から20代。金持ちで長生きしてくれそうだぞ。」

「俺が、扇子で殴られたのは、好みじゃないからかなあ。」

扇子で殴ってきたご令嬢方を見るユージュアル。

「赤茶の髪と、金茶の髪と焦げ茶の髪のご令嬢は、扇子さばきが巧みだよ。」

ご令嬢方が、また扇子を振り上げた。

「おっと、見た目じゃなく、俺の口がうますぎるせいか?」

ユージュアルは、今度は、ご令嬢方の扇子をかわす。

「さあ、パトロン探しは、早い者勝ち。場所は、うちの歌い手さんの歌が目印だ。いや、耳印だ。」

「うちの拠点は、コーハ王国だよ。今日は、見物、大歓迎。」

ユージュアルの声に合わせて、サブリーが魔導具を起動させる。

ドーンと大きな音がして、ボク達の上空に、大きな白い布が流れてきて、ふわふわ漂う。

ボクの相棒、布妖怪オリベが、目印になってくれた。

ありがとう、オリベ。

大好き、オリベ。

お家に帰ったら、オリベとギュッとするの。
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