フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

927.ビーイット公爵家の父と娘。

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隠し扉が開いて、女性が姿を現した。

一言も発していないけれど、3番目の目は、爛々としているの。
ボクへの敵対心で。

ビーイット公爵家の3番目。
ナークルアンジュ・ビーイット。
名前は呼ばないの。

「役者が揃ったの。
ビーイット公爵と3番目とその他にざっと説明するの。」

シーリ・ポートに閣下と呼ばれていたビーイット公爵はつまらなそうにしている。

3番目も無関係だわ、という表情。
隠し扉から出てきた時点で、お高くとまるのは手遅れなの。

シーリ・ポートだけは、ようやっと事態を飲み込めた様子。
ボクが事前に話をしていた内容を思い返しているのかしら。
遅かったけれど。

「サージェ侯爵家の夜会で、ビーイット公爵家のイリダ殿とマルビル殿に転移陣で、ボクを拉致したの。
2人が拉致した先は、ビーイット公爵領。
ボクは、ビーイット公爵領の中に入ったの。
ビーイット公爵領が、乗っ取りにあい、ビーイット公爵家は、何代も前から、領地を統治していないことを確認してきたの。」

ビーイット公爵家一同に、何の反応もないのは、ボクの話す内容が想定内だったというところかしら。

「ビーイット公爵家には、まず、イリダ殿とマルビル殿がボクを拉致した件に対する処分があるの。」

「ふん。」
ビーイット公爵も3番目も、イリダ殿とマルビル殿に関することは、どうでもよさそうなの。

「次に。イリダ殿は、別件の関与が判明しているので、そちらの処分もあるの。」
アンタッチャブルな組織の件。

「ビーイット公爵家の当主と3番目。
キミ達2人は、3番目の婿にラウルを迎えようと、若い近衛を焚き付け、近衛交流の外交先であるティリリ王国において、ラウルに女の良さを味わわせるためと称し、ティリリ王国の貴族令嬢の夜這いをキミ達が焚き付けた近衛に斡旋させた疑いがかかっているの。」
罪を確定できないから、一旦引いたの、ボク。
証拠は今もない。
重要なのは、有罪判決じゃないの。

「疑い?罪のなすりつけだろう。」
と当主。

「ボクは、言ったの言ってない、の話はしないの。」

ビーイット公爵家は、基本姿勢からやり直しなさい。
ボクは、証拠がないから、と立ち止まって、物事の本質を見誤ったりしないの。

「今からボクが言うことをよく聞いて弁えなさい。
ボクのラウルは、3番目の婿にならないの。
3番目が、ラウルと話す機会はもうないの。
ボクが許さないから。」

「公爵家の令嬢と侯爵子息の邪魔立てをする?出来るはずがない。」
ビーイット公爵家の当主が、ボクを馬鹿にしてくるの。
まともに会話しようとしない相手は嫌なの。

「3番目。明日からキミが当主なの。」
ボクは、3番目を見遣った。
3番目の目が見開く。

「戯言を言うな。」
と当主。
シーリ・ポートが悲壮な顔で、主君を止めようとしているの。

「3番目。ビーイット公爵家の当主、キミのお父様は、今日でおしまい。この後は、ビーイット公爵家の墓所でお休みになるの。」

ボクが、今日の予定を教えると、3番目は顔色が悪くなった。
隠し扉の後ろで聞いていたんじゃなかったのかしら?
ボク、聞こえていてると思ったんだけど。
隠し扉が開いたときに、音声を拾う魔導具があったもの。

「ナークルアンジュ、耳を傾ける必要はない。」
と当主。
あと半日もしないうちに墓所に行くのに。
ビーイット公爵家の当主は、理解力が残念なの。

「ボクの話は聞いておく方が有益なの。3番目。」

ボクは、閣下と呼ばれた中年男性を視線で示す。

「ビーイット公爵家当主は、今日限りでさよならだもの。」

キミがキミのお父様を頼っても、今夜には、土の下にいるお父様には、何も叶えられないの。

「3番目。ビーイット公爵家の領地は、何代も統治していなかった上に、敵対勢力に乗っ取られていたのを放置していたため、ビーイット家は、領地を失う。」
閣下は、苦虫を噛み潰したよう。
表沙汰になったら、どうなるか?
代々、公爵家の責務を果たしていなかったんだもの。
想像はついていたかしら。

3番目も、お父様から、事情を聞いていたのかしら。
ショックは受けているけど、動揺はしていないの。

イリダ殿が、大々的に動いて、ビーイット公爵家の恥部を晒した結果。
そんな風にとらえているのかしら。
まるで、暴風雨にさらされて、耐えている木のような態度なの。

キミ達、ビーイット公爵家の当主と当主の娘だったでしょ?

被害者サイドには、一生立てないの。

「3番目は、明日から、領地なしのビーイット男爵家の当主になるの。」

無言だった3番目の口から、悲鳴がこぼれた。
「男爵!男爵?わたくしが、男爵ですって?」
3番目は淑女におさまる範囲で叫んでいる。

シーリ・ポートは、先に聞いていたからか、決定は、覆らないのか、という表情をしていた。

「馬鹿の妄言にいつまで付き合えばいいんだろうなあ?」
シーリ・ポートの主君は、周囲に同意を求め、シーリ・ポート以外は追従した。

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