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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

482.成功したら映える技を決めてみよう!魔導具『忘れず閉めるくん。』が、浅漬け作りを完璧にサポートするよ!頑張れ、レベッカ・ショア。

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「サッカーというスポーツがあって。」
と前世の意識が、サッカーのルールを説明する。

「ゴールに背を向けて、頭を下にして、足を上に来る体勢になって、宙に浮いているボールを蹴る、オーバーヘッドキックという技がある。

オーバーヘッドキックで、男子学生を蹴り出したら、ボールの要領で、ゴールに見立てた収納袋に入れてしまう。」
と前世の意識。

「人って、蹴って宙に浮くもの?」
とレベッカ・ショア。

「正面から向かい合っている、今。弁慶の泣き所を全力で蹴り上げるのがベスト。」
と前世の意識。

「弁慶の泣き所って?」
とレベッカ・ショア。

「脛。」
と前世の意識。

「脛。分かった。」
とレベッカ・ショア。

レベッカ・ショアは、一瞬で、両足に魔力を集中するやいなや。

ドカッと。
靴のつま先が、男子学生の脛にめり込む勢いで、蹴り上げる。

後ろに頭から倒れる要領で、足を蹴り上げ、腕に魔力を集中。

蹴り上げた勢いのまま、男子学生を投げた。

同時に、収納袋を魔法で引き寄せる。

風をきる勢いで宙を飛びそうな男子学生だったが。

ズボっ。

男子学生に抵抗する余地を与えないため、速やかに引き寄せた収納袋へ、頭から突っ込ませる。

解剖後の魚の部位を詰め込まれた生臭い収納袋に頭から突っ込んだ男子学生。

レベッカ・ショアは、くるっと後ろ向きに一回転して立った。

男子学生は、収納袋から出ようとしている。

レベッカ・ショアは、収納袋をゆすって、阻止。

「「なあ、しめる?しめる?」」
という、陽気な声がした。

キャスリーヌの家の商会の売れ筋商品。

『忘れず閉めるくん』
が収納袋の両端にスタンバイしている。

「しめるで、しめるで、おいらは、忘れず閉めるくん。」
と歌いながら、収納袋を閉めてくれる魔導具だ。

収納袋自体が防臭加工されていても、閉まっていなかったら、臭いが漏れる。

絶対臭いを外に出したくないあなたにオススメ!な魔導具として、防臭効果のある収納袋とセットで売り上げを伸ばしている。

どれだけ臭いがきついものに近づけても、『忘れず閉めるくん』には臭いがうつらない加工がしてある。

キャスリーヌが、自身で家の商会に、商品の手配をしているため、準備は万全。

収納袋には『忘れず閉めるくん』が2つ、セットされている。

男子学生が出てくる前に閉めてしまおう。

「閉めて。」
とレベッカ・ショア。

「「ほいきた!
閉めて、入ったからには。
ああ、よい!よい!
しめるで、しめるで、おいらは忘れず閉めるくん。」」
と2台の魔導具は、収納袋を閉める。

「『忘れず閉めるくん』の台詞が長くなっている。最新モデル?」
と感心するレベッカ・ショア。

「ジッパーつきのポリエチレン袋のジッパーに挟むやつをスライダーさせて、密封するみたい。」
と前世の意識。

「ジッパー?スライダー?」
とレベッカ・ショア。

なんじゃそりゃ?

「『忘れず閉めるくん』のおかげで、人をきゅうりのように、揉み込んでも、袋の中の魚の部位も、その臭いも溢れなくなった。
これで、浅漬け戦法にうつれる!」
と前世の意識は、歓喜。
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