正義が勝たないデスゲームから脱出しよう。【R15】

かざみはら まなか

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82.デスゲームの舞台となる建物の所在地にまつわる情報を合わせてみると、浮かび上がってきた構図は?

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デスゲーム運営が、売上と費用でトントンになるようにして、収益を出さないようにしているのは、デスゲームという事業内容に注目を集めないためだと俺は考えていた。

女の話が真実なら、事業内容で注目されてはいない。

俺の予想では、デスゲームで収益を出していないデスゲーム運営の目論見は外れていない。

人口の増減から、事業内容を嗅ぎつけられたわけではない。

デスゲーム運営は、デスゲーム参加者の住民登録をしている目的は、なんだ?

デスゲームの参加者を拉致しただとか、誘拐しただとか、騒がれないためか?

拉致や誘拐は、犯罪。

犯罪集団と認識されたら、何かのきっかけで、デスゲーム運営とデスゲーム参加者の両方から逮捕者が出るだろう。

逮捕者を出して、デスゲームを継続できない事態が起きるのを防ぐために、参加者が転入してきたと判断されるような手続きをしているのか?

参加者を転入してきたと見せるための手続きは、行政の範囲では?

行政が関わってくるなら。
行政が、住民登録を主導したという可能性はないか?

ゴーストタウンの活性化のために、デスゲームを誘致したとしたら。

デスゲーム運営は、デスゲームに適した土地を探し、デスゲームを行う代わりに、デスゲーム実施場所の行政に協力しているのか?

人の減った町で、人口を増加させるのは、過疎化対策の一貫では?

いくつものゴーストタウンで、同じ過疎化対策が生み出されて、採用されているのは、ただの偶然か?

俺は、恐ろしい可能性に思い当たった。

デスゲームの舞台となっている市町村。

デスゲーム運営。

二つは、協力関係にある。

デスゲーム運営会社が、デスゲーム以外のチャンネルの舞台として、複数の同じ条件の市町村を抽出して、契約にまでこぎつけることは可能なのか?

デスゲーム運営による目覚ましい活動が始まったのは五年前。

下準備期間は、五年以上前。

市町村とデスゲーム運営が協力関係にあれば、現場に混乱は生じない。

一箇所だけではなく、複数の箇所に同時で、となると。

いくつもの市町村が、たまたま、デスゲーム運営が探す土地の条件に合致したから、で思考を止めていいものか。

一つなら、偶然だが。

そっくり同じビジネスモデルで、同時に各地で展開している。

デスゲーム運営会社の信用度がゼロだったなら、難しいのではないか。

生まれたばかりのベンチャー企業の信用度を保証する何かがないと。

生まれたての会社が、複数の地方行政と協力するだけの信用を得るには?

ベンチャー企業が、大手企業の新事業で、経営母体に信用があるなら。

国のコンペに通った事業を国が後援しているなら。

デスゲーム運営のビジネスモデルは、デスゲーム運営会社に利益を残さない。

デスゲーム運営会社は、各部門の利益を、各現場に循環させて、会社の利益をゼロにしている。

行政が絡むなら、デスゲーム運営サイドの視点だけではなく、行政サイドの視点でも考えてみる。

デスゲーム運営会社の利益から税金を徴収するのが行政の目的ではないとすると。

過疎地の人口増加と人口増加による市町村へのプラス効果を期待するなら、収入がある個人が複数住んでいることが望ましい。

市町村の主な住人と主な収入源が、デスゲーム参加者とデスゲーム参加者の稼ぎからの納税。

デスゲームを運営する会社は、市町村に、住人の斡旋をする事業をしている。

デスゲーム運営会社は、デスゲーム運営として、人の死に方を見せている。

デスゲームでの利益を出さないことで、デスゲームという事業内容は表に出てこないから、行政は知らないでいることもできる。

本当に知らないでいることも、知らんぷりすることも。

現場の職員が踏み込んで調べないと、情報を得られない仕組みにしておけば、使い道がある。

デスゲーム参加者の収入源は、デスゲーム視聴者からの投げ銭。

視聴者からの投げ銭を貰えないデスゲーム参加者が、デスゲームを退場させられるのは。

収入がない住民から、市町村が税金を集めようとしても、無い袖は振れないからでは?

収入がない住民になったデスゲーム参加者に、最後の見せ場として、ソロ出演を用意してあるのは。

デスゲーム運営費用と、税金と参加者の葬儀費用のためではないのか?

デスゲーム参加者が死亡しても、問題にならないように、手続きの最初から最後まで、デスゲーム運営と市町村が協力しているなら可能にならないか。

デスゲームに参加していることに気づかない、新人歓迎会の部屋の中の人は、何一つ知らないまま死んでいくのだろう。

俺は、デスゲーム運営と折り合うところを見つければ、デスゲームから脱出して、デスゲームの外で生きていくことができると考えていた。

俺の考えは、甘かったのか。

俺が頭の中で思考を巡らせている様子を、うつ伏せのままの女は見ることができない。

「いずれのゴーストタウンでも、建物の持ち主は特定できていないのよ。

持ち主は、誰?

謎の会社?

謎の個人?

ゴーストタウンという条件が同じ場所において、同じタイミングで、同じ現象が起きている。

関連性を疑わない?」
と女は嬉々として聞いてくる。

俺は、謎を暴く気など、さらさらない。

飛んで火に入る夏の虫にはなりたくない。

関連性なんて、俺には分かっている。

デスゲーム運営の会社が、他の事業を似たような場所で展開しているからだ。

女が、言葉通り、自分で調べた情報を俺に話しているのなら。

デスゲーム運営が投入した北白川サナが、真っ先に女を殺しにきた理由は明白。

デスゲーム運営からの指示が、北白川サナにあった。

女の知っている情報を広めないために、真っ先に消せ、と。

女の話した情報を聞いた俺は、今この瞬間に、デスゲーム運営から要注意人物としてマークされただろう。

個人情報流出より、気が重くなるニュースだ。

デスゲーム運営と市町村が協力関係にあるなら。

行政として、人口の増減を把握していても。

デスゲームの参加者として増員されたとか。
死亡により退場したとか。

人口の増減理由まで、把握しているだろうか?

行政が把握していたなら、把握したまま、五年は経過したということになる。


俺が、デスゲームを脱出できたとして。

行政サイドの、市町村が踏み込んでこない団体が使っている建物から逃げおおせた後。

デスゲームを脱出した参加者に、行くアテがあるのか、が心配になってきた。

デスゲームに舞い戻ってきたハコさんという、ラキちゃんの知り合いは、どの段階でデスゲームに戻ることになったのか?

ハコさんという前例は、デスゲーム自体を脱出する条件はあると教えてくれている。

ハコさんがデスゲームを脱出する条件を満たして、脱出した後。

デスゲームに舞い戻ってくることになった条件が、他にあるはず。

俺は、デスゲームを脱出した後に、デスゲームに舞い戻る条件を揃えないようにする。

俺の目標は、最初から変わらない。

生きて元気にデスゲームを脱出して、デスゲームの外で生きていくこと。

俺は、デスゲームで死にたくない。

この思いは変わらない。
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