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187.ラキちゃんを助けにいきたい俺。俺を行かせたくない北白川サナ。
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ラキちゃんが、メグたんの捕捉範囲に入った。
ラキちゃんの残り寿命は、時間の問題。
俺は、ラキちゃんの応援に行くことにした。
何がラキちゃんの助けになるか。
何一つとして、思いつかない。
正義が勝たないデスゲームを生きて脱出するために、タケハヤプロジェクトの参加者であるメグたんを敵に回す。
メグたんだけでなく、他のタケハヤプロジェクトの参加者ツカサに恨みを買うことになるだろうことも。
デスゲーム運営と通じているであろうタケハヤプロジェクトの参加者の動きを阻害することは、デスゲーム運営の不興を買うことも。
考えなかったわけではない。
俺が生き延びるために必要なことを優先するより大事なものは、あるか?
俺は、正義が勝たないデスゲームを生きて脱出する。
正義が勝たないデスゲームを脱出したら、野村レオの供養をするのは、俺に対して無抵抗を貫いた野村レオに鎌の刃を食い込ませた俺が通す筋だ。
俺が死ねば、野村レオの供養をするやつは、この世にいない。
同時に、正義が勝たないデスゲームで俺が死ぬということは。
助けて、という言葉をのみ込んで、痛みと苦しみと死への恐怖と戦いながら、撲殺される運命を受け入れてまで、俺を生かしたモエカの心を踏みにじることになる。
最善の選択肢など、選ぶまでもない。
メグたんがラキちゃんを殺す場面の傍観者になること一択。
だが、俺の頭の中で、同じ疑問が回り続けた。
ラキちゃんに会いに来て、ラキちゃんが殺される場面を見ているだけでいいのか?
俺は、自問自答し、行動に移すことを決めた。
俺は、アスレチックゲームで、モエカを助けなかった。
多勢に無勢。
俺が一人でモエカを助けることは、現実的ではなかった。
現実的ではないから、俺は、自身の中で折り合いをつけて、モエカを助けなかったことを間違ってはいなかった、とした。
ラキちゃんには、どうしても割り切れない。
モエカを見捨てたときのように、俺の感情は、割り切れなかった。
俺は、足を踏み出そうとして、がっつり腕を取られた。
「どこにいくです。」
北白川サナは、俺の腕に全体重をかける勢いでしがみついている。
「ラキちゃんを助けにいく。」
「行かせないです。」
と北白川サナ。
俺は、北白川サナと向き合う。
北白川サナに面と向かって確認したことはなかった。
「俺を助けて、生かしたいと考えて行動してくれていたことは、ありがたかった。
感謝もしている。
北白川サナがいなければ、俺は新人歓迎会を生きて終了していなかった。」
北白川サナは、俺の様子を探るように、長い前髪に隠している二つの目で、じっと見上げてくる。
「正義が勝たないデスゲームを生きて、五体満足で脱出する。
正義が勝たないデスゲームに参加することになった俺が、真っ先に決めた目標は、元気な俺のまま、正義が勝たないデスゲームを脱出すること。
北白川サナが俺を助けたことは、俺にとって、都合が良かった。
俺は、俺に都合がいいことについて、深く考えずにいた。
ここにきて、ラキちゃんを追い込んだ原因は、深く考えずにいた俺自身にあると俺は気づけた。
俺は、北白川サナが、俺に都合よく、俺を助ける理由に向き合う気になった。
北白川サナが、俺を生かしたい理由は、何か。
俺は、北白川サナから、何も聞いていない。
話す気はあるか?」
北白川サナは、俺を離すまいとしがみつく力をこめていく。
「ハヤトは、後を任せられるのは、ショウタだと話したです。
私でも、モエカでも、他の学生でもなく。
タケハヤプロジェクトに関わったことがない、タケハヤプロジェクトに興味もない、ハヤトに勧誘させなかった金剛ショウタ。
ハヤトは、私達に話したです。
『俺の後を引き継げるのは、ショウタしかいない。
ショウタは、俺の思考を理解して発展させることはしても、衰退させはしない。
ショウタになら、任せてもいい。
俺が死ぬことになったら、それが、俺の遺志だ。』」
「佐竹ハヤトが。」
俺は、友達の信頼を嬉しく思った。
友達の佐竹ハヤトによき理解者だと受け止められていたことが、誇らしい。
「ハヤトは、私の能力をかっていたです。
私は、他の学生と一緒にハヤトと議論を交わしながら、タケハヤプロジェクトのたたき台作りに励んだです。
モエカは、ハヤトのサポートに徹していたです。
ハヤトと一番長い時間、話をして、一緒にいたのは、私です。
モエカではないです。」
北白川サナは、佐竹ハヤトと、自身の友達のモエカが仲を深めていくのを見続けたのか。
佐竹ハヤトは、一緒にいる時間が長かった北白川サナではなく、北白川サナの友達のモエカとの仲を進展させていったから。
北白川サナは、何も言わずにいたのか。
佐竹ハヤトとモエカの両方がいなくなるまで、口をつぐんだのか。
モエカにタケハヤプロジェクトから抜けるようにと、北白川サナは、勧めた。
モエカが、タケハヤプロジェクトからの離脱を拒み、佐竹ハヤトのいる場所から離れようとしなかったのは、佐竹ハヤトへの愛情や研究者としての自負以外にも、北白川サナに対する感情があったか。
北白川サナとモエカは、友達で研究者仲間だったが、佐竹ハヤトを挟んだ恋のライバルでもあった。
「北白川サナが俺を助ける理由は、正義が勝たないデスゲームに俺が関わることを望むからか?」
「そうです。参加して早々に、死ぬことはないです。」
と北白川サナ。
「俺は、死にたくないから、正義が勝たないデスゲームを生きて脱出する。」
「良いことです。」
と北白川サナ。
北白川サナが俺の腕を掴む力が弱くなる。
俺は、北白川サナの腕を振りほどいた。
「北白川サナの希望に応えることはしない。
正義が勝たないデスゲームを脱出した後、正義が勝たないデスゲームに関わることはない。
俺は、正義が勝たないデスゲームとは関係ない世界で生きていく。」
ラキちゃんの残り寿命は、時間の問題。
俺は、ラキちゃんの応援に行くことにした。
何がラキちゃんの助けになるか。
何一つとして、思いつかない。
正義が勝たないデスゲームを生きて脱出するために、タケハヤプロジェクトの参加者であるメグたんを敵に回す。
メグたんだけでなく、他のタケハヤプロジェクトの参加者ツカサに恨みを買うことになるだろうことも。
デスゲーム運営と通じているであろうタケハヤプロジェクトの参加者の動きを阻害することは、デスゲーム運営の不興を買うことも。
考えなかったわけではない。
俺が生き延びるために必要なことを優先するより大事なものは、あるか?
俺は、正義が勝たないデスゲームを生きて脱出する。
正義が勝たないデスゲームを脱出したら、野村レオの供養をするのは、俺に対して無抵抗を貫いた野村レオに鎌の刃を食い込ませた俺が通す筋だ。
俺が死ねば、野村レオの供養をするやつは、この世にいない。
同時に、正義が勝たないデスゲームで俺が死ぬということは。
助けて、という言葉をのみ込んで、痛みと苦しみと死への恐怖と戦いながら、撲殺される運命を受け入れてまで、俺を生かしたモエカの心を踏みにじることになる。
最善の選択肢など、選ぶまでもない。
メグたんがラキちゃんを殺す場面の傍観者になること一択。
だが、俺の頭の中で、同じ疑問が回り続けた。
ラキちゃんに会いに来て、ラキちゃんが殺される場面を見ているだけでいいのか?
俺は、自問自答し、行動に移すことを決めた。
俺は、アスレチックゲームで、モエカを助けなかった。
多勢に無勢。
俺が一人でモエカを助けることは、現実的ではなかった。
現実的ではないから、俺は、自身の中で折り合いをつけて、モエカを助けなかったことを間違ってはいなかった、とした。
ラキちゃんには、どうしても割り切れない。
モエカを見捨てたときのように、俺の感情は、割り切れなかった。
俺は、足を踏み出そうとして、がっつり腕を取られた。
「どこにいくです。」
北白川サナは、俺の腕に全体重をかける勢いでしがみついている。
「ラキちゃんを助けにいく。」
「行かせないです。」
と北白川サナ。
俺は、北白川サナと向き合う。
北白川サナに面と向かって確認したことはなかった。
「俺を助けて、生かしたいと考えて行動してくれていたことは、ありがたかった。
感謝もしている。
北白川サナがいなければ、俺は新人歓迎会を生きて終了していなかった。」
北白川サナは、俺の様子を探るように、長い前髪に隠している二つの目で、じっと見上げてくる。
「正義が勝たないデスゲームを生きて、五体満足で脱出する。
正義が勝たないデスゲームに参加することになった俺が、真っ先に決めた目標は、元気な俺のまま、正義が勝たないデスゲームを脱出すること。
北白川サナが俺を助けたことは、俺にとって、都合が良かった。
俺は、俺に都合がいいことについて、深く考えずにいた。
ここにきて、ラキちゃんを追い込んだ原因は、深く考えずにいた俺自身にあると俺は気づけた。
俺は、北白川サナが、俺に都合よく、俺を助ける理由に向き合う気になった。
北白川サナが、俺を生かしたい理由は、何か。
俺は、北白川サナから、何も聞いていない。
話す気はあるか?」
北白川サナは、俺を離すまいとしがみつく力をこめていく。
「ハヤトは、後を任せられるのは、ショウタだと話したです。
私でも、モエカでも、他の学生でもなく。
タケハヤプロジェクトに関わったことがない、タケハヤプロジェクトに興味もない、ハヤトに勧誘させなかった金剛ショウタ。
ハヤトは、私達に話したです。
『俺の後を引き継げるのは、ショウタしかいない。
ショウタは、俺の思考を理解して発展させることはしても、衰退させはしない。
ショウタになら、任せてもいい。
俺が死ぬことになったら、それが、俺の遺志だ。』」
「佐竹ハヤトが。」
俺は、友達の信頼を嬉しく思った。
友達の佐竹ハヤトによき理解者だと受け止められていたことが、誇らしい。
「ハヤトは、私の能力をかっていたです。
私は、他の学生と一緒にハヤトと議論を交わしながら、タケハヤプロジェクトのたたき台作りに励んだです。
モエカは、ハヤトのサポートに徹していたです。
ハヤトと一番長い時間、話をして、一緒にいたのは、私です。
モエカではないです。」
北白川サナは、佐竹ハヤトと、自身の友達のモエカが仲を深めていくのを見続けたのか。
佐竹ハヤトは、一緒にいる時間が長かった北白川サナではなく、北白川サナの友達のモエカとの仲を進展させていったから。
北白川サナは、何も言わずにいたのか。
佐竹ハヤトとモエカの両方がいなくなるまで、口をつぐんだのか。
モエカにタケハヤプロジェクトから抜けるようにと、北白川サナは、勧めた。
モエカが、タケハヤプロジェクトからの離脱を拒み、佐竹ハヤトのいる場所から離れようとしなかったのは、佐竹ハヤトへの愛情や研究者としての自負以外にも、北白川サナに対する感情があったか。
北白川サナとモエカは、友達で研究者仲間だったが、佐竹ハヤトを挟んだ恋のライバルでもあった。
「北白川サナが俺を助ける理由は、正義が勝たないデスゲームに俺が関わることを望むからか?」
「そうです。参加して早々に、死ぬことはないです。」
と北白川サナ。
「俺は、死にたくないから、正義が勝たないデスゲームを生きて脱出する。」
「良いことです。」
と北白川サナ。
北白川サナが俺の腕を掴む力が弱くなる。
俺は、北白川サナの腕を振りほどいた。
「北白川サナの希望に応えることはしない。
正義が勝たないデスゲームを脱出した後、正義が勝たないデスゲームに関わることはない。
俺は、正義が勝たないデスゲームとは関係ない世界で生きていく。」
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