正義が勝たないデスゲームから脱出しよう。【R15】

かざみはら まなか

文字の大きさ
308 / 520

308.ハコさんの死が意味することは?正義が勝たないデスゲームを脱出してから、正義が勝たないデスゲームへ戻ったハコさんの空白の時間には何が?

しおりを挟む
俺が、正義が勝たないデスゲームが本物の死を取り扱っている、ということに気づいたのは、ハコさんの水死がきっかけだった。

ハコさんについては、画面越しの姿しか俺は知らない。

ラキちゃんの先輩で、正義が勝たないデスゲームに参加したときは、現役の刑事だったということは、ハコさんが亡くなってから知った。

ハコさんについて俺が知っている情報は、全て伝聞だ。

俺のハコさん像は、伝聞情報を繋ぎ合わせ、ハコさんがどんな人物だったかを想像しているに過ぎない。

伝聞情報が増えるにつれて、謎は解けていった。

だが。

ハコさんについて、いまだに解けていない謎が残されている。

ハコさんについての謎は、正義が勝たないデスゲームに参加している参加者に尋ねても、誰も正解を知らないだろうと、今までの俺は考えていた。

正義が勝たないデスゲームの参加者は、正義が勝たないデスゲームから一生出られない、外部とも連絡がとれない、というルールがあるから、正義が勝たないデスゲームを脱出した後のことを知っている人は参加者の中にはいない、と俺は思い込んでいた。

正義が勝たないデスゲームには、正義が勝たないデスゲームのルールが適用される参加者と、ルールが適用されない参加者が存在する。

正義が勝たないデスゲームのルールが適用されない参加者は、今、俺の目の前にいる。

タケハヤプロジェクトの参加者であるメグたんとツカサ。

今のメグたんとツカサは。

俺との会話を忌避していない。

今、聞いたなら。

答えは返ってくる。

俺は、確信していた。

俺は、ハコさんに起きていた空白の時間についての確認がしたい。

正義が勝たないデスゲームを脱出したら、俺自身で身を以て体験することになると予想はしているが、あらかじめ知ることができるなら、知っておきたい。

「ハコさんは、正義が勝たないデスゲームを脱出して、また正義が勝たないデスゲームへと舞い戻っている。」

「佐竹くんではなく、ハコの話?」
とメグたんは、おかしそうに聞いてくる。

「佐竹ハヤトの逸話を聞く前に、ハコさんについて確認したい。」

どうぞ、とメグたん。

「正義が勝たないデスゲームを脱出したハコさんは。

正義が勝たないデスゲームを脱出前と、正義が勝たないデスゲームに戻ってきた後で、振る舞いが変わっていた。

正義が勝たないデスゲームを脱出した後に、見知った情報によって、正義が勝たないデスゲームに舞い戻ったハコさんの振る舞いは変わった。

ハコさんは、正義が勝たないデスゲームを脱出した後に、メグたんの人殺しが見逃されてきた背景を聞かされたのか?」

俺に背中を向けたままのメグたんの背中から、メグたんが俺の話に耳を傾けていることは伝わってくる。

「正義が勝たないデスゲームを脱出したハコは、どうして、ハコが私を捕まえられたのかを知ることになったわ。」
とメグたん。

「ハコさんが難なくメグたんを捕まえられたのは、ハコさんが優秀だったからでも、ハコさんの頑張りが実った成果でもない、と気づいたのか?

捕まえる気になれば、誰でもメグたんを捕まえられる状態だったが、誰もメグたんを捕まえなかった。

嫌々ながら、正義が勝たないデスゲームに参加したハコさんは、ハコさんが捕まえたメグたんと、ハコさんが同じ場所にいる理由を知ったのではないか?」

「ハコにとって、裁きを受けているはずの私が、ハコよりもイキイキとしているのは、衝撃的だったようね。」
とメグたんは、肩をすくめる。

「ハコさんは、正義が勝たないデスゲームを脱出してから、正義がどこにあるか、を考えたのではないか?

誰にとっての正義を貫いた結果、誰がどうなったのか。

ハコさん自身のしたことの帰結が、ハコさんよりもメグたんが優位に立つ正義が勝たないデスゲームに参加することだと、ハコさんは思い知らされたのではないか?」

「ハコと同じものを見ていても、ハコと同じように物事をとらえていた人はいなかった。

このことを、ハコは初めて知ったわ。」
とメグたん。

「メグたんを捕まえたことの是非について考えたハコさんは、正義が勝たないデスゲームを脱出する前と同じではいられなくなったか。」

「ハコの信念は変わらなかったわよ?」
とメグたん。

「信念が変わらなかったハコさんは、正義が勝たないデスゲームへの協力を求められて拒んだことにより、正義が勝たないデスゲームの中へ舞い戻ってきたのか?」

「そうよ。」
と返事するメグたんの声は、いつになく柔らかい。

「ハコさんが、ソロ出演を決めて、苦しみながら溺死した意味は。

支援団体の関係者と協力者を殺して、国民の安全に貢献してきたメグたんを逮捕したことに対する罰だったのか?」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

処理中です...