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345.俺の知っている佐竹ハヤトと俺の知らない佐竹ハヤトの両方を知っている男の上限に達した優しさの代わりの親切心?
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ラキちゃんの話からすると。
「ラキちゃんは、正義が勝たないデスゲームの待機期間での生活の全てをケンゴに頼っていなかったか?」
「正義が勝たないデスゲームに参加する前の待機期間。
ラキは、常に不安がっていた。」
とケンゴ。
俺に語れるだけのラキちゃんと過ごした時間がケンゴにはあって、俺にはない。
ケンゴが懐かしむように話している姿は、俺を苛つかせる。
ラキちゃんとケンゴが離れてから、どれだけ長い時間が経ったというのか。
「不安にならない要素がなくならなければ、誰しも不安にもなる。
ラキちゃんが、刑事として訓練を受けていたとしても。
正義が勝たないデスゲームへの参加や、参加するために待機する訓練は受けていない。」
ケンゴは、眉を僅かに動かした。
「不安の裏返しでツンツンしているだけで、優しさを欲しているんだったら。
新人くんは、愛嬌を身につけるといい。」
とケンゴ。
「ラキちゃんの話から俺への助言になったが、ケンゴが言う愛嬌はどこで売っている?」
「新人くんへの優しさは上限に達したから、俺に愛嬌を振り撒いても無駄だよ。」
とケンゴ。
にべもなく優しさを期待するなと俺に言うケンゴ。
「ケンゴが優しかろうが、優しくなかろうが、俺が話す内容は変わらない。」
「こまっしゃくれた子どものまま成長を止めた新人くんが、大人の優しさを理解する大人になるまでは、まだ時間が必要なようだ。」
とケンゴ。
ケンゴが俺に見せた優しさ?
「ケンゴの俺への優しさというのは、女と二人きりになっても女に期待するな、という助言のことか?」
俺は、ラキちゃんに期待させてもらえなかった。
ラキちゃんの心にはケンゴが先に棲んでいた。
ラキちゃんと話をして、一緒に行動していても。
俺の残像さえ、ラキちゃんの心には残らなかった。
「同じ空間に男女がいる時間への免疫がない新人くんだから、先にストップをかけておいて良かっただろう?」
とケンゴ。
免疫がない、とはっきり言ってくるケンゴ。
俺への優しさがケンゴの中で品切れしているのは、確認するまでもない。
「俺のことは、いつから調べていた?」
「安心していい。佐竹ハヤトくんと仲良くなったあたりからだ。」
とケンゴ。
俺のことは調査済み。
ケンゴは隠さなかった。
佐竹ハヤト。
大学を卒業してから今日までのこの何日間で、佐竹ハヤトの名前を一番聞いて、一番言った。
在学中は、よく聞いた。
佐竹ハヤトといると、誰かしらが、佐竹ハヤトを呼び止めた。
佐竹ハヤトが呼び止められると、佐竹ハヤトが誰かと話し終わるのを待っているのが俺の日常だった。
大学生だったとき。
佐竹ハヤトは生きていた。
当たり前のように、佐竹ハヤトの名前が飛び交う中に俺と佐竹ハヤトはいた。
大学の教室や、生協や、食堂、大学から駅までの道。
これまで、一度も佐竹ハヤトと過ごした大学生活を思い出すことなんてなかったのに。
佐竹ハヤトと過ごした大学生活が走馬灯のように。
俺の脳裏を駆け抜けた。
どうして、今。
と思うと同時に、俺は答えを出していた。
ケンゴの口から、佐竹ハヤトの名前が出てきたからだ。
ケンゴは、佐竹ハヤトがどんな風に生きていたかを知っている。
俺が知っている佐竹ハヤトも、俺が知らなかった佐竹ハヤトも。
ケンゴは、把握している。
正義が勝たないデスゲームは、俺の中の佐竹ハヤトがいた時間を記憶から引きずり出した。
俺は、俺から見えている佐竹ハヤト以外の佐竹ハヤトの姿をあえて知ろうとしなかった。
「大学生のときから、か。」
佐竹ハヤトについて、俺が知らぬ間に亡くなっていた友達について、思い出を語れる相手は、もう一人いた。
俺の目の前に。
ラキちゃんの心を惹きつけて最後までとらえ続けたケンゴ。
「仲良くなった新人くんを、タケハヤプロジェクトや正義が勝たないデスゲームに関わらせたかったにもかかわらず。
佐竹ハヤトくんは、慎重な姿勢を崩さなかった。」
とケンゴ。
「佐竹ハヤトは、俺についてよく理解していた。
支援団体と公安についても、理解して、俺に不利にならないように注意を払っていたのではないか。」
佐竹ハヤトほど、俺を理解していた人間は、俺以外にいない。
俺は、自分自身を除く、俺の最高の理解者を永遠に失った。
「安心していい。佐竹ハヤトくんと新人くんは、似た者同士だ。」
とケンゴ。
ケンゴは、柔和な表情を見せる。
「今の会話に、俺が安心する要素などあったか?」
「新人くんには自信がないようだから、親切心を発揮して教えよう。」
とケンゴ。
「親切心なら、聞くか。」
お節介と言われたら、断っていた。
「これから社会の荒波に揉まれる新人くんへの餞別だ。」
とケンゴ。
「荒波に揉まれようとはしていないが?」
「社会人として、集団の中で生きてこなかった自覚はあるだろう?」
とケンゴ。
「話が合わないやつらと群れて、生まれてきた時間を無駄にする気はない。」
「新人くんのその考えは、今も変わらない?」
とケンゴ。
ケンゴの確認ポイントか。
「佐竹ハヤトの作り上げた正義が勝たないデスゲーム運営であるAIと話しができないやつらの同格に成り下がる気は、俺にはない。」
「新人くんは、つんけんしなくなった。」
とケンゴ。
「つんけん、か?
今から、俺の話をするのか?」
ラキちゃんとケンゴとの関係からケンゴは公安だと予想したという話よりも、俺の話を先にするのか。
「新人くんは、正義が勝たないデスゲームに参加した甲斐がある。」
とケンゴ。
「正義が勝たないデスゲームに参加する前の俺が知ろうとせず、見ようともしなかったために、失ったものがあると俺は知った。」
「一皮剥けて、やっていける面構えになった。」
とケンゴ。
「やっていける、というのは。
公安と、か?」
「ラキちゃんは、正義が勝たないデスゲームの待機期間での生活の全てをケンゴに頼っていなかったか?」
「正義が勝たないデスゲームに参加する前の待機期間。
ラキは、常に不安がっていた。」
とケンゴ。
俺に語れるだけのラキちゃんと過ごした時間がケンゴにはあって、俺にはない。
ケンゴが懐かしむように話している姿は、俺を苛つかせる。
ラキちゃんとケンゴが離れてから、どれだけ長い時間が経ったというのか。
「不安にならない要素がなくならなければ、誰しも不安にもなる。
ラキちゃんが、刑事として訓練を受けていたとしても。
正義が勝たないデスゲームへの参加や、参加するために待機する訓練は受けていない。」
ケンゴは、眉を僅かに動かした。
「不安の裏返しでツンツンしているだけで、優しさを欲しているんだったら。
新人くんは、愛嬌を身につけるといい。」
とケンゴ。
「ラキちゃんの話から俺への助言になったが、ケンゴが言う愛嬌はどこで売っている?」
「新人くんへの優しさは上限に達したから、俺に愛嬌を振り撒いても無駄だよ。」
とケンゴ。
にべもなく優しさを期待するなと俺に言うケンゴ。
「ケンゴが優しかろうが、優しくなかろうが、俺が話す内容は変わらない。」
「こまっしゃくれた子どものまま成長を止めた新人くんが、大人の優しさを理解する大人になるまでは、まだ時間が必要なようだ。」
とケンゴ。
ケンゴが俺に見せた優しさ?
「ケンゴの俺への優しさというのは、女と二人きりになっても女に期待するな、という助言のことか?」
俺は、ラキちゃんに期待させてもらえなかった。
ラキちゃんの心にはケンゴが先に棲んでいた。
ラキちゃんと話をして、一緒に行動していても。
俺の残像さえ、ラキちゃんの心には残らなかった。
「同じ空間に男女がいる時間への免疫がない新人くんだから、先にストップをかけておいて良かっただろう?」
とケンゴ。
免疫がない、とはっきり言ってくるケンゴ。
俺への優しさがケンゴの中で品切れしているのは、確認するまでもない。
「俺のことは、いつから調べていた?」
「安心していい。佐竹ハヤトくんと仲良くなったあたりからだ。」
とケンゴ。
俺のことは調査済み。
ケンゴは隠さなかった。
佐竹ハヤト。
大学を卒業してから今日までのこの何日間で、佐竹ハヤトの名前を一番聞いて、一番言った。
在学中は、よく聞いた。
佐竹ハヤトといると、誰かしらが、佐竹ハヤトを呼び止めた。
佐竹ハヤトが呼び止められると、佐竹ハヤトが誰かと話し終わるのを待っているのが俺の日常だった。
大学生だったとき。
佐竹ハヤトは生きていた。
当たり前のように、佐竹ハヤトの名前が飛び交う中に俺と佐竹ハヤトはいた。
大学の教室や、生協や、食堂、大学から駅までの道。
これまで、一度も佐竹ハヤトと過ごした大学生活を思い出すことなんてなかったのに。
佐竹ハヤトと過ごした大学生活が走馬灯のように。
俺の脳裏を駆け抜けた。
どうして、今。
と思うと同時に、俺は答えを出していた。
ケンゴの口から、佐竹ハヤトの名前が出てきたからだ。
ケンゴは、佐竹ハヤトがどんな風に生きていたかを知っている。
俺が知っている佐竹ハヤトも、俺が知らなかった佐竹ハヤトも。
ケンゴは、把握している。
正義が勝たないデスゲームは、俺の中の佐竹ハヤトがいた時間を記憶から引きずり出した。
俺は、俺から見えている佐竹ハヤト以外の佐竹ハヤトの姿をあえて知ろうとしなかった。
「大学生のときから、か。」
佐竹ハヤトについて、俺が知らぬ間に亡くなっていた友達について、思い出を語れる相手は、もう一人いた。
俺の目の前に。
ラキちゃんの心を惹きつけて最後までとらえ続けたケンゴ。
「仲良くなった新人くんを、タケハヤプロジェクトや正義が勝たないデスゲームに関わらせたかったにもかかわらず。
佐竹ハヤトくんは、慎重な姿勢を崩さなかった。」
とケンゴ。
「佐竹ハヤトは、俺についてよく理解していた。
支援団体と公安についても、理解して、俺に不利にならないように注意を払っていたのではないか。」
佐竹ハヤトほど、俺を理解していた人間は、俺以外にいない。
俺は、自分自身を除く、俺の最高の理解者を永遠に失った。
「安心していい。佐竹ハヤトくんと新人くんは、似た者同士だ。」
とケンゴ。
ケンゴは、柔和な表情を見せる。
「今の会話に、俺が安心する要素などあったか?」
「新人くんには自信がないようだから、親切心を発揮して教えよう。」
とケンゴ。
「親切心なら、聞くか。」
お節介と言われたら、断っていた。
「これから社会の荒波に揉まれる新人くんへの餞別だ。」
とケンゴ。
「荒波に揉まれようとはしていないが?」
「社会人として、集団の中で生きてこなかった自覚はあるだろう?」
とケンゴ。
「話が合わないやつらと群れて、生まれてきた時間を無駄にする気はない。」
「新人くんのその考えは、今も変わらない?」
とケンゴ。
ケンゴの確認ポイントか。
「佐竹ハヤトの作り上げた正義が勝たないデスゲーム運営であるAIと話しができないやつらの同格に成り下がる気は、俺にはない。」
「新人くんは、つんけんしなくなった。」
とケンゴ。
「つんけん、か?
今から、俺の話をするのか?」
ラキちゃんとケンゴとの関係からケンゴは公安だと予想したという話よりも、俺の話を先にするのか。
「新人くんは、正義が勝たないデスゲームに参加した甲斐がある。」
とケンゴ。
「正義が勝たないデスゲームに参加する前の俺が知ろうとせず、見ようともしなかったために、失ったものがあると俺は知った。」
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