正義が勝たないデスゲームから脱出しよう。【R15】

かざみはら まなか

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352.北白川サナが取り戻した、誰にも見向きもされなかった夢と希望は、俺が持ち出す。

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「誰かがサナの相談には乗っていたよ。」
とケンゴ。

相談に乗っていたよ、か。

ケンゴは断定した。

「相談するには、相談する相手がいる。

タケハヤプロジェクトの学生が相談相手を求めたとき。

学生が疑わずに相談にいく誰かを公安は用意していた、ということか?」

「誰にも胸の内を明かさなかったサナが、相談する相手を作ろうとしていたら、の話なんだよ、新人くん。」
とケンゴ。

ケンゴには、公安が誰かを用意していたかどうかを明らかにするつもりがないということが分かった。

「相談するかしないか、という問題があったか。」

「タケハヤプロジェクトが始まる前に、サナが離脱するかどうか。

この最終的に決断するのは、サナ自身。

これは、どの場合でも変わらなかった。」
とケンゴ。

「誰かに相談した上で、タケハヤプロジェクトの開発に携わっていたら。

北白川サナの未来は変わったか?」

「サナが選んだ未来の責任は、サナにある。

サナは、相談したいと考えたかもしれない。

しかし、誰にも何も言わなかった。

サナの行動が、サナの人生を作ったんだよ、新人くん。」
とケンゴ。

俺も参加したサバイバルゲームで再会した北白川サナは。

野望へと姿を変えていた夢や希望を自分で思い出し、原動力となった元の情熱を取り戻している。

しかし。

夢と希望を叶えるために進もうとしたときには、もう、道は閉ざされた後。

人生を切り拓くには間に合わなかった。

俺は、切り拓く前に閉ざされた未来があったことから逃避しない。

正義が勝たないデスゲームから持ち出すものが、一つ増えたくらい、今の俺には重くない。

正義が勝たないデスゲームを脱出した俺がすることは、いくつもある。

野村レオの菩提寺を探して、弔うこと。

野村レオの結婚の約束をしていた恋人を探して安否の確認。

亡くなっていたら、弔うこと。

正義が勝たないデスゲームに参加した俺は、これまでの俺が知らなかったことを知った。

佐竹ハヤトの死。

佐竹ハヤトが死を選んだ原因。

佐竹ハヤトが遺したもの。

佐竹ハヤトの思い。

佐竹ハヤトが俺に望んだもの。

佐竹ハヤトが俺に託したもの。

モエカの佐竹ハヤトへの気持ち。

モエカに生かされなければ、生き延びられなかった俺。

俺を惹きつけたラキちゃん。

俺には刑事として接することに徹し、弱音を吐かなかったラキちゃん。

俺に好かれていると自覚しながら、一緒にいた俺には心を許さないままでいたラキちゃん。

ラキちゃんから手の届かない場所で、正義が勝たないデスゲームを見ていたケンゴを、最後まで頼りにして逝ったラキちゃん。

俺のこれまでの人生にないものばかりが、正義が勝たないデスゲームには詰まっていた。

正義が勝たないデスゲームに参加した俺の人生は、脱出によって一変する。

ただし、どう変えていくかは、俺次第。

正義が勝たないデスゲームを脱出する俺が、正義が勝たないデスゲームから持ち出すものは少なくない。

自身の名前を残す何かを成し遂げたかった、という北白川サナの夢。

俺が持ち出せば、北白川サナの夢は、なかったことにはならない。

夢のために先へ進もうとした北白川サナが何も残さずに逝った、とはしたくない。

好きな人には好かれず。

求めた評価は得られず。

認められる代わりに疎まれ、守られてこなかった北白川サナは。

誰かに認められることを望み続け、望むことを最後まで諦めなかった。

諦めないことは、北白川サナの強さ。

諦めないという北白川サナ心の強さは。

モエカよりも貪欲で。

ラキちゃんよりもずる賢く。

カガネよりも感情的で。

メグたんよりも頑固。

北白川サナそのもの。

北白川サナがラキちゃんにしたことに関しては、腸が煮えくり返る以外の感情はわかない。

だが。

北白川サナが、誰にも顧みられなかった夢を叶えようと一人で奮闘していた事実を。

誰にも顧みられないから、となかったことにするのは。

俺のしたいことではない。

奮闘の末に叶えられなかった夢を持ったまま亡くなった北白川サナの命までは、背負わない。

俺は、北白川サナの夢だけを持って正義が勝たないデスゲームを出ていくと決めた。


ラキちゃんとケンゴの話題に戻る前に。

正義が勝たないデスゲームに参加したラキちゃんの役割の話を先にするか。

「正義が勝たないデスゲーム待機期間中のラキちゃんの待遇は、正義が勝たないデスゲームに参加したラキちゃんに割り振られた役割が関係してくる。」

「刑事であるラキに割り振られた役割は、潜入捜査だったよ、新人くん。」
とケンゴ。

「ラキちゃんに正義が勝たないデスゲームへの潜入捜査の辞令を出した、警察の意図は。

正義が勝たないデスゲームを脱出したラキちゃんが、正義が勝たないデスゲームの黒幕情報を警察へ持ち帰ることではない。」

「正義が勝たないデスゲームへの潜入捜査を命じられたラキには別の役割があった、という新人くんの仮説を聞こう。」
とケンゴ。

「刑事のラキちゃんを刑事として、正義が勝たないが勝たないデスゲーム内に留めること。」

「正義が勝たないデスゲームからラキを脱出させないという意味かい?」
とケンゴ。

「正義が勝たないデスゲームに参加したラキちゃんは、ドッジボールでメグたんに勧められてオウカにとどめを刺し、正義が勝たないデスゲーム参加者が生きて脱出するための条件から外れた。」

「それの何が問題だい?

新人くんは、正義が勝たないデスゲームが、何のためにあるものか忘れていないかい?」
とケンゴ。
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