《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第5章 いつになったら、日本に帰れますか?

84.神子様は、公爵に真実の愛を捧げられず、公爵と結婚出来なかった場合、どうなるのですか?

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神子様は、オレの顔を見た。

「国王陛下が、執拗にあなたを殺したがった理由が、今やっと、分かったよ。」
と神子様。

「理由は、何だ?」

「公爵が妻帯者だと、ぼくと公爵が結婚出来ないから。」
と神子様。

パードン?

「国王陛下は、オレと公爵が婚姻届を出すのをサポートしたぞ?」

「殺せば解決するから。」
と神子様。

殺伐とし過ぎ。

「オレは、国王陛下が、神子様と公爵を結婚させたがった理由を知らない。何でだ?」

「英雄と神子が結ばれて、末永く幸せに暮らすと、その国は栄える。」
と神子様。

「言い伝え?」

「真実だよ。神子は、女神様の力を持っているから、神子が幸せな状態で、長くいればいるほど、国は栄える。」
と神子様。

「魔王による消失の後だけに、神子様に、国にいてほしかったって?」

「そうだよ。幸せな状態で。」
と神子様。

「神子様は、この国からいなくなるのか?」

この国のツートップの一人である神子様を懐柔して、国王陛下に対抗する計画は変更だなー?

それにしても、いなくなるって言った?

「どこに行くんだ?別の国か?」

「帰るんだよ、元の世界へ。」
神子様は、吐き捨てるように言った。

帰る?

帰れるの?

異世界から、元の世界へ?

じゃ、オレも帰れるかな?

オレは、期待で胸を膨らませた。

今は、公爵や、公爵領もごたついているけれどさ。

いつかは、落ち着く日がくると思うんだよな。

そうしたら、さ。

オレは、もう。


オレが、続きを待っていると。

神子様は、忌々しそうにオレを見た後、説明し始めた。

「神子は、元の世界から、こちらに来る時に、女神様から力を授かる代わりに、女神様と約束をするんだ。

こちらで、魔王討伐に成功した英雄から、真実の愛を捧げられて、英雄と結婚すれば、神子は、こちらに一生残れるんだよ。」
と神子様。

「そんなシステムなんだなー。」

「逆に、英雄に真実の愛を捧げられず、結婚に至らなかなった場合。」
と神子様。

「うん。」
オレは、わくわくしながら続きを待った。

「神子は、元の世界に帰る。」

英雄と恋仲になったら、一緒に暮らしたらいい。

気が合わなかったら、元の世界に帰っていい。

お見合いが成功したら、続行していいよ、的な?


浮かれていたオレは、神子様がイライラしているのに気づくまで、時間がかかった。

「神子様は、元の世界に帰りたくないのか?」

「当たり前だよ!
こちらで暮らしたいから、ぼくは、神子になったんだよ!

それなのに、神子の仕事だけさせられて、送り返されるなんて、ふざけてる!」

後半は、神子様がタダ働きさせられた、という意味だからなー。

同意する。

それにしても。
神子様は、元の世界に帰りたくないのか。


オレは。

オレは。

オレは、日本に帰りたくて仕方ない。

この世界の生活は、気が抜けない。

いいな。

神子様。

オレも帰れないかなー。
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