《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第6章 異世界で公爵の伴侶やってます。溺愛とは、何でしょうか。

141.オレとクロードは、愛を語らうよりも、大事なことをしてきませんでした。互いの愛を疑わない関係を築くため、一歩ずつ踏み出します。二人で。

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クロードと話し合おう。

クロードと喧嘩になっても、クロードを泣かせても。

オレ達は、腹の中を見せ合う必要がある。

最低一回は。

信用出来ない者同士が、どうして夫婦でいられる?

気持ちを疑いたくないと思っていても。
相手のささやく愛の言葉に、いつか、疑いを抱く日がこないと言えるか?

オレは、腹をくくった。

動くなら、オレからだ。

オレは、オレの頭の両サイドにあるクロードの両手に、外側から手を添える。

「話し合うぞ、クロード。オレは、クロードに聞いてほしいことがある。
クロードに聞きたいこともある。
オレ達は、愛を語らうよりも先に、互いの愛を疑わない関係を築いていないから、互いに苦しいんだ。」

クロードは、動かない。
魔法を使おうともしていない。

多分。

オレは、クロードに視線を合わせる。

「オレは、クロードと話がしたい。
クロードは、オレと話がしたいと思えるようになったら、オレを抱きしめろ。」

クロードは、その後も十分くらい、オレの上にいた。

オレの言葉に聞く耳を持たないモードだったクロードの強固な雰囲気は、オレがクロードから目をそらさないでいると、徐々に、ゆるんできた。

クロードの目が、オレの真意を探るものに変わっていく。

最後まで、目をそらしたらダメだ。


にらめっこの耐久レースは、オレの粘り勝ちで終わった。

クロードの眼差しが、柔らかくなる。

「ヒサツグ、愛している。」
クロードは、優しい手つきで、オレの頬を撫でると、オレを包み込むように、抱きしめた。

オレは、勝利を噛みしめる。

「クロード、起きて、話し合いを。」

「このままで。このままがいい。」
とクロード。

クロード、座って話し合いは、お好みじゃないのかなー?

このまま、というと、寝転がって、オレは抱きしめられながら、だよなー?

話しにくくないかなー。

クロードは、抱きしめる体勢から動かない。

オレが、譲歩しよう。

時間だけが、無為に過ぎるよりは、話し合いの体勢くらい、なんだ。

さあ、話すぞ、と、オレが気持ちを切り替えたときに。

「いつ、いつだ、ヒサツグ。」
オレの耳に落ちてきたクロードのささやきは、弱々しかった。

「話すよ。クロード。
オレが何を考えて、どうして、そうしてきたか、を。
すぐに受け入れられなくて構わないから、オレの思いを聞いてほしい。
今は、そうなんだー、と、知ってくれるだけでいい。

クロードも、オレに話してほしい。
行動の理由でも、イライラしたことでも。
オレは、クロードが、クロードの言葉で説明する色々を聞きたい。」
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