《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

文字の大きさ
186 / 673
第7章 オレは、英雄公爵と並んで歩いています。始まりは、一人と一人でしたね。道なき道を切り拓きます。

186.『クロードを見たとき、汚泥に咲く蓮の花を見つけた、と思ったんだよ。クロードは、ぼくにはずっと、英雄公爵クロードだったんだよ。』

オレと神子様は、密談をしている。

神子として、大事にされているという感覚は、そう思うように仕向けられてきたと知った神子様。

「ぼくは、こちらの社会について、何も知ろうとしてこなかった。

神子として招かれるんだから、特別大事にしてもらえるものだと信じていた。

ぼく自身で、何かをする必要があるなんて、考えたこともなかった。

思い返したら、女神様は、ぼくに、綺麗事は言わなかった。

約束だからかな。

ぼくは、自分に都合よく解釈して、神子になった。

神子として、こちらに来てからのぼくは、こちらの住人に怒りが湧いて仕方がなかった。

ぼくの身の回りには、俗物か愚物しかいないって、嘆いては、軽蔑してきた。

クロード以外は。

クロードだけは、他と違った。

クロードに会ったとき、ぼくは、汚泥の中に、蓮の花を見つけた、と思ったよ。

ぼくは、神子として生きるための全てが、保証されていて、神子としてこちらに来たら、悪いことは何も起きなくて、幸せになれるんだと思っていた。

全部、ぼくの思い込みだって、知った。

ぼくといたクロードは、ぼくが神子だから、ぼくには英雄として振る舞っていたんだ。

ぼくが恋い焦がれていたのは、英雄公爵クロード。

ぼくは、クロードが、皆に見せていた一面を好きになったんだ。

クロードは、英雄になりたかったわけじゃない。

神子のぼくが選んだから、クロードは、英雄になった。

クロードは、英雄公爵として、色んな人から求められてきたけれど、クロードの本質は、英雄じゃなかったから、クロードは、誰の好意も受け取らなかった。

クロードが、迷わずあなたを選ぶ直前まで、クロードが選ぶのは、ぼくだと信じていたから。

目の前の光景が信じられなかった。

直前まで、あんなに、優しくしてくれていたのに、どうして、ぼくを選ばない?

ぼくは理解が追いつかないままだったけど、国王陛下が、あなたを殺そうしたから、国王陛下を止めているうちに、クロードとあなたはいなくなっていた。

あの後から、国王陛下のぼくに対する扱いは、悪くなったと思う。

計画が思い通りにいかなかったせいで、国王陛下の機嫌が悪いんだ、と、思ったぼくは、深く考えていなかった。

ぼくの神子としての価値は、英雄公爵クロードが選ばなかったときに、国王陛下の中では、ないに等しいものになっていたんだよ。

神子のぼくが国王陛下と対等だったのは、神子と英雄が、魔王を討伐するまで。

後は、下り坂。

あなたは、気づいたんだよね?

ぼくが、気づいていないことも含めて。」
と神子様。

「オレは、最初、知らない町にいて、その日暮らしだった。
理由も状況も分からない。
自分以外は信用出来ないと思っていた。
出発点の違いが、考え方を左右したとオレは思うぞ。」

「ふーん。」
神子様は、理解しつつも、素直に頷きたくない様子。

「オレが来たのは、魔王討伐の後。女神様に会っていないオレは、魔王がいたことは勿論、クロードが英雄だということも知らなかった。

クロードが、英雄になりたくないと思っていたんだったら、オレがクロードは英雄だと知らない点が、クロードにとって、大事なきっかけになったかもなー。」

神子様は、悔しそうに口を噛み締めている。

「前から思っていたんだけど、オレも神子様もクロードも、オレ達三人は、誰も悪くないからな?

女神様が、人選を誤った、これに尽きる。」

神子様は、ぽかんと、オレを見た。

「女神様の人選?」
感想 84

あなたにおすすめの小説

異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる

ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。 アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。 異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。 【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。 αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。 負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。 「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。 庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。 ※Rシーンには♡マークをつけます。

氷の騎士団長様の悪妻とかイヤなので離婚しようと思います

黄金 
BL
目が覚めたら、ここは読んでたBL漫画の世界。冷静冷淡な氷の騎士団長様の妻になっていた。しかもその役は名前も出ない悪妻! だったら離婚したい! ユンネの野望は離婚、漫画の主人公を見たい、という二つの事。 お供に老侍従ソマルデを伴って、主人公がいる王宮に向かうのだった。 本編61話まで 番外編 なんか長くなってます。お付き合い下されば幸いです。 ※細目キャラが好きなので書いてます。    多くの方に読んでいただき嬉しいです。  コメント、お気に入り、しおり、イイねを沢山有難うございます。    

異世界転移された傾国顔が、アラ還宰相の幼妻になって溺愛されるまでの話

ふき
BL
異世界に転移したカナトは、成り行きでアラ還の宰相ヴァルターと結婚することになる。 戸惑いながら迎えた初夜。衝動のキス、触れあう体温――そして翌朝から距離が遠ざかった。 「じゃあ、なんでキスなんてしたんだよ」 これは、若さを理由に逃げようとするアラ還宰相を、青年が逃がさない話。 ヴァルター×カナト ※サブCPで一部、近親関係を想起させる描写があります。

【本編完結】異世界で政略結婚したオレ?!

カヨワイさつき
BL
美少女の中身は32歳の元オトコ。 魔法と剣、そして魔物がいる世界で 年の差12歳の政略結婚?! ある日突然目を覚ましたら前世の記憶が……。 冷酷非道と噂される王子との婚約、そして結婚。 人形のような美少女?になったオレの物語。 オレは何のために生まれたのだろうか? もう一人のとある人物は……。 2022年3月9日の夕方、本編完結 番外編追加完結。

天使のような子の怪我の手当てをしたら氷の王子に懐かれました

藤吉めぐみ
BL
12/23後日談追加しました。 ================= 高校の養護教諭の世凪は、放課後の見回り中にプールに落ちてしまう。カナヅチの世凪は、そのまま溺れたと思ったが、気づくと全く知らない場所にある小さな池に座り込んでいた。 ここがどこなのか、何がどうなったのか分からない世凪に、「かあさま」と呼んで近づく小さな男の子。彼の怪我の手当てをしたら、世凪は不審者として捕まってしまう。 そんな世凪を助けてくれたのは、「氷の王子」と呼ばれるこの国の第二王子アドウェル。 冷淡で表情も変わらない人だと周りに言われたが、世凪に対するアドウェルは、穏やかで優しくて、理想の王子様でドキドキしてしまう世凪。でも王子は世凪に母親を重ねているようで…… 優しい年下王子様×異世界転移してきた前向き養護教諭の互いを知って認めていくあたたかな恋の話です。

【完結】異世界転移で落ちて来たイケメンからいきなり嫁認定された件

りゆき
BL
俺の部屋の天井から降って来た超絶美形の男。 そいつはいきなり俺の唇を奪った。 その男いわく俺は『運命の相手』なのだと。 いや、意味分からんわ!! どうやら異世界からやって来たイケメン。 元の世界に戻るには運命の相手と結ばれないといけないらしい。 そんなこと俺には関係ねー!!と、思っていたのに… 平凡サラリーマンだった俺の人生、異世界人への嫁入りに!? そんなことある!?俺は男ですが!? イケメンたちとのわちゃわちゃに巻き込まれ、愛やら嫉妬やら友情やら…平凡生活からの一転!? スパダリ超絶美形×平凡サラリーマンとの嫁入りラブコメ!! メインの二人以外に、 ・腹黒×俺様 ・ワンコ×ツンデレインテリ眼鏡 が登場予定。 ※R18シーンに印は入れていないのでお気をつけください。 ※前半は日本舞台、後半は異世界が舞台になります。 ※こちらの作品はムーンライトノベルズにも掲載中。 ※完結保証。 ※ムーンさん用に一話あたりの文字数が多いため分割して掲載。 初日のみ4話、毎日6話更新します。 本編56話×分割2話+おまけの1話、合計113話。

令嬢に転生したと思ったけどちょっと違った

しそみょうが
BL
前世男子大学生だったが今世では公爵令嬢に転生したアシュリー8歳は、王城の廊下で4歳年下の第2王子イーライに一目惚れされて婚約者になる。なんやかんやで両想いだった2人だが、イーライの留学中にアシュリーに成長期が訪れ立派な青年に成長してしまう。アシュリーが転生したのは女性ではなくカントボーイだったのだ。泣く泣く婚約者を辞するアシュリーは名前を変えて王城の近衛騎士となる。婚約者にフラれて隣国でグレたと噂の殿下が5年ぶりに帰国してーー? という、婚約者大好き年下王子☓元令嬢のカントボーイ騎士のお話です。前半3話目までは子ども時代で、成長した後半にR18がちょこっとあります♡  短編コメディです

みなしご白虎が獣人異世界でしあわせになるまで

キザキ ケイ
BL
親を亡くしたアルビノの小さなトラは、異世界へ渡った────…… 気がつくと知らない場所にいた真っ白な子トラのタビトは、子ライオンのレグルスと出会い、彼が「獣人」であることを知る。 獣人はケモノとヒト両方の姿を持っていて、でも獣人は恐ろしい人間とは違うらしい。 故郷に帰りたいけれど、方法が分からず途方に暮れるタビトは、レグルスとふれあい、傷ついた心を癒やされながら共に成長していく。 しかし、珍しい見た目のタビトを狙うものが現れて────?