《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第7章 オレは、英雄公爵と並んで歩いています。始まりは、一人と一人でしたね。道なき道を切り拓きます。

195.国王陛下のお使いが来ました。クロードの友人その一、宰相補佐。その二、近衛騎士団の副団長。ミーレ長官との関係は、良好ですか?

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あ、王城から人が来た。

お、クロードの友人その一、宰相補佐じゃないか。

クロードの友人その二、近衛騎士団の副団長もいるなー。

国王陛下のお使いかなー?

何を話してくれるかな?

最初に、口を開いたのは、友人その一、宰相補佐ではなく、友人その二、近衛騎士団の副団長だった。

宰相補佐の仕事かと思ったんだけどなー。

「ミーレ長官。」
と近衛騎士団の副団長。

話しかける先が、ミーレ長官だから?

近衛騎士団とは、表裏一体の関係だったりするのかな?

「何をしているんですか?」
と、近衛騎士団の副団長はミーレ長官に、気さくに話しかけた。

「大公殿下ご夫妻の案内だが?」
と答えるミーレ長官の重々しさと、近衛騎士団の副団長の軽さが、二人の関係性を表しているのかな。

「その大公殿下って、何ですか?」
と近衛騎士団の副団長は、ミーレ長官を明らかに馬鹿にしていた。

ミーレ長官は、近衛騎士団の副団長の非礼を意に介さない。
ミーレ長官は、オレとクロードの前に出た。

「こちらに。大公殿下ご夫妻だ。お通しするように。」
とミーレ長官。

ミーレ長官は、まだこの国マウンテン王国の長官だからなー。

マウンテン王国の長官として、ミーレ長官が話さない内容がいくつかある。

最たるものが、国王陛下について、だ。

現場を退いているはずのミーレ長官は、現役世代に混じって、わざわざケレメイン公爵領に来た。
ケレメイン公爵クロードを直接説得するために。

ミーレ長官とケレメイン公爵クロードの面識があったから、ミーレ長官が、ケレメイン公爵クロードの説得に乗り出した、と、ミーレ長官の行動の理由は説明できる。

説明できるが、説明を鵜呑みにすることは、国王陛下のことを知りすぎているオレには、無理だった。

マウンテン王国の上層部の一人であるミーレ長官が、自ら公爵領に入って、国王陛下と袂を分かつ動きを見せようとしているケレメイン公爵クロードを説得しにくるという行動は、国王陛下の方針と一致しないからだ。

国王陛下は、英雄公爵クロードの地位や、権威を失わせようと動いている。

ミーレ長官の行動は、成功すれば、英雄公爵クロードの地位を継続させる助けになった。

国王陛下の方針と真逆。

ミーレ長官に限って、まさかの独断はないだろう。

ミーレ長官は、国王陛下や、国の上層部と話し合ってから、公爵領に来たと思う。

何のために?

国王陛下の英雄公爵クロードを追い詰めていくやり方に賛成していたのは誰?

ミーレ長官は、国王陛下による英雄公爵の待遇に反対して、自ら乗り込んできたのかなーと、オレは思っている。

ミーレ長官が、ケレメイン公爵クロードに寝返ったのは、ミーレ長官が、自ら試みたケレメイン公爵クロードの説得に失敗した以上、マウンテン王国の長官でいても、妻子の安全を確保できないからじゃないのかな?

失敗したことで、ミーレ長官の立場は、悪くなる。

国王陛下の方針に反対した上でなら、なおさら。

ミーレ長官の子飼いっぽい狙撃手集団との離脱は、予定調和路線とも考えられなくはない。

ミーレ長官と国王陛下の間に、隙間風が吹いていたのでは?とオレは推測している。

国王陛下にとっての政治的な側近の宰相補佐が、口を開かないところを見ると、宰相補佐とミーレ長官の間には、隙間風以上の風が、びゅーびゅーと風が吹いているのだろう。
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