《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。

289.糟糠の妻は、煙たい存在なんでしょうか?

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誰も返事をしないで、静まりかえる空間を、オレは想像していた。

「クロード様。

クロード様の意に反することをする、とお怒りになるのは、もっともでございますが、どうか、お怒りは、おさめてください。

私どもは、クロード様の進む道が、閉ざされないために動いたのでございます。

今は、思うようにいかなくて、イライラされることでしょうが、今の思いつきを思いとどまったことに、ほっとされる日は、必ず来ます。

落ち着いて、聞いてください、クロード様。

私どもは、クロード様の敵ではございません。

クロード様の味方でございます。

クロード様の味方でありながら、クロード様に不愉快な思いをさせておりますのは、忠臣だからこそ、でございます。

クロード様、耳に優しい言葉を囁くのが忠臣ではございません。」
と年嵩の女性。

クロードのため、とか、自分はクロードの味方だから、とか、他人を大義名分に使って、行動の正当化を主張する人かー。

建前で主張しているだけなら、ともかく。

本音で主張されたら、クロードは、切り捨てるしかなくなってしまう。

年嵩の女性は、クロードに仕えて長い侍女。

クロードが、ケレメイン公爵領でのびのび暮らせるように、環境を整えていた侍女。

クロードが、赤ちゃんのときから、クロードの成長を見守ってきた侍女。

そんな人には、クロードの心情に寄り添って欲しかった。

ケレメイン家のなんやかんや、じゃなく、クロードの気持ちを慮って欲しかったなー。

年嵩の侍女は、オレを睨んだ。

「そこの汚れた男は、クロード様の権威を地に落とし、クロード様に快楽を教え込んで、クロード様を支配しようとしております。

その証拠に、その男は、周りに人を寄せ付けません。

その男は、ケレメイン家と関係ない者ばかりを重宝しています。

これ以上、その男に入れ込んではなりません。

その男の真の目的は、クロード様の堕落と、ケレメイン家を潰すことです。

クロード様が、その男を嫁だと信じ込もうとなさっても、ケレメイン家の代々の忠臣は、騙せません。」
と年嵩の女性。

オレとクロードは、周りから、そんな風に見られているんだなー。

「クロード様が、ケレメイン家の後継ぎというご自覚をお忘れになられていなければ、このように思い切った荒療治に踏み切ることはございませんでした。

クロード様は、そのいかがわしく、汚らわしい男に骨抜きにされてしまわれて以来、ケレメイン家のご当主の本分を度々お忘れになってしまわれます。

ケレメイン家は、大公家となり、これまで以上の繁栄を約束されております。

私共は、クロード様が目を覚まし、ケレメイン家の繁栄を。」
と朗々と語る年嵩の女性。

年嵩の女性は、王女様の手をカズラくんの手から外そうと頑張っていたけれど、中断して、会話に加わることにしたらしい。

俺についての酷評を聞かされたクロードは、お怒りモード。

「ケレメイン家が大公家になり、大公国を興せたのは、ヒサツグが私の伴侶となって、私を助けたからだ。
ヒサツグが私との人生を拒んでいたら、ケレメイン家は、とうになくなっている。」
とクロード。

「ケレメイン家が大公家になった今、その者は、ケレメイン家の名を貶めるだけの存在でございます。

クロード様のお側にいつまでも置いていては、クロード様とケレメイン家が汚れます。

度々、進言してきましたが、クロード様は、一向にお聞き入れくださらない。

どうしても気にかかるというなら、その者を下げ渡せばよろしいのです。

認めたい功績があるといっても、そのような、どこの馬の骨とも知れない下賤な男にくれてやる褒章など、ございません。

クロード様。ケレメイン家のこれからのことをお考えください。

ケレメイン大公国の大公妃に相応しいのは、由緒正しきお血筋の王女殿下をおいて、一体、どこにいらっしゃるというのです。」
と年嵩の女性。

え?
糟糠の妻は、切り捨てて、成功者に相応しい嫁取りをしろ、と聞こえたぞ?

フランスのナポレオンみたいに、社交界に相応しい嫁にすげ替えようって肚?
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