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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。
411.好きな人に尽くして、貢ぐことは、好きな人へのアピール以外にも意味を持っていたのではないですか?意思表示ではありませんでしたか?
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サーバル王国の王女様は、王女様として、自分自身の気持ちを口に出さないように抑え込んできたんだとオレは思う。
クロードに対する気持ち以外は。
クロードに関しては、王女様とクロードが仲良くなることを周りが良しとしてきたから、王女様は気持ちを出せてきたんじゃないかな。
好き、とか、愛している、の直接的な表現じゃなくて、結婚して公爵夫人になる、という言い方で。
王女様の住む世界では、公爵夫人になるという表現が精一杯の好意の吐露になっていたとオレは思う。
王女様の場合、生育環境と本人の性格が相まって、周囲に承認されない気持ちを言葉にして外に出すという習慣がなかったのかもしれない。
サーバル王国の若手の皆さんの反応から見ると、ドリアン王国の侯爵子息のことを、王女様が嫌がることは良しとしない雰囲気があったんだろうなー。
ケレメイン大公国に押しかけて来る前の王女様は、周りの用意した神輿に乗っていた。
女神様に引き合わされて相思相愛の仲のオレとクロードの間に、王女様が入り込める隙間はないと知るまで。
王女様は、周りの用意した神輿に乗っているだけの自分自身を振り返ることはしなかったと思う。
王女様の人生設計は、完全に予期していないものになった。
王女様と接していて、王女様は、周りの理想の王女様になるように育てられているとオレは感じた。
王女様は、王女様として国益を無視する生き方を知らない。
王女様の周りが、王女様に、王女様としての生き方以外を知ることがないようにしていたのかもしれない。
知らないから、できない。
知らないことを知ることができるかもしれない、ということも王女様は知らない。
王女様が、王女様として生きていくのに、何も困っていなかったら。
オレは、王女様の生き方に口出ししなかった。
でも。
王女様が、困っていると分かったからなー。
ケレメイン大公国のため、サーバル王国の王女様には、生涯現役を頼むつもりでいる。
王女様には、前向きに仕事に取り組んで、健やかに過ごしていただきたい。
自分にはどうしようもなく嫌なことを強いられることになったときに、嫌だと感じてしまう自分が良くないんだ、と、王女様に考えてほしくない、とオレは思った。
王女様自身が、気づいて変えていかないと、嫌な気持ちをどんどん膨らみ、我慢することが増えていく。
自分が我慢するしかない状況の出口が見えないというのは、気分が重くなる。
王女様が、ケレメイン大公国に来たときに、強気だったのは。
王女様がクロードと結婚する未来を信じていただけではなかったんだな、とオレは考えるようになった。
王女様は、クロードへの気持ちや貢献を示すことで、ドリアン王国の侯爵子息と侯爵子息を推す勢力を牽制したかったんじゃないかな。
王女様は、不言実行の人だ。
ただ。
気持ちを口に出す選択肢がある中で、あえて口を出さなかったわけではない。
気持ちを口に出す行為を王女様がしても良い行為だとは考えていなかったから、気持ちを口に出してこなかったんだと思う。
ドリアン王国の侯爵子息に好き好きアピールされたくない、という気持ちは、王女様だけが持っていたものだから、政治的に放置されていたのかもしれない。
ドリアン王国の侯爵子息の話を聞いた今となっては、王女様が今のまま変わらないでいることは、王女様自身にとっても、周りにとっても良くないと思う。
王女様は、クロードに尽くした見返りが返ってくると疑っていなかった。
王女様が、私財を投入して尽くしたのは、クロードと結婚するという、王女様の意思表示だったんじゃないかな。
口には出さなくても、これだけ尽くしたら、クロードと結婚する未来は確定するという考えは、私財を出すと決めたときに、王女様の中にあったと思う。
王女様は、思いを口に出すことが歓迎されない中で、王女様自身の意思表示をしたかった。
行動で示す分には咎められないから、尽くすという行為は、貢いでいるようなものだと思う。
貢ぐ行為自体が、貢ぐ人を幸せにするなら、何も問題はない。
貢ぐことで見返りがほしいなら、見返りを求めていることを明示した上で、貢がないと、貢がれる方も、貢ぐ方も、互いに苦しむことになる。
クロードの助けになりたいという気持ちで、ケレメイン公爵領の援助に私財を投入したとき、王女様は、クロードとの結婚を確信していただけじゃない、と、オレは考えている。
ドリアン王国の侯爵子息と縁付くことはない、という王女様の精一杯の意思表示でもあった。
現在、王女様の不言実行の意思表示は、不発に終わっている。
クロードと結婚する未来が潰えた王女様には、ドリアン王国の侯爵子息する未来が待ち受けているかもしれない。
ドリアン王国の侯爵子息と結婚した王女様が元気をなくして、仕事意欲をする気力をなくす事態を、オレは避けたい。
王女様自身に、ドリアン王国の侯爵子息との関係を考えて、自ら動いてもらうには、どうしたらいいか。
王女様に、王女様自身について考えてもらうことにした。
オレが動いたら内政干渉だからなー。
王女様は、国益の面では、と、話し始めた。
「ドリアン王国の侯爵子息と公務でお会いすることは仕方がない、ずべし。」
そうか、『仕方がない』んだなー。
クロードに対する気持ち以外は。
クロードに関しては、王女様とクロードが仲良くなることを周りが良しとしてきたから、王女様は気持ちを出せてきたんじゃないかな。
好き、とか、愛している、の直接的な表現じゃなくて、結婚して公爵夫人になる、という言い方で。
王女様の住む世界では、公爵夫人になるという表現が精一杯の好意の吐露になっていたとオレは思う。
王女様の場合、生育環境と本人の性格が相まって、周囲に承認されない気持ちを言葉にして外に出すという習慣がなかったのかもしれない。
サーバル王国の若手の皆さんの反応から見ると、ドリアン王国の侯爵子息のことを、王女様が嫌がることは良しとしない雰囲気があったんだろうなー。
ケレメイン大公国に押しかけて来る前の王女様は、周りの用意した神輿に乗っていた。
女神様に引き合わされて相思相愛の仲のオレとクロードの間に、王女様が入り込める隙間はないと知るまで。
王女様は、周りの用意した神輿に乗っているだけの自分自身を振り返ることはしなかったと思う。
王女様の人生設計は、完全に予期していないものになった。
王女様と接していて、王女様は、周りの理想の王女様になるように育てられているとオレは感じた。
王女様は、王女様として国益を無視する生き方を知らない。
王女様の周りが、王女様に、王女様としての生き方以外を知ることがないようにしていたのかもしれない。
知らないから、できない。
知らないことを知ることができるかもしれない、ということも王女様は知らない。
王女様が、王女様として生きていくのに、何も困っていなかったら。
オレは、王女様の生き方に口出ししなかった。
でも。
王女様が、困っていると分かったからなー。
ケレメイン大公国のため、サーバル王国の王女様には、生涯現役を頼むつもりでいる。
王女様には、前向きに仕事に取り組んで、健やかに過ごしていただきたい。
自分にはどうしようもなく嫌なことを強いられることになったときに、嫌だと感じてしまう自分が良くないんだ、と、王女様に考えてほしくない、とオレは思った。
王女様自身が、気づいて変えていかないと、嫌な気持ちをどんどん膨らみ、我慢することが増えていく。
自分が我慢するしかない状況の出口が見えないというのは、気分が重くなる。
王女様が、ケレメイン大公国に来たときに、強気だったのは。
王女様がクロードと結婚する未来を信じていただけではなかったんだな、とオレは考えるようになった。
王女様は、クロードへの気持ちや貢献を示すことで、ドリアン王国の侯爵子息と侯爵子息を推す勢力を牽制したかったんじゃないかな。
王女様は、不言実行の人だ。
ただ。
気持ちを口に出す選択肢がある中で、あえて口を出さなかったわけではない。
気持ちを口に出す行為を王女様がしても良い行為だとは考えていなかったから、気持ちを口に出してこなかったんだと思う。
ドリアン王国の侯爵子息に好き好きアピールされたくない、という気持ちは、王女様だけが持っていたものだから、政治的に放置されていたのかもしれない。
ドリアン王国の侯爵子息の話を聞いた今となっては、王女様が今のまま変わらないでいることは、王女様自身にとっても、周りにとっても良くないと思う。
王女様は、クロードに尽くした見返りが返ってくると疑っていなかった。
王女様が、私財を投入して尽くしたのは、クロードと結婚するという、王女様の意思表示だったんじゃないかな。
口には出さなくても、これだけ尽くしたら、クロードと結婚する未来は確定するという考えは、私財を出すと決めたときに、王女様の中にあったと思う。
王女様は、思いを口に出すことが歓迎されない中で、王女様自身の意思表示をしたかった。
行動で示す分には咎められないから、尽くすという行為は、貢いでいるようなものだと思う。
貢ぐ行為自体が、貢ぐ人を幸せにするなら、何も問題はない。
貢ぐことで見返りがほしいなら、見返りを求めていることを明示した上で、貢がないと、貢がれる方も、貢ぐ方も、互いに苦しむことになる。
クロードの助けになりたいという気持ちで、ケレメイン公爵領の援助に私財を投入したとき、王女様は、クロードとの結婚を確信していただけじゃない、と、オレは考えている。
ドリアン王国の侯爵子息と縁付くことはない、という王女様の精一杯の意思表示でもあった。
現在、王女様の不言実行の意思表示は、不発に終わっている。
クロードと結婚する未来が潰えた王女様には、ドリアン王国の侯爵子息する未来が待ち受けているかもしれない。
ドリアン王国の侯爵子息と結婚した王女様が元気をなくして、仕事意欲をする気力をなくす事態を、オレは避けたい。
王女様自身に、ドリアン王国の侯爵子息との関係を考えて、自ら動いてもらうには、どうしたらいいか。
王女様に、王女様自身について考えてもらうことにした。
オレが動いたら内政干渉だからなー。
王女様は、国益の面では、と、話し始めた。
「ドリアン王国の侯爵子息と公務でお会いすることは仕方がない、ずべし。」
そうか、『仕方がない』んだなー。
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