《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。

415.サーバル王国の王女様と若手の皆さんに、ドリアン王国の侯爵子息が積極的なのは、サーバル王国が軽く見られているからだと伝えました。

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サーバル王国の若手の皆さんの、オレに対する敵愾心や女神様に対する恐怖は完全に消えてはいないけれど、互いに話をして、耳を傾け合える土台は作れた。

良し。

「殿下、この申し出は、いかがされますか?」
サーバル王国の若手の一人が、王女様にご意向を聞いているぞ。

進歩だなー。

「問題なし、ずべし。」
と王女様。

王女様の受け答えも立派だぞ。

「よろしいのですか?」
とサーバル王国の若手の一人。

王女様は、頷いて、部屋の中を見渡した。

「今まで、わたくしの問題に真摯に向き合おうとした方も、解決しようとした方も、わたくしの周りには見えなかった、ずべし。

わたくしに見えていなかっただけかもしれないけども。

わたくしは、ドリアン王国の侯爵子息に困っていた、ずべし。

わたくしの話を聞いて、問題点を探し当て、解決するまで動いてくれた大公妃殿下に、サーバル王国の王女として、わたくし個人として、わたくしは感謝している、ずべし。

わたくしは、大公妃殿下に恩を返し、恩以上の繋がりを持ちたい、ずべし。

わたくしを親善大使に任命された、大公妃殿下のお心遣いに応えたい、ずべし。」

サーバル王国の王女様は、ドリアン王国の侯爵子息にどう対応するかの決断に王女様自身の気持ちを加味したことで、オレに対して、信用してもいい相手、と考えてくれたんだな。

王女様が親善大使になったのは、英雄クロードに対し、王女様を含むサーバル王国がしでかしたことの後始末として決まった仕事。

王女様は、王女様自身の意思で親善大使の仕事に取り組みたいと考えている。

胸の中が、アツくなった。

オレは、今、周りに流されるままでいた後輩が、やる気を出した瞬間に立ち会っている。


オレは、この機会に、サーバル王国が、ドリアン王国に強気になれなかった理由を聞くことにした。

サーバル王国のケレメイン大公国に対する扱いとの差がありすぎるからなー。

気になって、気になって。

「サーバル王国が、王女様に接待させてまで、ドリアン王国を警戒する理由が、ドリアン王国にはあるんだよな?

オレは、ドリアン王国の侯爵子息と交渉する前に、理由を聞きたいぞ?」

サーバル王国の若手の皆さんは、オレに伝えるか否か逡巡している。

オレは、サーバル王国の若手の皆さんをつついてやることにした。

「ドリアン王国についての予備知識がないまま、交渉しても、オレの勝ち星は難しいぞ?

オレが負けたら、サーバル王国の侯爵子息は、王女様の引き渡しを要求してくるぞ?

外国へ嫁入り予定の、外国の王女様を追いかけてくる理由に考えが及ばないわけは、ないよな?」

何人かが、顔色を変えた。

花嫁を奪い取りにきている、と気づいたかなー?

王女様は、自身が略奪される可能性について考えていないようだから、詳しくは触れないで話をする。

「ドリアン王国の侯爵子息が、国交のないケレメイン大公国まで、ケレメイン大公妃になるためにやってきたサーバル王国の王女様を追いかけてきた理由だけどな。

サーバル王国が、王女様をそんな風に扱っても構わないというサインを出し続けてきたからだぞ?

ドリアン王国の侯爵子息に対して、サーバル王国の王女様を差し出しておけば大丈夫だと考えて、王女様に接待させていた結果。

ドリアン王国は、王女様を通り越して、サーバル王国を軽く見るようになったんじゃないのかな?」
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