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第六章 夏の終わりの夜の夢(阿久津視点)
** そこにもう、君はいない(side-A)
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唯一の第三者視点(彩乃)です(書かずにいられませんでした…)
読まなくても本編に差し支えありません。読みたい方だけどうぞ。
* * *
玄関を開けると、政人がリビングから出てきた。
「おかえり」
「ただいま」
私は微笑んで返す。少しだけ若返っていた気持ちが、日常に戻るような感覚に安堵もし、少し寂しくも感じる。
「子どもたちは?」
「寝たよ。礼奈はお前を探してたけど」
「そっか」
靴を脱いで上がり、夫の顔を見上げた。
先ほど隣を歩いていた同期とほとんど変わらない高さにある顔なのに、不思議と近く見える。
「どうかしたか?」
出会ったときよりも、柔らかくて落ち着いた微笑。
「ううん、何でもない」
その目に映るだけで浮き立つ気持ちになったときもあった。今はいくらでも見つめ合っていられる。いくら見つめ合っても、緊張もしないし、胸が高鳴ることもない。ただ安心感を抱くくらいか。
まあ少しは、照れ臭くなるかもしれないけど。
「楽しかった?」
政人に聞かれて、うん、と頷く。
「変わらなかった。久しぶりなのに不思議。阿久津と話してると就職した頃の気分になる」
「そうみたいだな。見てて分かるよ」
政人は微笑んでいる。何か見通したような顔が少し気になるけど、こういうときは大概、何でもないとごまかされることを知っている。
「もうあのときと全然違うのにね。懐かしい話いっぱいしたよ。就職する前の飲み会のときとか。ほら、政人と最初に会ったとき」
私が話すのを、政人は微笑んで見ている。
「……何?」
「いや。風呂、入ってくれば」
ちらりと風呂場を見やって、私は政人を見つめた。
「もう、寝る?」
「話したいなら、待っててやるから」
その答えに満足して、私はこくりと頷いた。
風呂に入り、汗を流し、冷めてしまったお湯を沸かしながら湯舟につかる。子ども三人と夫が入った湯舟の湯量はだいぶ心許なかったけど、どうせ捨てるので足すのは最小限に留める。節約というよりもなんとなくもったいないからだ。
湯舟につかりながら、自分の手先や足先を見やる。就職した頃とは違う、とはっきりわかる訳ではないが、やっぱり違うんだろう。三人を宿してお腹の皮もたるんでしまったし、元々あまり豊かでなかった胸も少し垂れてしまったような気がする。
それも女の勲章、かなぁ。
ずぶずぶと、少ない湯舟にぎりぎりまで沈んでみる。
阿久津のあんな顔、初めて見た。
取り繕うような笑顔。
そういえば、会社ではああいう顔、たまにしてる。
あんまり仲良くない同期の前でも、してる。
でも、私に対して見せたのは初めてだった。
それを見たことが、何だか胸に引っ掛かる。
どうして、今さらあんな顔したんだろう。
ばちゃばちゃと、お湯で顔を洗ってみた。手で顔を拭い、ぷはー、と息を吐き出す。
上がろう。飲んだ後だし、長湯はよくない。考え事などしていたら、眠ってしまいそうで余計よくない。
お風呂を出て髪を乾かし、政人の待つリビングへと向かった。
「ハーブティー、飲むか?」
「うん、ありがとう」
政人は冷蔵庫から水出しハーブティーを入れて私に出してくれた。ハイビスカスとかベリーとかの少し酸味のあるブレンドで、夏場のお気に入りだ。
食卓の椅子に腰掛けて、前に立つ政人を見上げる。
「何で、あんなメッセージ送ったの?」
「あんな?」
「送れとか、何とか」
政人は笑った。微笑したままの目で、私を見やる。
「お前さ。今まで阿久津に送ってもらったこと、ある?」
「ないわよ、そんなん」
「そうだろうと思った」
政人は言ってまた笑う。何でもお見通しみたいなその態度が悔しい。
「どういうことよ」
「うん。……阿久津、何か言ってた?」
問われて、私は首をひねる。
気掛かりな言葉は、特に聞かなかった。
「……特に、何も」
「だろうな」
「何、それ」
本当に、何でもお見通しみたいに。
私は唇を尖らせる。
「楽しかったんだろ? じゃ、いいじゃねぇか」
「そうだけど。……そうだけど」
政人は黙って微笑んで、私の椅子の後ろに回り込んだ。
ふわり、と身体を包み込まれる。
ああ、嘘だ。
ときめきが無いって、言う夫婦もいるけど、私にとってはそんなの嘘。
確かに浮き立つ気持ちは安心感に変わったけど、こうして包まれる度、私は一人の女になる。
「……なぁに」
「んー」
政人は頬に頬を寄せ、くすりと笑った。
「お前、泣きそうな顔してる」
「えっ?」
私は驚いて顔を上げ、政人を見る。
至近距離に整った顔があった。
穏やかな目に見つめられて、落ち着きを取り戻す。
「……私たち、もう若くないんだね」
「何だ急に」
馬鹿にしながらも、政人は私を抱きしめたまま、髪をすくい撫でる。
「変な感じ。無茶したり、やけくそになったり、悩んだりしてたのに、今になると懐かしい」
「そういうもんだろ」
政人が微笑む。私も微笑みを返そうとして、失敗した。
くしゃりと顔が歪み、何故か涙が頬を伝い落ちる。
「何で泣いてるんだろ、私」
「うん」
政人は静かに前に回り込み、私の顔を胸に引き寄せた。
私もその背に手を回す。
「甘えすぎてたのかなぁ」
「何に?」
「阿久津」
愚痴を言いたくなったとき、泣き言を言いたくなったとき、やけ酒をしたくなったとき、阿久津が側にいたことに、今さら気づく。
そして、もうそれは過去だということにも、改めて気づいた。
「幸せになるといいなぁ、阿久津」
政人は、はは、と軽やかに笑った。その振動が直接、彼の胸に擦り寄せた頬に伝わって来る。
「なるだろ」
「え?」
私は顔を上げ、訝しげな目を政人に向けた。
「あいつは女を見る目があるから大丈夫」
政人は、相変わらず私好みの相貌に、私好みの笑顔を浮かべて、私の目を覗き込んだ。
「ただの遊び人じゃないの?」
「違うのはお前がよくわかってるだろ」
「分かってる……の、かな」
阿久津のことは、知っているようで、いまいち知らないんだと、ついさっき気づいたばかりだ。
政人は微笑んでいる。
「よかったな。楽しい夜を過ごせて」
私はその目をじっと見返して、こくり、と頷いた。涙でまだ少し視界は歪んでて、それでも、政人は微笑んで、私の頬に唇を寄せ、次いで額にキスをした。
私は政人の胸に抱き着いて、大きく息を吐き出した。ぐりぐり、と、いまだに筋肉質なその胸に額を押し付ける。
「何だよ。くすぐったい」
「好き」
「はぁ?」
呆れた声を出しながら、政人は笑う。私も笑う。笑いながら、顔を上げる。政人が私の髪を撫で、私は唇を突き出すように顎を上げた。唇に触れるだけのキスが降りて来る。
私は政人に抱き着く。政人は私を抱きしめる。
「幸せ者だね、私」
「妻にそう言ってもらえる俺も幸せ者だな」
二人で言い合って、また笑った。
* * *
人の話でまでいちゃつく夫婦ですみません。お邪魔しました…
(第六章完 次章、ヒメと阿久津交互視点です)
読まなくても本編に差し支えありません。読みたい方だけどうぞ。
* * *
玄関を開けると、政人がリビングから出てきた。
「おかえり」
「ただいま」
私は微笑んで返す。少しだけ若返っていた気持ちが、日常に戻るような感覚に安堵もし、少し寂しくも感じる。
「子どもたちは?」
「寝たよ。礼奈はお前を探してたけど」
「そっか」
靴を脱いで上がり、夫の顔を見上げた。
先ほど隣を歩いていた同期とほとんど変わらない高さにある顔なのに、不思議と近く見える。
「どうかしたか?」
出会ったときよりも、柔らかくて落ち着いた微笑。
「ううん、何でもない」
その目に映るだけで浮き立つ気持ちになったときもあった。今はいくらでも見つめ合っていられる。いくら見つめ合っても、緊張もしないし、胸が高鳴ることもない。ただ安心感を抱くくらいか。
まあ少しは、照れ臭くなるかもしれないけど。
「楽しかった?」
政人に聞かれて、うん、と頷く。
「変わらなかった。久しぶりなのに不思議。阿久津と話してると就職した頃の気分になる」
「そうみたいだな。見てて分かるよ」
政人は微笑んでいる。何か見通したような顔が少し気になるけど、こういうときは大概、何でもないとごまかされることを知っている。
「もうあのときと全然違うのにね。懐かしい話いっぱいしたよ。就職する前の飲み会のときとか。ほら、政人と最初に会ったとき」
私が話すのを、政人は微笑んで見ている。
「……何?」
「いや。風呂、入ってくれば」
ちらりと風呂場を見やって、私は政人を見つめた。
「もう、寝る?」
「話したいなら、待っててやるから」
その答えに満足して、私はこくりと頷いた。
風呂に入り、汗を流し、冷めてしまったお湯を沸かしながら湯舟につかる。子ども三人と夫が入った湯舟の湯量はだいぶ心許なかったけど、どうせ捨てるので足すのは最小限に留める。節約というよりもなんとなくもったいないからだ。
湯舟につかりながら、自分の手先や足先を見やる。就職した頃とは違う、とはっきりわかる訳ではないが、やっぱり違うんだろう。三人を宿してお腹の皮もたるんでしまったし、元々あまり豊かでなかった胸も少し垂れてしまったような気がする。
それも女の勲章、かなぁ。
ずぶずぶと、少ない湯舟にぎりぎりまで沈んでみる。
阿久津のあんな顔、初めて見た。
取り繕うような笑顔。
そういえば、会社ではああいう顔、たまにしてる。
あんまり仲良くない同期の前でも、してる。
でも、私に対して見せたのは初めてだった。
それを見たことが、何だか胸に引っ掛かる。
どうして、今さらあんな顔したんだろう。
ばちゃばちゃと、お湯で顔を洗ってみた。手で顔を拭い、ぷはー、と息を吐き出す。
上がろう。飲んだ後だし、長湯はよくない。考え事などしていたら、眠ってしまいそうで余計よくない。
お風呂を出て髪を乾かし、政人の待つリビングへと向かった。
「ハーブティー、飲むか?」
「うん、ありがとう」
政人は冷蔵庫から水出しハーブティーを入れて私に出してくれた。ハイビスカスとかベリーとかの少し酸味のあるブレンドで、夏場のお気に入りだ。
食卓の椅子に腰掛けて、前に立つ政人を見上げる。
「何で、あんなメッセージ送ったの?」
「あんな?」
「送れとか、何とか」
政人は笑った。微笑したままの目で、私を見やる。
「お前さ。今まで阿久津に送ってもらったこと、ある?」
「ないわよ、そんなん」
「そうだろうと思った」
政人は言ってまた笑う。何でもお見通しみたいなその態度が悔しい。
「どういうことよ」
「うん。……阿久津、何か言ってた?」
問われて、私は首をひねる。
気掛かりな言葉は、特に聞かなかった。
「……特に、何も」
「だろうな」
「何、それ」
本当に、何でもお見通しみたいに。
私は唇を尖らせる。
「楽しかったんだろ? じゃ、いいじゃねぇか」
「そうだけど。……そうだけど」
政人は黙って微笑んで、私の椅子の後ろに回り込んだ。
ふわり、と身体を包み込まれる。
ああ、嘘だ。
ときめきが無いって、言う夫婦もいるけど、私にとってはそんなの嘘。
確かに浮き立つ気持ちは安心感に変わったけど、こうして包まれる度、私は一人の女になる。
「……なぁに」
「んー」
政人は頬に頬を寄せ、くすりと笑った。
「お前、泣きそうな顔してる」
「えっ?」
私は驚いて顔を上げ、政人を見る。
至近距離に整った顔があった。
穏やかな目に見つめられて、落ち着きを取り戻す。
「……私たち、もう若くないんだね」
「何だ急に」
馬鹿にしながらも、政人は私を抱きしめたまま、髪をすくい撫でる。
「変な感じ。無茶したり、やけくそになったり、悩んだりしてたのに、今になると懐かしい」
「そういうもんだろ」
政人が微笑む。私も微笑みを返そうとして、失敗した。
くしゃりと顔が歪み、何故か涙が頬を伝い落ちる。
「何で泣いてるんだろ、私」
「うん」
政人は静かに前に回り込み、私の顔を胸に引き寄せた。
私もその背に手を回す。
「甘えすぎてたのかなぁ」
「何に?」
「阿久津」
愚痴を言いたくなったとき、泣き言を言いたくなったとき、やけ酒をしたくなったとき、阿久津が側にいたことに、今さら気づく。
そして、もうそれは過去だということにも、改めて気づいた。
「幸せになるといいなぁ、阿久津」
政人は、はは、と軽やかに笑った。その振動が直接、彼の胸に擦り寄せた頬に伝わって来る。
「なるだろ」
「え?」
私は顔を上げ、訝しげな目を政人に向けた。
「あいつは女を見る目があるから大丈夫」
政人は、相変わらず私好みの相貌に、私好みの笑顔を浮かべて、私の目を覗き込んだ。
「ただの遊び人じゃないの?」
「違うのはお前がよくわかってるだろ」
「分かってる……の、かな」
阿久津のことは、知っているようで、いまいち知らないんだと、ついさっき気づいたばかりだ。
政人は微笑んでいる。
「よかったな。楽しい夜を過ごせて」
私はその目をじっと見返して、こくり、と頷いた。涙でまだ少し視界は歪んでて、それでも、政人は微笑んで、私の頬に唇を寄せ、次いで額にキスをした。
私は政人の胸に抱き着いて、大きく息を吐き出した。ぐりぐり、と、いまだに筋肉質なその胸に額を押し付ける。
「何だよ。くすぐったい」
「好き」
「はぁ?」
呆れた声を出しながら、政人は笑う。私も笑う。笑いながら、顔を上げる。政人が私の髪を撫で、私は唇を突き出すように顎を上げた。唇に触れるだけのキスが降りて来る。
私は政人に抱き着く。政人は私を抱きしめる。
「幸せ者だね、私」
「妻にそう言ってもらえる俺も幸せ者だな」
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