爆走織姫はやさぐれ彦星と結ばれたい!

松田丹子(まつだにこ)

文字の大きさ
95 / 114
第十一章 織姫は彦星にどうしても抱かれたい(ヒメ視点)

14 ハジメテノ夜 その四

しおりを挟む
 光彦さんのてのひらが、私の身体を優しく撫でて行く。キスが唇から頬へ、そして耳へと移動していく。
 くちゅくちゅと耳の近くでたつ水音に、腰あたりがぞわぞわしてくる。
 光彦さんの片手が胸を優しく揉み、もう片方の手が股の内側をさすりあげる。
「ふ、ん……」
 一度繋がった身体は、そんな愛撫だけじゃ物足りない。思っていると、光彦さんが、ふっと笑った気配がした。
 首筋と鎖骨を舌でざらりと舐め、私の顔を見下ろす。
 胸に当てていた手で私の髪を数度撫で、満足げに微笑む。
 その表情に愛を感じてきゅんとした。
 光彦さんは首の後ろに手を差し込み、片手で腰を引き寄せる。
 ぎゅっと抱きしめながら、また濃厚なキスが始まった。
 私は一ミリも離れたくなくて、できるだけたくさん光彦さんを感じたくて、その首後ろに腕を巻付ける。
 光彦さんが目を閉じたのを見て、私も目を閉じた。
 目を閉じると、光彦さんの温もりが心の中まで満たしていくように感じられた。
 重なった唇から、肌から、溶け出してしまいそうだった。
 好き。
 ーー好き。
 光彦さんが、好き。
 想いが高ぶる。
 閉ざした目から、温かい涙が目尻を伝い落ちた。
 光彦さんはそれを察したかのようにキスを止め、少し離れる。
「どうかしたか?」
 言いながら、光彦さんは優しく、私の目尻を伝う涙を唇で拭った。
 私は首を振る。
「幸せ、だなって思って」
 光彦さんは目をまたたかせた。
 私はふにゃりと微笑む。
「大好きな人と、こうしていられるのって……こんなに幸せな気持ちなんですね」
 光彦さんは目をさまよわせて、苦笑した。
「今までは感じたことないって?」
 言われて初めて気づく。
「あ、そうかも。やっぱり好きじゃなかったのかな」
「ひでぇ奴」
 光彦さんは言ったけど、気まずそうに目を反らした。
「……まあ、人のこと言えないけど」
「え?」
「何でもない」
 言って、光彦さんはまた私の身体を撫でていく。
 その手のひらに、光彦さんから注がれる愛情を感じた。
 光彦さんが、私の首筋にキスを落とす。音を立てながらのキスは、だんだんと胸元まで下りていき、胸の頂きを吸い上げた。
 大きな口で吸い込むようにしてみたり、舌先でちろちろと弄んでみたり、緩急をつけた胸への愛撫に、私の口から甘い声が漏れる。
 光彦さんの片手が、一度繋がったそこへと伸びた。入口を探るように掻き回され、ゆっくり奥へ沈み込む。
 一度光彦さん自身を受け入れたそこは、あっさりと指を飲み込んで行った。
 光彦さんはまたキスを再開し、腹部から下腹部へ下りていく。二本目の指を茂みの奥へ挿し入れながら、片手は私の膝裏から腿、そして臀部を、触れるか触れないかのタッチで往復する。
「あぅ、ん……光彦さん、気持ちいぃ……」
 光彦さんがくすりと笑った。息が下腹部にかかり、またしても身体が震える。
 気付けば光彦さんの顔は私の股の間にあった。私はあわてて膝を閉じようとしたが、時既に遅し。光彦さんは先ほども快感を与えた小さな膨らみに舌を這わせた。
「はぁ、ん!」
 声が漏れ、腰が浮く。片腕を膝裏から回した光彦さんはがっしりと私をつかまえたまま、片手で奥を掻き回し、唇で蕾を吸い上げる。
 ときどき、掻き出すように指先を動かし、じゅるじゅると卑猥な音を立てて愛液を吸った。
「や、やだ、光彦さん、汚いっ……」
 それでも、光彦さんは容赦なく私を高ぶらせていく。
 掻き回す指と吸い上げる唇、時々かかる吐息に、私は完全に頭が麻痺していった。
「光彦さん、光彦さんっ、ああ、好きーー好き」
 うわ言のように口にするたび、自分の中からさらに蜜が溶け出すのがわかった。光彦さんの息遣いが粗くなっているのがわかり、私はさらに興奮していく。
「はぁ、ああーー愛してる、愛して、」
 きゅ、と、光彦さんは花弁を吸い上げた。私の一際大きな嬌声があがる。
 数度、収縮を繰り返した後、くたりと力が抜けた私の身体を、光彦さんが撫でた。
 彼の手が触れる度、私の身体はぴくりと動く。
 光彦さんは笑って、荒い息を繰り返す私を優しく抱きしめた。
「ーー可愛い」
 耳元で言われただけで、感じてしまって声が漏れる。
 光彦さんはそれを見てまたくつくつと笑った。
 いたずらが成功した子どものような表情を、私は恨めしげに見る。
「気持ち良かったか?」
「うんーーすっごく」
 おかげで、身体中ぐったりしている。愛撫されただけでこんなに疲れたのは初めてかもしれない。
「そりゃ、よかった」
 光彦さんは微笑んで、私の頬に口づけると、私の頭の下に腕を差し込む。
 私は引き寄せられるままに横を向いた。腕枕で抱きしめられ、光彦さんの胸に顔を寄せる。
「幸せ」
「うん」
「……光彦さんも?」
 おずおずと目を上げると、そこには見たこともない優しい微笑みがあった。
「……そうだな」
 つぶやいて、私の髪を掬い上げる。
 手櫛で梳くような撫で方が気持ち良くて、私は目を細めた。
「ヒメ」
「はい」
「……結婚、しようか」
 私は、びくりと震えた。
 直後、光彦さんが、あ、と言ったので、思わず目を上げて表情を伺う。
「……しまった」
 気まずげな横顔が見えた。
「何が、しまった、なの?」
「えーーああ、いや……」
 光彦さんは言いづらそうに、しばらく目をさまよわせた後、諦めたように私を見る。
「七夕に……しようかと、思ってた」
 私は目をまたたかせる。
「プロポーズ?」
「まあ……そんなとこ」
 気まずげに目をそらす光彦さんをよそに、私の心にじわじわと喜びが広がっていく。
 考えて、くれてたんだ。
 これからのこと。私たちの将来のこと。
 これから先も、一緒にいられるんだーー
 私は光彦さんの胸に抱き着いた。光彦さんは優しく私の髪を撫でつづける。
「ごめん……なんか、格好悪くて」
 私はぶんぶんと首を振る。
 嬉しくて嬉しくて、言葉が出ない。
 手が震えていた。身体も震えていた。
 裸で寄り添っている彼の温もりに、涙が込み上げる。
 ずっといたい。側にいたい。
 いていいと、彼が思ってくれている。
 今までの想いが、報われたんだ。本当に。
 初めて繋がった喜びと、思わぬ彼の気持ちの吐露に、私は身も心も溶け出してしまって、ぼろぼろと涙がこぼれて、身体は震えて嗚咽すら漏れて、返事もできずに光彦さんの身体にしがみつく。
 そんな私の背中を、光彦さんはただ黙って、優しく撫でてくれた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

叱られた冷淡御曹司は甘々御曹司へと成長する

花里 美佐
恋愛
冷淡財閥御曹司VS失業中の華道家 結婚に興味のない財閥御曹司は見合いを断り続けてきた。ある日、祖母の師匠である華道家の孫娘を紹介された。面と向かって彼の失礼な態度を指摘した彼女に興味を抱いた彼は、自分の財閥で花を活ける仕事を紹介する。 愛を知った財閥御曹司は彼女のために冷淡さをかなぐり捨て、甘く変貌していく。

ズボラ上司の甘い罠

松田丹子(まつだにこ)
恋愛
小松春菜の上司、小野田は、無精髭に瓶底眼鏡、乱れた髪にゆるいネクタイ。 仕事はできる人なのに、あまりにももったいない! かと思えば、イメチェンして来た課長はタイプど真ん中。 やばい。見惚れる。一体これで仕事になるのか? 上司の魅力から逃れようとしながら逃れきれず溺愛される、自分に自信のないフツーの女子の話。になる予定。

溺婚

明日葉
恋愛
 香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。  以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。  イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。 「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。  何がどうしてこうなった?  平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

明日のために、昨日にサヨナラ(goodbye,hello)

松田丹子(まつだにこ)
恋愛
スパダリな父、優しい長兄、愛想のいい次兄、チャラい従兄に囲まれて、男に抱く理想が高くなってしまった女子高生、橘礼奈。 平凡な自分に見合うフツーな高校生活をエンジョイしようと…思っているはずなのに、幼い頃から抱いていた淡い想いを自覚せざるを得なくなり…… 恋愛、家族愛、友情、部活に進路…… 緩やかでほんのり甘い青春模様。 *関連作品は下記の通りです。単体でお読みいただけるようにしているつもりです(が、ひたすらキャラクターが多いのであまりオススメできません…) ★展開の都合上、礼奈の誕生日は親世代の作品と齟齬があります。一種のパラレルワールドとしてご了承いただければ幸いです。 *関連作品 『神崎くんは残念なイケメン』(香子視点) 『モテ男とデキ女の奥手な恋』(政人視点)  上記二作を読めばキャラクターは押さえられると思います。 (以降、時系列順『物狂ほしや色と情』、『期待ハズレな吉田さん、自由人な前田くん』、『さくやこの』、『爆走織姫はやさぐれ彦星と結ばれたい』、『色ハくれなゐ 情ハ愛』、『初恋旅行に出かけます』)

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜

瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。 まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。 息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。 あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。 夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで…… 夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。

貴方の子を産み育ててますが、ホッといて下さい

鳴宮鶉子
恋愛
貴方の子を産み育ててますが、ホッといて下さい

処理中です...