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第一章 こちふかば
15 忘れたショールと次回会合
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デスクに鞄を置き、始業前に手洗いへ向かっていると、スマホが揺れた。メッセージ、大澤咲也。
【体調どうですか?】
昨日、ショールが落ちていたと写真が届いた。私のものだったが、体調不良で動けない旨を告げていたのだーー一人暮らしだとこういうとき心身に堪えます、と冗談のつもりで返したのだが、気にかけてくれたらしい。
発熱してなんとなく心細かったとはいえ、悪いことをしたなと思う。彼が独身であろうことは推測できたが、変な期待をさせてしまったかもしれない。
私は結婚願望もなければ彼氏が欲しいとも思っていない。性欲はなくはないが、面倒ごとになるくらいだったら自分で処理する。それでいいと思っているーー今までも、これからも。
二十代前半までは気ままに楽しめた恋愛も、三十に近くなってくるとそうも行かなくなってきた。結婚願望のない男と付き合えばいいのだろうが、私がさっぱりしているからか、寄って来るのは粘着質なタイプばかりだ。セフレ募集中と明言するのも憚られるし、病気は伝染されたくない。そんな訳でとりあえず独り身を貫いているのだが、この咲也くんがどういう考えを持っているかはわからない。
【とりあえず、熱は下がって出勤しました。ご心配おかけしてすみません】
敬礼の絵と一緒に送り返す。
【よかったですね。お大事になさってください。ショールは洗っておきましょうか?土の上に落ちていたから汚れてるかも】
【大したものではないので大丈夫です。お気遣いなく。また落ち着いたら連絡します】
返してから気づく。着払いで送ってもらってもいいかもしれない。
【分かりました。また飲み直すときにでもお持ちします】
ーーおや。
メッセージを送ろうとしていた手が止まった。
次がある、か。
うーんと首を傾げた。これは、そういう意味?そういう意味じゃない意味?
でも、彼の雰囲気は嫌いじゃない。むしろ好ましいと思えた。だからこそ、酔った勢いとはいえ連絡先を交換したのだがーー
ショールまで忘れていては、狙ったものと思われるかもしれないなぁ。
まあ、私ももういい大人だ。会うとなれば自己責任。どうなってもならなくてもそれはそれで楽しめばいいかもしれない。
彼にまた会いたいか、と自分に問えば、素直な答えはイエスである。ならば従うべし。これが私の生き方。
【了解です。また連絡します】
親指を立てた絵を送って、スマホをポケットにしまった。
【体調どうですか?】
昨日、ショールが落ちていたと写真が届いた。私のものだったが、体調不良で動けない旨を告げていたのだーー一人暮らしだとこういうとき心身に堪えます、と冗談のつもりで返したのだが、気にかけてくれたらしい。
発熱してなんとなく心細かったとはいえ、悪いことをしたなと思う。彼が独身であろうことは推測できたが、変な期待をさせてしまったかもしれない。
私は結婚願望もなければ彼氏が欲しいとも思っていない。性欲はなくはないが、面倒ごとになるくらいだったら自分で処理する。それでいいと思っているーー今までも、これからも。
二十代前半までは気ままに楽しめた恋愛も、三十に近くなってくるとそうも行かなくなってきた。結婚願望のない男と付き合えばいいのだろうが、私がさっぱりしているからか、寄って来るのは粘着質なタイプばかりだ。セフレ募集中と明言するのも憚られるし、病気は伝染されたくない。そんな訳でとりあえず独り身を貫いているのだが、この咲也くんがどういう考えを持っているかはわからない。
【とりあえず、熱は下がって出勤しました。ご心配おかけしてすみません】
敬礼の絵と一緒に送り返す。
【よかったですね。お大事になさってください。ショールは洗っておきましょうか?土の上に落ちていたから汚れてるかも】
【大したものではないので大丈夫です。お気遣いなく。また落ち着いたら連絡します】
返してから気づく。着払いで送ってもらってもいいかもしれない。
【分かりました。また飲み直すときにでもお持ちします】
ーーおや。
メッセージを送ろうとしていた手が止まった。
次がある、か。
うーんと首を傾げた。これは、そういう意味?そういう意味じゃない意味?
でも、彼の雰囲気は嫌いじゃない。むしろ好ましいと思えた。だからこそ、酔った勢いとはいえ連絡先を交換したのだがーー
ショールまで忘れていては、狙ったものと思われるかもしれないなぁ。
まあ、私ももういい大人だ。会うとなれば自己責任。どうなってもならなくてもそれはそれで楽しめばいいかもしれない。
彼にまた会いたいか、と自分に問えば、素直な答えはイエスである。ならば従うべし。これが私の生き方。
【了解です。また連絡します】
親指を立てた絵を送って、スマホをポケットにしまった。
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