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.13 ふたりでひとつ
87 従妹からの誘い
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二人で溶け合うみたいに眠りについた翌朝、スマホの着信音で目を覚ました。
「……今、栄太兄のも鳴った?」
「ああ」
ぼんやりした表情の礼奈が、スマホを探すように身じろぎする。その瞬間、「あっ」と慌てたように布団の中に手を戻した。
「なんや、どうした?」
「えっ、あ、や、あのっ……」
真っ赤になった礼奈が、目を泳がせて、観念したように答える。
「ご……ごめん、ティッシュ、取ってくれる……?」
……。
……そっか。そうか。それもそうやな。当然やな。
「わ、分かった……」
「ご、ごめんね……」
「いや俺こそ……」
もそもそした応答を交わしながら、ティッシュを数枚差し出す。礼奈はほっとしたような顔でそれを受け取って、「ありがと」とまた布団の中に手を戻した。
そっか。そうやな……何も着けへんでしたらどうなるかって、そりゃ……そうなるわな。
俺が出したもんが全部体内に吸収されるわけもないし……。
申し訳なさやらなんやらでそわそわして、お詫び代わりに礼奈のスマホを取って枕元に置いてやる。礼奈がありがと、と言うのを聞きつつ、見られてるのも嫌やろうとベッドの縁に座って自分のスマホをタップした。
「お父さんかな?」
「ああ――いや、朝子やな」
「朝子ちゃん?」
とりあえず拭き終えたのか、礼奈がベッドから起き上がる。コトが済んだ後ちゃんと服を着たから、シーツが汚れたことはないやろうけど。
「……服、汚れんかった?」
「うん、たぶんギリギリセーフ」
へへっ、と照れくさそうに礼奈が笑う。
あー、あーあーあー。俺の嫁は今日も最強にかわいい。
カーテンの隙間から差し込む朝日に化粧っ気のない白肌が照らされて、俺のものにした今でも純真無垢な天使みたいに輝いて見える。
……俺のものにした、てなんやエロいな。人妻になった? ――いやそれもちょっと……
「朝子ちゃん、何だって?」
甘い香りがただよって我に返ると、俺の肩越しに礼奈が手元を覗き込んでた。はっとした俺に気づいて「あ、ごめん」と頭を引っ込める。
「いや、別に見てもええけど」
「そう? ……でも、なんていうか。親しき仲にも礼儀ありっていうし……カレシの携帯見るとろくなことないって言うし……」
「カレシやなくて夫やけど」
言葉のアヤでしょ、と礼奈が苦笑する。
それは分かっとるけど一応な。
「そんな、礼奈に見られてマズいことなんてないで」
「ほんとかなぁ」
「当然やろ。浮気なんて器用なことできへんし」
スマホを繰る俺に、礼奈はそれもそうかと納得したらしい。……それで納得されんのもどうなんやろ。とは思わなくもないけど、まあ礼奈が安心してくれるんならええわ。
とりあえず、朝子の名前をタップする。
予想通り、俺と礼奈に送信されたメッセージには、こう書いてあった。
【来週、おばあちゃんの施設に面会に行こうかと思ってます。二人はもう行った? もしよければ、一緒にどうかな?】
ばあちゃんの施設には、政人たち親世代が行っただけで俺たちはまだ顔を出してへん。
次々会いに行っても落ち着かへんやろうし、俺たちも新生活が始まったばかりでばたついてたし。
朝子からは、続いてこんなメッセージも届いた。
【施設で行事があるときもあるけど、来週の土曜は何もないそうなので、ちょうどいいそうです。おばあちゃんに会った後、一緒に夕飯でも行ければと思います】
おお、ええな。
「なるほどな。さすが朝子やな」
「そうだね。おばあちゃん、会うの久しぶり」
弾んだ声でうなずいた礼奈が、はっと表情を引き締めた。
「って、来週……?」
「なんや、どうした?」
俺がまばたきすると、礼奈はがっくりと肩を落とす。
「……その日、仕事だ……」
「なんや、土曜にも研修か?」
「ううん……金曜日に配属先を言われるから、土曜日に挨拶行くことになってて……午前中は診察があるから、午後に挨拶かたがた顔出すよう言われてるんだ。月曜からすぐ仕事できるように」
あー、なるほどな。
納得した俺に、礼奈が「でも」と拳を握る。
「挨拶だけのはずだから。すぐ帰って来られると思う! 午後イチで行って、四時とか、それくらいには合流できるはず!」
「そんな、無理せんでええで。朝子はいつでも会えるやろ」
「そ、そうだけど……そうだけど」
礼奈は何か言いたげに唇を尖らせる。
「あー……と。なんなら、俺たちはまた来月に行くて言うてもええし……」
「で、でも……そうするとだいぶ先になっちゃうし、おばあちゃんもきっと栄太兄に会いたいと思うし……栄太兄だって会いたいでしょ?」
う、うん? まあ……そりゃ、そうやけど。
「ほんなら、俺だけでも朝子と顔出してくるか? あ、そや。ばあちゃんの写真でも撮ってきたら、礼奈もちょっと安心やろ」
いい案やと思うたんやけど、礼奈はやっぱり複雑そうな顔で、「うん」とうなずいた。
なんやろ? 煮え切らん返事やな。
うつむいた礼奈の顔を覗き込む。
「……礼奈?」
「うん……」
「なんか気になることあるんなら、ちゃんと言いや?」
「……うん……」
礼奈は顔を上げて、あは、と笑った。
「ううん。うん。何でもない。そうだね、それがいいと思う。栄太兄は、朝子ちゃんと一緒におばあちゃんに会いに行って。私も、間に合えば合流するし。あっ、そうだ、夕飯は間に合うと思うから、一緒したいな。朝子ちゃんと話すのも久々だし……翔太くんはどうなんだろ、来るのかな」
「さあ……あいつはマイペースやからなぁ」
急にテンポアップした礼奈の言葉にあいづちを打ちながら、朝子に返事を送った。
【おおきに。俺たちもばあちゃんの様子気になってたとこや。礼奈は仕事行ってから合流するて言うてるで】
【ほんと? 礼奈ちゃん仕事なんだ。無理しないでね! 二人に会うのも久しぶりだから、楽しみにしてる!】
【おう、こっちも楽しみにしとるで。夕飯、いい店知っとったら教えてな】
【了解! お母さんたちにも聞いて予約しとく。食べられないものとかないよね?】
俺と朝子が交わすメッセージが流れても、礼奈は珍しく、イラストを数度送っただけ。
それがなんとなく不思議な気はしたけど、本人が何でもないて言うたし、それ以上聞けへんまま、翌週になった。
「……今、栄太兄のも鳴った?」
「ああ」
ぼんやりした表情の礼奈が、スマホを探すように身じろぎする。その瞬間、「あっ」と慌てたように布団の中に手を戻した。
「なんや、どうした?」
「えっ、あ、や、あのっ……」
真っ赤になった礼奈が、目を泳がせて、観念したように答える。
「ご……ごめん、ティッシュ、取ってくれる……?」
……。
……そっか。そうか。それもそうやな。当然やな。
「わ、分かった……」
「ご、ごめんね……」
「いや俺こそ……」
もそもそした応答を交わしながら、ティッシュを数枚差し出す。礼奈はほっとしたような顔でそれを受け取って、「ありがと」とまた布団の中に手を戻した。
そっか。そうやな……何も着けへんでしたらどうなるかって、そりゃ……そうなるわな。
俺が出したもんが全部体内に吸収されるわけもないし……。
申し訳なさやらなんやらでそわそわして、お詫び代わりに礼奈のスマホを取って枕元に置いてやる。礼奈がありがと、と言うのを聞きつつ、見られてるのも嫌やろうとベッドの縁に座って自分のスマホをタップした。
「お父さんかな?」
「ああ――いや、朝子やな」
「朝子ちゃん?」
とりあえず拭き終えたのか、礼奈がベッドから起き上がる。コトが済んだ後ちゃんと服を着たから、シーツが汚れたことはないやろうけど。
「……服、汚れんかった?」
「うん、たぶんギリギリセーフ」
へへっ、と照れくさそうに礼奈が笑う。
あー、あーあーあー。俺の嫁は今日も最強にかわいい。
カーテンの隙間から差し込む朝日に化粧っ気のない白肌が照らされて、俺のものにした今でも純真無垢な天使みたいに輝いて見える。
……俺のものにした、てなんやエロいな。人妻になった? ――いやそれもちょっと……
「朝子ちゃん、何だって?」
甘い香りがただよって我に返ると、俺の肩越しに礼奈が手元を覗き込んでた。はっとした俺に気づいて「あ、ごめん」と頭を引っ込める。
「いや、別に見てもええけど」
「そう? ……でも、なんていうか。親しき仲にも礼儀ありっていうし……カレシの携帯見るとろくなことないって言うし……」
「カレシやなくて夫やけど」
言葉のアヤでしょ、と礼奈が苦笑する。
それは分かっとるけど一応な。
「そんな、礼奈に見られてマズいことなんてないで」
「ほんとかなぁ」
「当然やろ。浮気なんて器用なことできへんし」
スマホを繰る俺に、礼奈はそれもそうかと納得したらしい。……それで納得されんのもどうなんやろ。とは思わなくもないけど、まあ礼奈が安心してくれるんならええわ。
とりあえず、朝子の名前をタップする。
予想通り、俺と礼奈に送信されたメッセージには、こう書いてあった。
【来週、おばあちゃんの施設に面会に行こうかと思ってます。二人はもう行った? もしよければ、一緒にどうかな?】
ばあちゃんの施設には、政人たち親世代が行っただけで俺たちはまだ顔を出してへん。
次々会いに行っても落ち着かへんやろうし、俺たちも新生活が始まったばかりでばたついてたし。
朝子からは、続いてこんなメッセージも届いた。
【施設で行事があるときもあるけど、来週の土曜は何もないそうなので、ちょうどいいそうです。おばあちゃんに会った後、一緒に夕飯でも行ければと思います】
おお、ええな。
「なるほどな。さすが朝子やな」
「そうだね。おばあちゃん、会うの久しぶり」
弾んだ声でうなずいた礼奈が、はっと表情を引き締めた。
「って、来週……?」
「なんや、どうした?」
俺がまばたきすると、礼奈はがっくりと肩を落とす。
「……その日、仕事だ……」
「なんや、土曜にも研修か?」
「ううん……金曜日に配属先を言われるから、土曜日に挨拶行くことになってて……午前中は診察があるから、午後に挨拶かたがた顔出すよう言われてるんだ。月曜からすぐ仕事できるように」
あー、なるほどな。
納得した俺に、礼奈が「でも」と拳を握る。
「挨拶だけのはずだから。すぐ帰って来られると思う! 午後イチで行って、四時とか、それくらいには合流できるはず!」
「そんな、無理せんでええで。朝子はいつでも会えるやろ」
「そ、そうだけど……そうだけど」
礼奈は何か言いたげに唇を尖らせる。
「あー……と。なんなら、俺たちはまた来月に行くて言うてもええし……」
「で、でも……そうするとだいぶ先になっちゃうし、おばあちゃんもきっと栄太兄に会いたいと思うし……栄太兄だって会いたいでしょ?」
う、うん? まあ……そりゃ、そうやけど。
「ほんなら、俺だけでも朝子と顔出してくるか? あ、そや。ばあちゃんの写真でも撮ってきたら、礼奈もちょっと安心やろ」
いい案やと思うたんやけど、礼奈はやっぱり複雑そうな顔で、「うん」とうなずいた。
なんやろ? 煮え切らん返事やな。
うつむいた礼奈の顔を覗き込む。
「……礼奈?」
「うん……」
「なんか気になることあるんなら、ちゃんと言いや?」
「……うん……」
礼奈は顔を上げて、あは、と笑った。
「ううん。うん。何でもない。そうだね、それがいいと思う。栄太兄は、朝子ちゃんと一緒におばあちゃんに会いに行って。私も、間に合えば合流するし。あっ、そうだ、夕飯は間に合うと思うから、一緒したいな。朝子ちゃんと話すのも久々だし……翔太くんはどうなんだろ、来るのかな」
「さあ……あいつはマイペースやからなぁ」
急にテンポアップした礼奈の言葉にあいづちを打ちながら、朝子に返事を送った。
【おおきに。俺たちもばあちゃんの様子気になってたとこや。礼奈は仕事行ってから合流するて言うてるで】
【ほんと? 礼奈ちゃん仕事なんだ。無理しないでね! 二人に会うのも久しぶりだから、楽しみにしてる!】
【おう、こっちも楽しみにしとるで。夕飯、いい店知っとったら教えてな】
【了解! お母さんたちにも聞いて予約しとく。食べられないものとかないよね?】
俺と朝子が交わすメッセージが流れても、礼奈は珍しく、イラストを数度送っただけ。
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