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始まりの話
たつのおとしご2 森瑠の日記(1)
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はじめまして、森瑠です。
とある人間界の森で卵のまま16年間一人でいたところを偶然私の声を聞いたのだという瑠歌に祝福をもらい、こうして地上に生まれでることができました。
人である瑠歌に危機届いたなんて、なんだか不思議ですよね。
そして瑠歌の善意で、旅についていくことになりました。一緒に私の両親の足取りを探してくれるのだそうです。
私の種族ははぐれ竜として、新た知識を得る為に各地を放浪している流浪の一族なのだそうです。古代遺跡の謎を突き止めて、更なる識を高めたり自ら得た知識で新たな道具を作り出したりと、人間の言葉でいう学者肌というのでしょうか。
私の入っていた卵の殻を瑠歌はあの身体でどこでしまったのだろうと疑問に思っていると、まだ竜と人間の共存の時代に知識の竜が産み出したのだという収納魔法具を見せてもらいました。
胃の中に異次元を持つとされる、バルーンワープという魔物の落とした結晶石を加工した腕輪で野営道具など大きな荷物はその収納魔具でしまってあるのだそうです。
すでに人間にも加工工程が伝わっている為に旅をする人には必須の道具として普及しているのだそうです。一つ勉強になりました。
そして竜の卵の殻は、魔法抵抗力と強度があるためにふ化し残った殻は子供の為に残し、成長した後に防具や武器などに加工して贈るのが一般的なんだそうです。瑠歌のお知り合いで信頼出来る加工屋さんがレウィンドと言う街にいるそうなので、次の目的地はそこです。
道中、瑠歌は様々な事を私に教えてくれます。
まず自分の能力について
「森瑠、この花なんていう名前か分かる?」
森の中で咲いていた花を指差す瑠歌に私は首を横に振ることで返事をする。
「んー、じゃあ引き出し方を教えようか」
何か納得したらしい瑠歌はそう呟くと私に
「君自身が知らなくても、きっと君の血肉が知ってるよ…自身に問いかけてごらん。この花の姿をしっかり頭の中に刻んで探してごらん」
と言うのです。
言われた通りに、頭の中で瑠歌が示した花の姿を思い浮かべて意識を集中します。すると、瞬時に情報が浮かんでくるのです。
「…傷薬に良く使われる薬草の一種、月影花です…。新月の夜に綺麗な花を咲かせますが蕾の時に採取すればその根は薬として使えます」
「正解、その通りだ」
頭の中に浮かんだ知識をそのまま伝えると瑠歌は嬉しそうに笑って、花を摘む。
「それが君の一番の力だよ。森瑠の先祖が見知った知識はそのまま君の身体に宿ってる。森瑠自身が知らなくても森瑠の先祖の誰かが知っていたのなら引き出すことが可能なんだ」
瑠歌の言葉に、ならばこの身体に先祖の知識が宿るなら両親の顔も分かるのではと聞いてみたのですが
「…それは、無理…。知識じゃなくて『記憶』だからね。記憶まで引き継いだら元の持ち主の知られたく無いことだって、引き出せることになってしまうし、それに何十代と続いているとしたらその全ての記憶が、君を壊すかもしれない」
と言われてしまいました。確かに、記憶まで引き継いでしまったとしたら私という人格は必要ないかもしれません。それはまるで、ただ身体を新しいものに取り替えるようなそんな感覚になってしまうかも、と思うと少し怖いです。
自分のご先祖さまの知識を借りれる、この力だけで充分です。
私の力は、全ての人間にあるとされる4元素または光と闇の属性から外れたものなのだそうです。本当に一部しか持ち得ない特殊属性。
私の持つ『知』属性以外にも、特別な属性を持つ一族が竜や人に少ないながらいるそうです。そして、昔人間に滅ぼされて消えてしまった特殊属性の竜も。
「だから地上にいる間は君が龍人であること…その属性のことも隠さなければダメだよ」
今はこの人間達の大陸では竜族狩りは禁止されていけれど、捕らえて利用しようとする人がいるかもしれないと瑠歌は言う。
その為に自分がどの属性とはまた関係無く使えるのだという治癒の魔法と、結界の魔法を教わりました。
自分が先程花の名前を引き出したように、自分の力をどういう風に使いたいか思い浮かべて形にする。教えるだけでなく実戦でだねと、小刀で瑠歌は自分の手の甲に小さな切り傷を作って私がそれを癒す。
今から小さな火の玉投げるから結界張って守ってみて、と魔法を唱える瑠歌から結界を張って守ってみたり、本当にどきどきです。
なんとか瑠歌の実戦試験を達成するのですが、生まれてすぐの自分にとってはじめての魔法に緊張です。
「その魔法で自分を守るんだよ?大丈夫、筋はすごくいいから」
だけど、瑠歌に褒めてもらえて嬉しかったりするので頑張ろうと思います。
しかし、まだ一緒になって少しですが瑠歌には驚かせられてばかりです。私の引き出した知識からすると、瑠歌は人間族の中では『子供』の筈。
それなのに人のことも竜のことも、なんでも知っているみたいです。私の種族のことも、力の引き出し方も、そして私自身をふ化させた『祝福』の方法も。
それも全部瑠歌の持つ紋章のお陰でなのでしょうか。
瑠歌に尋ねてみたのですが
「……秘密」
と笑って、教えてもらえませんでした。
謎が一杯の瑠歌です。
いつか、教えてもらえる日がくるでしょうか。
とある人間界の森で卵のまま16年間一人でいたところを偶然私の声を聞いたのだという瑠歌に祝福をもらい、こうして地上に生まれでることができました。
人である瑠歌に危機届いたなんて、なんだか不思議ですよね。
そして瑠歌の善意で、旅についていくことになりました。一緒に私の両親の足取りを探してくれるのだそうです。
私の種族ははぐれ竜として、新た知識を得る為に各地を放浪している流浪の一族なのだそうです。古代遺跡の謎を突き止めて、更なる識を高めたり自ら得た知識で新たな道具を作り出したりと、人間の言葉でいう学者肌というのでしょうか。
私の入っていた卵の殻を瑠歌はあの身体でどこでしまったのだろうと疑問に思っていると、まだ竜と人間の共存の時代に知識の竜が産み出したのだという収納魔法具を見せてもらいました。
胃の中に異次元を持つとされる、バルーンワープという魔物の落とした結晶石を加工した腕輪で野営道具など大きな荷物はその収納魔具でしまってあるのだそうです。
すでに人間にも加工工程が伝わっている為に旅をする人には必須の道具として普及しているのだそうです。一つ勉強になりました。
そして竜の卵の殻は、魔法抵抗力と強度があるためにふ化し残った殻は子供の為に残し、成長した後に防具や武器などに加工して贈るのが一般的なんだそうです。瑠歌のお知り合いで信頼出来る加工屋さんがレウィンドと言う街にいるそうなので、次の目的地はそこです。
道中、瑠歌は様々な事を私に教えてくれます。
まず自分の能力について
「森瑠、この花なんていう名前か分かる?」
森の中で咲いていた花を指差す瑠歌に私は首を横に振ることで返事をする。
「んー、じゃあ引き出し方を教えようか」
何か納得したらしい瑠歌はそう呟くと私に
「君自身が知らなくても、きっと君の血肉が知ってるよ…自身に問いかけてごらん。この花の姿をしっかり頭の中に刻んで探してごらん」
と言うのです。
言われた通りに、頭の中で瑠歌が示した花の姿を思い浮かべて意識を集中します。すると、瞬時に情報が浮かんでくるのです。
「…傷薬に良く使われる薬草の一種、月影花です…。新月の夜に綺麗な花を咲かせますが蕾の時に採取すればその根は薬として使えます」
「正解、その通りだ」
頭の中に浮かんだ知識をそのまま伝えると瑠歌は嬉しそうに笑って、花を摘む。
「それが君の一番の力だよ。森瑠の先祖が見知った知識はそのまま君の身体に宿ってる。森瑠自身が知らなくても森瑠の先祖の誰かが知っていたのなら引き出すことが可能なんだ」
瑠歌の言葉に、ならばこの身体に先祖の知識が宿るなら両親の顔も分かるのではと聞いてみたのですが
「…それは、無理…。知識じゃなくて『記憶』だからね。記憶まで引き継いだら元の持ち主の知られたく無いことだって、引き出せることになってしまうし、それに何十代と続いているとしたらその全ての記憶が、君を壊すかもしれない」
と言われてしまいました。確かに、記憶まで引き継いでしまったとしたら私という人格は必要ないかもしれません。それはまるで、ただ身体を新しいものに取り替えるようなそんな感覚になってしまうかも、と思うと少し怖いです。
自分のご先祖さまの知識を借りれる、この力だけで充分です。
私の力は、全ての人間にあるとされる4元素または光と闇の属性から外れたものなのだそうです。本当に一部しか持ち得ない特殊属性。
私の持つ『知』属性以外にも、特別な属性を持つ一族が竜や人に少ないながらいるそうです。そして、昔人間に滅ぼされて消えてしまった特殊属性の竜も。
「だから地上にいる間は君が龍人であること…その属性のことも隠さなければダメだよ」
今はこの人間達の大陸では竜族狩りは禁止されていけれど、捕らえて利用しようとする人がいるかもしれないと瑠歌は言う。
その為に自分がどの属性とはまた関係無く使えるのだという治癒の魔法と、結界の魔法を教わりました。
自分が先程花の名前を引き出したように、自分の力をどういう風に使いたいか思い浮かべて形にする。教えるだけでなく実戦でだねと、小刀で瑠歌は自分の手の甲に小さな切り傷を作って私がそれを癒す。
今から小さな火の玉投げるから結界張って守ってみて、と魔法を唱える瑠歌から結界を張って守ってみたり、本当にどきどきです。
なんとか瑠歌の実戦試験を達成するのですが、生まれてすぐの自分にとってはじめての魔法に緊張です。
「その魔法で自分を守るんだよ?大丈夫、筋はすごくいいから」
だけど、瑠歌に褒めてもらえて嬉しかったりするので頑張ろうと思います。
しかし、まだ一緒になって少しですが瑠歌には驚かせられてばかりです。私の引き出した知識からすると、瑠歌は人間族の中では『子供』の筈。
それなのに人のことも竜のことも、なんでも知っているみたいです。私の種族のことも、力の引き出し方も、そして私自身をふ化させた『祝福』の方法も。
それも全部瑠歌の持つ紋章のお陰でなのでしょうか。
瑠歌に尋ねてみたのですが
「……秘密」
と笑って、教えてもらえませんでした。
謎が一杯の瑠歌です。
いつか、教えてもらえる日がくるでしょうか。
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