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43.恋とはなんぞや
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郡司が用事で席を外している間……誠大は窓の外の高層ビルを見下ろしていた。社長室から見える景色はいつもと変わらないはずなのに……どこかがおかしい気がした。郡司に指摘された事を思い返し誠大は一人自問自答していた。
『雫さまは、誠大さまにとって特別ではないのですか?』
誠大は窓に手を置くと爪でガラスを叩き軽やかに音を奏でた。どう考えても恋の意味が理解できない。女を抱くことはできるが思いを寄せた事がない。する必要もない……どうせ金目当ての女ばかりだった。誠大は意を決して携帯電話で木戸を呼び出した。
「おっかしいな……俺に何の用事だ? 急用か?」
恐る恐る社長室に入るとデスクに座った誠大が頬杖をつきこちらを睨んでいる。目が合った瞬間なぜ真面目に電話に出たのかと、居留守を使えば良かったと後悔した。一瞬炊飯器のスイッチを入れ忘れたと引き返そうとしたがその言い訳は前回使った事を思い出して言葉を飲み飲んだ。
「入れ」
「え、ああ、はい」
木戸は誠大と距離を取るようにソファーの端へ腰掛けた。距離を取れば武器に反応する時間はあるはずだ。木戸は一人自問自答タイムへ突入した。
やべぇな、誠大さまのあの顔はマジだな。あれか? 草抜きするの面倒くさくて庭師の許可を得ず除草剤撒いたからか? いや、それとも経費として計上した中にプロテイン箱買いしたやつを忍ばせたのがダメだったか……くそ、だからいつものフレーバーにすればいいのに何を思ったのかストロベリー味に手を出したから。なんでプレーンにしなかったんだよ、つい限定フレーバーにテンション上がっちまったから……。
木戸は顎髭に触れて考え込む。誠大は木戸を見つめ続けているが、ただ何から話せばいいか考えているだけだった。木戸には誠大の視線が睨んでいるように思えて息を呑む。
いや、待てよ……。違うな……。最近雫ちゃんからサーターアンダギーを貰ったからか? 内緒ですよって天使のような笑顔で微笑んでいたくせに誠大さまに俺を売ったのか!! くっそ……やられた……。俺を嵌めたのか。
木戸の思い当たる節は底をつかない。だが、全て罪にも問われなさそうな些細なものばかりだが木戸は至って本気だ。誠大は木戸の横に座った。逃げられないように木戸の腕を掴むと唸るように声を出した。
「木戸……恋とは、なんだ? 恋を教えろ……」
「え?……ああ、もしかしてようやく気付いたんですか?」
誠大は木戸にもバレていたのだと気づき口惜しそうだ。
「郡司に──俺は調教師の事を好きだと言われた。お前もそう思うのか?」
「うん、まぁ、そうですね。そうじゃなきゃおかしいですよ。めちゃくちゃ嫉妬してるし、めちゃくちゃ笑ってるし、恋に決まってます。俺何回もそのせいで殺されかけてます」
「嫉妬……馬鹿な、郡司と上手くいけばいいと──」
「それは例外ですよ。もし、もしですよ? もし俺が雫ちゃんを貰ってもいいんですか? 頭に浮かんだことを言ってみてくださいよ」
誠大の眉間にみるみるシワが寄る。誠大の手が木戸の腕に食い込む。どんどんと誠大の握力が増す。
「もしです、もし。おーい、もしって言いましたよね、俺。んで? どうなんです?」
「なぜか、いま脳裏に金属バッドが出てきた」
「それは……俺を殺害する凶器ですか?」
木戸は誠大の闇を感じた。どうしてこんな主人に仕えているのか不思議でしょうがない。木戸は背もたれにもたれ掛かると胸ポケットからタバコを取り出した。「悪いけど、吸わなきゃ落ち着きません」と言い火を付けた。
「分かるでしょ。他の男と雫ちゃんが手を繋いでデートしたら嫌なんでしょ? それ嫉妬! それ恋! さぁ、なんて思いました? 心を解放して!」
木戸はさながら愛とはなんぞやを謳う恋の伝道師と化した。身振り手振りを大きくして誠大に発言を促す姿は元デカでも護衛係でもない。誠大も疑問に思わず自然と言葉が出る。
「お前とデートを……。木刀を握り──」
「いや、うん……オッケ……もう言わないで下さい」
木戸は誠大の周りにある棒状のものを密かに撤去する事を心に決めた。
「誠大さまは郡司さんだから、特別な存在だから許せているのであって……本当は誰にも取られたくないんですよ。お二人がお互いを思いやる気持ちが強いのは知ってますけど……。俺が言うのもなんだけど──好きっていうのは、触れたかったり、いつも相手が何しているか考えたり、一日中その人でいっぱいになって。その人のことで怒ったり、泣いたり、苦労したり、笑ったり、そんなことが起こるのが恋ですよ、これでいいですか? こんないい歳のオッサンに聞かないでくださいよ……ああ、はっず……」
木戸が勢いよくタバコの火を消すと顔を覆い項垂れる。見え隠れする耳は真っ赤だった。木戸が本心を語ってくれていて感謝の気持ちが湧いた。木戸はいつもこうして裏表なく接してくれる数少ない人間だ。
木戸が逃げるように部屋を後にした。ドアが閉まったのを確認すると誠大は腕を組み、雫の姿を思い描いた。みるみる顔が真っ赤に染まり耳まで燃えるようだった。
「馬鹿らしいと思っていたのに……まさか、こんな日が来るとはな……」
誠大は襟元を緩めて大きく息を吐いた。
就寝の時間になり郡司が寝る前の飲み物と水瓶を盆に乗せて現れた。いつものように誠大が立ち上がるとベッドへと向かう。誠大は郡司を一瞥し咳払いをした。
「悪いが、友達を出してくれるか?──話がある」
「畏まりました。……それで? どうなさいました? まさか、今朝のすっとぼけた質問の答えの件ですか?」
郡司がベッドに腰掛けると悪そうな笑みを浮かべた。執事の郡司よりも普段の郡司は所々誠大に対して暴言が多い。誠大にとってそれは心地よかった……誠大は鼻で笑った。
「悪かった。俺は……あいつが好きだ」
「ええ、知っていますよ? 誠大さま以外皆知っていましたよ……ふふ」
郡司が思い出すように笑う。誠大は郡司の心が読めなかった。確かに郡司も雫に対して特別な感情を抱いているはずなのに……。
「郡司、あいつが好きか? 今朝の質問に答えてないだろう」
「……好きです。とても可愛らしい方だと思います。ただ……正直分かりませんね。心の中にもう一人いるので……」
「は?」
誠大はベッドから体を起こした。そんな事初耳だ。郡司に意中の人がいたなんて知らなかった。誠大の驚いた様子に郡司は美しい笑みを絶やさない。
「誰なんだ……俺によく隠して──」
「誠大さまです」
「何だと?」
「だから誠大さまがいらっしゃいます」
呆れる郡司を目の前にして誠大の頭上には疑問符が飛んでいる。言葉を理解すると誠大は首を振り胸の前で手を組んだ。咄嗟に自分の身を守ろうとする。郡司は誠大の頭の中を読み舌打ちをする。
「このボケ主人はどうしてくれましょうかね……男色な訳ありません」
郡司が凄むと誠大の後ろ襟を掴み引き上げた。美しい笑顔で顔を寄せられるとかなり迫力がある。
「私は執事です。生まれてから今まで貴方を守ること、支えになる事だけを考えてきたのです。当然でしょう。ただ……誠大さま以外にも守りたい人が出来た、という事です。正直言って、よく分からないんです……お二人が上手くいくと良いと思ってはいますが……雫さまに心をときめく自分もいますから。でも……誠大さまだから、納得できるのだと──すみません、変ですね」
「……いや、変じゃない」
木戸の言う事は本当だった。全て木戸の言うとおりだったんだな……。
実際に誠大も郡司なら雫を任せられると思っていた。雫が郡司に気があると知っても激しく嫉妬しなかった。それは郡司が相手だったからだ。郡司は誠大が唯一認めた男だった。
長い間二人の心には二人しか存在しなかった……そして今、二人の心に雫の存在が入り込んだ。
「もう分かった。ご苦労だった」
「お休みなさいませ」
郡司が盆を持ち部屋を後にしようとした。誠大は郡司に声を掛けた。
「誤解を……するな。俺はお前にアイツを諦めろと言ってない」
「はい」
「だから、そんな申し訳なさそうな顔をするな……」
誠大が郡司の頭に触れると髪をぐしゃぐしゃに掻き乱した。郡司は盆をテーブルに戻すと照れ笑いを浮かべて髪をセットし直した。幼い頃ケンカして仲直りした時の言葉を思い出していた。
「お二人とする隠れんぼが……大好きです。また誘ってください」
「ああ、分かった」
郡司の笑みにつられて誠大も微笑んだ。
『雫さまは、誠大さまにとって特別ではないのですか?』
誠大は窓に手を置くと爪でガラスを叩き軽やかに音を奏でた。どう考えても恋の意味が理解できない。女を抱くことはできるが思いを寄せた事がない。する必要もない……どうせ金目当ての女ばかりだった。誠大は意を決して携帯電話で木戸を呼び出した。
「おっかしいな……俺に何の用事だ? 急用か?」
恐る恐る社長室に入るとデスクに座った誠大が頬杖をつきこちらを睨んでいる。目が合った瞬間なぜ真面目に電話に出たのかと、居留守を使えば良かったと後悔した。一瞬炊飯器のスイッチを入れ忘れたと引き返そうとしたがその言い訳は前回使った事を思い出して言葉を飲み飲んだ。
「入れ」
「え、ああ、はい」
木戸は誠大と距離を取るようにソファーの端へ腰掛けた。距離を取れば武器に反応する時間はあるはずだ。木戸は一人自問自答タイムへ突入した。
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木戸は顎髭に触れて考え込む。誠大は木戸を見つめ続けているが、ただ何から話せばいいか考えているだけだった。木戸には誠大の視線が睨んでいるように思えて息を呑む。
いや、待てよ……。違うな……。最近雫ちゃんからサーターアンダギーを貰ったからか? 内緒ですよって天使のような笑顔で微笑んでいたくせに誠大さまに俺を売ったのか!! くっそ……やられた……。俺を嵌めたのか。
木戸の思い当たる節は底をつかない。だが、全て罪にも問われなさそうな些細なものばかりだが木戸は至って本気だ。誠大は木戸の横に座った。逃げられないように木戸の腕を掴むと唸るように声を出した。
「木戸……恋とは、なんだ? 恋を教えろ……」
「え?……ああ、もしかしてようやく気付いたんですか?」
誠大は木戸にもバレていたのだと気づき口惜しそうだ。
「郡司に──俺は調教師の事を好きだと言われた。お前もそう思うのか?」
「うん、まぁ、そうですね。そうじゃなきゃおかしいですよ。めちゃくちゃ嫉妬してるし、めちゃくちゃ笑ってるし、恋に決まってます。俺何回もそのせいで殺されかけてます」
「嫉妬……馬鹿な、郡司と上手くいけばいいと──」
「それは例外ですよ。もし、もしですよ? もし俺が雫ちゃんを貰ってもいいんですか? 頭に浮かんだことを言ってみてくださいよ」
誠大の眉間にみるみるシワが寄る。誠大の手が木戸の腕に食い込む。どんどんと誠大の握力が増す。
「もしです、もし。おーい、もしって言いましたよね、俺。んで? どうなんです?」
「なぜか、いま脳裏に金属バッドが出てきた」
「それは……俺を殺害する凶器ですか?」
木戸は誠大の闇を感じた。どうしてこんな主人に仕えているのか不思議でしょうがない。木戸は背もたれにもたれ掛かると胸ポケットからタバコを取り出した。「悪いけど、吸わなきゃ落ち着きません」と言い火を付けた。
「分かるでしょ。他の男と雫ちゃんが手を繋いでデートしたら嫌なんでしょ? それ嫉妬! それ恋! さぁ、なんて思いました? 心を解放して!」
木戸はさながら愛とはなんぞやを謳う恋の伝道師と化した。身振り手振りを大きくして誠大に発言を促す姿は元デカでも護衛係でもない。誠大も疑問に思わず自然と言葉が出る。
「お前とデートを……。木刀を握り──」
「いや、うん……オッケ……もう言わないで下さい」
木戸は誠大の周りにある棒状のものを密かに撤去する事を心に決めた。
「誠大さまは郡司さんだから、特別な存在だから許せているのであって……本当は誰にも取られたくないんですよ。お二人がお互いを思いやる気持ちが強いのは知ってますけど……。俺が言うのもなんだけど──好きっていうのは、触れたかったり、いつも相手が何しているか考えたり、一日中その人でいっぱいになって。その人のことで怒ったり、泣いたり、苦労したり、笑ったり、そんなことが起こるのが恋ですよ、これでいいですか? こんないい歳のオッサンに聞かないでくださいよ……ああ、はっず……」
木戸が勢いよくタバコの火を消すと顔を覆い項垂れる。見え隠れする耳は真っ赤だった。木戸が本心を語ってくれていて感謝の気持ちが湧いた。木戸はいつもこうして裏表なく接してくれる数少ない人間だ。
木戸が逃げるように部屋を後にした。ドアが閉まったのを確認すると誠大は腕を組み、雫の姿を思い描いた。みるみる顔が真っ赤に染まり耳まで燃えるようだった。
「馬鹿らしいと思っていたのに……まさか、こんな日が来るとはな……」
誠大は襟元を緩めて大きく息を吐いた。
就寝の時間になり郡司が寝る前の飲み物と水瓶を盆に乗せて現れた。いつものように誠大が立ち上がるとベッドへと向かう。誠大は郡司を一瞥し咳払いをした。
「悪いが、友達を出してくれるか?──話がある」
「畏まりました。……それで? どうなさいました? まさか、今朝のすっとぼけた質問の答えの件ですか?」
郡司がベッドに腰掛けると悪そうな笑みを浮かべた。執事の郡司よりも普段の郡司は所々誠大に対して暴言が多い。誠大にとってそれは心地よかった……誠大は鼻で笑った。
「悪かった。俺は……あいつが好きだ」
「ええ、知っていますよ? 誠大さま以外皆知っていましたよ……ふふ」
郡司が思い出すように笑う。誠大は郡司の心が読めなかった。確かに郡司も雫に対して特別な感情を抱いているはずなのに……。
「郡司、あいつが好きか? 今朝の質問に答えてないだろう」
「……好きです。とても可愛らしい方だと思います。ただ……正直分かりませんね。心の中にもう一人いるので……」
「は?」
誠大はベッドから体を起こした。そんな事初耳だ。郡司に意中の人がいたなんて知らなかった。誠大の驚いた様子に郡司は美しい笑みを絶やさない。
「誰なんだ……俺によく隠して──」
「誠大さまです」
「何だと?」
「だから誠大さまがいらっしゃいます」
呆れる郡司を目の前にして誠大の頭上には疑問符が飛んでいる。言葉を理解すると誠大は首を振り胸の前で手を組んだ。咄嗟に自分の身を守ろうとする。郡司は誠大の頭の中を読み舌打ちをする。
「このボケ主人はどうしてくれましょうかね……男色な訳ありません」
郡司が凄むと誠大の後ろ襟を掴み引き上げた。美しい笑顔で顔を寄せられるとかなり迫力がある。
「私は執事です。生まれてから今まで貴方を守ること、支えになる事だけを考えてきたのです。当然でしょう。ただ……誠大さま以外にも守りたい人が出来た、という事です。正直言って、よく分からないんです……お二人が上手くいくと良いと思ってはいますが……雫さまに心をときめく自分もいますから。でも……誠大さまだから、納得できるのだと──すみません、変ですね」
「……いや、変じゃない」
木戸の言う事は本当だった。全て木戸の言うとおりだったんだな……。
実際に誠大も郡司なら雫を任せられると思っていた。雫が郡司に気があると知っても激しく嫉妬しなかった。それは郡司が相手だったからだ。郡司は誠大が唯一認めた男だった。
長い間二人の心には二人しか存在しなかった……そして今、二人の心に雫の存在が入り込んだ。
「もう分かった。ご苦労だった」
「お休みなさいませ」
郡司が盆を持ち部屋を後にしようとした。誠大は郡司に声を掛けた。
「誤解を……するな。俺はお前にアイツを諦めろと言ってない」
「はい」
「だから、そんな申し訳なさそうな顔をするな……」
誠大が郡司の頭に触れると髪をぐしゃぐしゃに掻き乱した。郡司は盆をテーブルに戻すと照れ笑いを浮かべて髪をセットし直した。幼い頃ケンカして仲直りした時の言葉を思い出していた。
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