29 / 32
女の友情
しおりを挟む
凛花と行きつけのイタリアンにやって来た。ピザの食べ放題にデザートも付いている割にリーズナブルで女性に人気のお店だ。凛花はピザ好きなので二人で会うとしたらいつもこの店に来るのが定番だ。千紘は桃香とのことを凛花に話した。凛花は眉間にしわを寄せながら黙って最後まで話を聞いていた。
「いやー、まさか……だね。あの子なかなかやるわね……」
「ごめん、なんか激動で話すタイミング失っちゃった。いや、桃香ちゃんも反省して──」
凛花は溜息を吐きながら長い髪を豪快に掻き上げる。その目は怒りで揺れていた。
「千紘は優しいからそれで済んでいるんだろうけど、私だったら裏でシメるね」
「凛花ったら……グレてる時に戻ってるよ。いや、なんかさぁ……気持ち分かるんだよね」
凛花は首を横に振りマルゲリータピザを頬張る。口の中に残ったまま何か話しているが聞き取れない。千紘を指差して、恐らく「ダメダメダメ!」と言ったのだろう。
「千紘とあの子は全然似てないじゃん!」
「似てるよ、似てる。琢磨が好きだった。それに、私だって彼女持ちの琢磨が好きだった。良くないことでしょ? 人の物を欲しがっちゃ……」
千紘の言葉に凛花は反論したいが言葉が出ない。千紘は凛花の方へと席を近づけると熱々のピザを取り分けて小皿に置いてやる。
「凛花……桃香ちゃんがいなかったら……今私琢磨と付き合ってなかったかもしれない。今でも友達のままだったかも……」
「そうね、それはそうかも。百歩譲って……だけどね。でも許せないよ……ま、それは一番あの子本人が分かっている事だろうけどね。あの子が自分を省みて自分を許せるかね? まぁ、恋愛ってのは三毒だよ。嫉妬も何かを欲しがるような貪る欲も……恐ろしいね。自分を見失うなんてね……」
凛花は熱々のピザを頬張る。もう三枚は食べている。凛花は痩せの大食漢だ。
「三毒──煩悩か……。凛花、本当にありがとう。私のことを思って、何度も一緒に泣いてくれて……凛花、大好きだよ」
凛花が千紘の顔を見た後くしゃっと顔を歪ませた。一瞬で涙が溢れている。それを誤魔化すように食べ掛けのピザを口に放り込むと「このピザ辛いわね……目にくる」と言い千紘から視線を逸らした。千紘はそんな凛花の横顔をじっと見つめていた。千紘も瞬きを繰り返すと天井を仰ぎ見た。
「あ、琢磨から、聞いた? 公言の話……」
「あ、うん、聞いた。琢磨、相当傷ついたんだね……琢磨友達を大事にする人間だから……」
「そうなんだけどさ、もしかしたら琢磨の公言のトラウマが治るかもしれないよ……まだ分からないけどね」
「え? どういうこと?」
千紘が凛花に顔を近付けると凛花がその額を指先で押し返した。今はまだ話す気ではないらしい。千紘が口を尖らせる。
「あの子が居なくても、もしかしたら公言の呪縛は無くなっていたの……かもよ? 遅かれ早かれ、千紘と琢磨は結ばれていたの……かも。フフッ」
凛花は不敵な笑みを浮かべてデザートのアイスを美味しそうに口に放り込んだ。
「いやー、まさか……だね。あの子なかなかやるわね……」
「ごめん、なんか激動で話すタイミング失っちゃった。いや、桃香ちゃんも反省して──」
凛花は溜息を吐きながら長い髪を豪快に掻き上げる。その目は怒りで揺れていた。
「千紘は優しいからそれで済んでいるんだろうけど、私だったら裏でシメるね」
「凛花ったら……グレてる時に戻ってるよ。いや、なんかさぁ……気持ち分かるんだよね」
凛花は首を横に振りマルゲリータピザを頬張る。口の中に残ったまま何か話しているが聞き取れない。千紘を指差して、恐らく「ダメダメダメ!」と言ったのだろう。
「千紘とあの子は全然似てないじゃん!」
「似てるよ、似てる。琢磨が好きだった。それに、私だって彼女持ちの琢磨が好きだった。良くないことでしょ? 人の物を欲しがっちゃ……」
千紘の言葉に凛花は反論したいが言葉が出ない。千紘は凛花の方へと席を近づけると熱々のピザを取り分けて小皿に置いてやる。
「凛花……桃香ちゃんがいなかったら……今私琢磨と付き合ってなかったかもしれない。今でも友達のままだったかも……」
「そうね、それはそうかも。百歩譲って……だけどね。でも許せないよ……ま、それは一番あの子本人が分かっている事だろうけどね。あの子が自分を省みて自分を許せるかね? まぁ、恋愛ってのは三毒だよ。嫉妬も何かを欲しがるような貪る欲も……恐ろしいね。自分を見失うなんてね……」
凛花は熱々のピザを頬張る。もう三枚は食べている。凛花は痩せの大食漢だ。
「三毒──煩悩か……。凛花、本当にありがとう。私のことを思って、何度も一緒に泣いてくれて……凛花、大好きだよ」
凛花が千紘の顔を見た後くしゃっと顔を歪ませた。一瞬で涙が溢れている。それを誤魔化すように食べ掛けのピザを口に放り込むと「このピザ辛いわね……目にくる」と言い千紘から視線を逸らした。千紘はそんな凛花の横顔をじっと見つめていた。千紘も瞬きを繰り返すと天井を仰ぎ見た。
「あ、琢磨から、聞いた? 公言の話……」
「あ、うん、聞いた。琢磨、相当傷ついたんだね……琢磨友達を大事にする人間だから……」
「そうなんだけどさ、もしかしたら琢磨の公言のトラウマが治るかもしれないよ……まだ分からないけどね」
「え? どういうこと?」
千紘が凛花に顔を近付けると凛花がその額を指先で押し返した。今はまだ話す気ではないらしい。千紘が口を尖らせる。
「あの子が居なくても、もしかしたら公言の呪縛は無くなっていたの……かもよ? 遅かれ早かれ、千紘と琢磨は結ばれていたの……かも。フフッ」
凛花は不敵な笑みを浮かべてデザートのアイスを美味しそうに口に放り込んだ。
5
あなたにおすすめの小説
いい加減こっち見ろよ!〜見た目だけだとフラれ続ける私は、どうやら幼馴染の執着愛に気づいていなかったようです。〜
こころ ゆい
恋愛
保育士の八重と外科医の一生は、小学生の頃からの幼馴染。
傍から見れば、儚く清楚に見えるらしい八重は、実は外見にそぐわぬ性格をしていた。
そのせいで、見た目につられて告白してくる男性たちは、ことごとく彼女の中身を知って離れていく。
フラれる度に、やけ食いややけ酒に付き合ってもらっている一生は優しいが、懲りずに同じような恋愛を繰り返す八重に呆れている....と思っていたら?
「....八重の可愛さは、そんなもんじゃないんです。....誰も気付かなくていい。俺だけが知ってればいい」
ーーどうやら、かなり愛されていたようです?
※じれじれ・執着・溺愛 ラブストーリー。🌱
※この物語は、全て作者の想像で描かれたフィクションです。実際の場所・建物・人物とは関係ありません。🌱
嘘をつく唇に優しいキスを
松本ユミ
恋愛
いつだって私は本音を隠して嘘をつくーーー。
桜井麻里奈は優しい同期の新庄湊に恋をした。
だけど、湊には学生時代から付き合っている彼女がいることを知りショックを受ける。
麻里奈はこの恋心が叶わないなら自分の気持ちに嘘をつくからせめて同期として隣で笑い合うことだけは許してほしいと密かに思っていた。
そんなある日、湊が『結婚する』という話を聞いてしまい……。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
【短編】ちゃんと好きになる前に、終わっただけ
月下花音
恋愛
曖昧な関係を続けていたユウトとの恋は、彼のインスタ投稿によって一方的に終わりを告げた。
泣くのも違う。怒るのも違う。
ただ静かに消えよう。
そう決意してトーク履歴を消そうとした瞬間、指が滑った。
画面に表示されたのは、間の抜けたクマのスタンプ。
相手に気付かれた? 見られた?
「未練ある」って思われる!?
恐怖でブロックボタンを連打した夜。
カモメのフンより、失恋より、最後の誤爆が一番のトラウマになった女子大生の叫び。
冷徹公爵の誤解された花嫁
柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。
冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。
一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。
ひみつの姫君 ~男爵令嬢なのにくじ引きで王子のいる生徒会の役員になりました!~
らな
恋愛
男爵令嬢のリアはアルノー王国の貴族の子女が通う王立学院の1年生だ。
高位貴族しか入れない生徒会に、なぜかくじ引きで役員になることになってしまい、慌てふためいた。今年の生徒会にはアルノーの第2王子クリスだけではなく、大国リンドブルムの第2王子ジークフェルドまで在籍しているのだ。
冷徹な公爵令息のルーファスと、リアと同じくくじ引きで選ばれた優しい子爵令息のヘンドリックの5人の生徒会メンバーで繰り広げる学園ラブコメ開演!
リアには本人の知らない大きな秘密があります!
初恋だったお兄様から好きだと言われ失恋した私の出会いがあるまでの日
クロユキ
恋愛
隣に住む私より一つ年上のお兄さんは、優しくて肩まで伸ばした金色の髪の毛を結ぶその姿は王子様のようで私には初恋の人でもあった。
いつも学園が休みの日には、お茶をしてお喋りをして…勉強を教えてくれるお兄さんから好きだと言われて信じられない私は泣きながら喜んだ…でもその好きは恋人の好きではなかった……
誤字脱字がありますが、読んでもらえたら嬉しいです。
更新が不定期ですが、よろしくお願いします。
【書籍化】番の身代わり婚約者を辞めることにしたら、冷酷な龍神王太子の様子がおかしくなりました
降魔 鬼灯
恋愛
コミカライズ化決定しました。
ユリアンナは王太子ルードヴィッヒの婚約者。
幼い頃は仲良しの2人だったのに、最近では全く会話がない。
月一度の砂時計で時間を計られた義務の様なお茶会もルードヴィッヒはこちらを睨みつけるだけで、なんの会話もない。
お茶会が終わったあとに義務的に届く手紙や花束。義務的に届くドレスやアクセサリー。
しまいには「ずっと番と一緒にいたい」なんて言葉も聞いてしまって。
よし分かった、もう無理、婚約破棄しよう!
誤解から婚約破棄を申し出て自制していた番を怒らせ、執着溺愛のブーメランを食らうユリアンナの運命は?
全十話。一日2回更新 完結済
コミカライズ化に伴いタイトルを『憂鬱なお茶会〜殿下、お茶会を止めて番探しをされては?え?義務?彼女は自分が殿下の番であることを知らない。溺愛まであと半年〜』から『番の身代わり婚約者を辞めることにしたら、冷酷な龍神王太子の様子がおかしくなりました』に変更しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる