4 / 5
魔女と呼ばれた少女
3.魔女
しおりを挟む
家政婦さんが持ってきた食事を食べ、机の上にある眼鏡を取る。
色素の無い私の目は、光の屈折が上手く出来ていないのかあまりよく見えない。
まあ眼鏡をかけてもほぼ意味は無いのだが。
この眼鏡さえも両親の世間体を気にしている証となる。
愛されなさすぎにも程が有ると思うかもしれない。
でも、それが私の普通なのだ。“愛”という感情の答えさえも知らない私の普通。
眼鏡をかけてベッドに放り投げてある鞄を手に取る。
鍵が掛かっていないドアを開け、部屋を出る。
家を出るには早い時間では有るが、家族に、いや、家族が会わないためにもこの時間帯が好ましい。
まだ明け切っていない朝の時間に、白い子供が歩く様はどのように映るのだろう。
朝が早い主婦の人達が私を見てひそひそと話をする。
いい話では無いのだろう。この状況でいい話だと思えるのは頭が目出度い人くらいだ。
ふと、話し声の内容が聞こえてきた。
「妹…んは…あんなに……子なの…ねえ」
「あんな根…みたいな格……て、親御……可哀想だわ」
“妹さんはあんなにいい子なのにねえ”
“あんな根暗みたいな格好して、親御さんも可哀想だわ”
幼い頃からよく聞いてきた言葉達だ。もう何とも思わない。
「まるで、魔女みたいだわ」
そうなのかもしれない。こんな異質な容姿で、産んでくれた親を失望させて。
私は魔女なのかもしれない。
傷付くことなく、あまつさえその言葉を肯定してしまう程にその心は無感情に動いていた。
主婦の人達が見えなくなるくらい前に進み、私は白い睫毛を伏せた。
何だか今日はやけに疲れる。
はあ、と溜息を吐いたその時、眩い白い光が私を包んだ。
「え…」
目を焼いてしまいそうなその眩しさに、思い切り目を瞑る。
瞼の裏にまで届くその光が薄れていき、小鳥の声が聞こえてきたその時に私は目を開けた。
そこには、見たことも無いような野原が広がっていた。
真っ青な澄んだ空に周囲に立ち並ぶ木々。
「……ここ…どこ」
色素の無い私の目は、光の屈折が上手く出来ていないのかあまりよく見えない。
まあ眼鏡をかけてもほぼ意味は無いのだが。
この眼鏡さえも両親の世間体を気にしている証となる。
愛されなさすぎにも程が有ると思うかもしれない。
でも、それが私の普通なのだ。“愛”という感情の答えさえも知らない私の普通。
眼鏡をかけてベッドに放り投げてある鞄を手に取る。
鍵が掛かっていないドアを開け、部屋を出る。
家を出るには早い時間では有るが、家族に、いや、家族が会わないためにもこの時間帯が好ましい。
まだ明け切っていない朝の時間に、白い子供が歩く様はどのように映るのだろう。
朝が早い主婦の人達が私を見てひそひそと話をする。
いい話では無いのだろう。この状況でいい話だと思えるのは頭が目出度い人くらいだ。
ふと、話し声の内容が聞こえてきた。
「妹…んは…あんなに……子なの…ねえ」
「あんな根…みたいな格……て、親御……可哀想だわ」
“妹さんはあんなにいい子なのにねえ”
“あんな根暗みたいな格好して、親御さんも可哀想だわ”
幼い頃からよく聞いてきた言葉達だ。もう何とも思わない。
「まるで、魔女みたいだわ」
そうなのかもしれない。こんな異質な容姿で、産んでくれた親を失望させて。
私は魔女なのかもしれない。
傷付くことなく、あまつさえその言葉を肯定してしまう程にその心は無感情に動いていた。
主婦の人達が見えなくなるくらい前に進み、私は白い睫毛を伏せた。
何だか今日はやけに疲れる。
はあ、と溜息を吐いたその時、眩い白い光が私を包んだ。
「え…」
目を焼いてしまいそうなその眩しさに、思い切り目を瞑る。
瞼の裏にまで届くその光が薄れていき、小鳥の声が聞こえてきたその時に私は目を開けた。
そこには、見たことも無いような野原が広がっていた。
真っ青な澄んだ空に周囲に立ち並ぶ木々。
「……ここ…どこ」
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。
言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。
喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。
12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。
====
●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。
前作では、二人との出会い~同居を描いています。
順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。
※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる