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女の悔恨はその地へと

第一話

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 カーン…カーン…

これは…何の音…?

カーン…カーン…

ああ、この音は…釘を打つ音だ…

『…やる』

誰かの声が聞こえる。

女の人の声だ…

『……てやる…』

何て言ってるの…?

聞こえない…

カーン…カーン…カーン…

また、釘を打つ音が鳴り響く。





『やちー?』

『おきてー!』

二匹の狐の声に目を覚ます。

「ん、あれ…?」

『どうかしたのー?』

何か…夢を見ていたような…?

凄く、忘れちゃいけないものだったような気がするんだけど…

『やち?』

「え?」

『きがえなくていいの?』

着替え…?

「あ、学校!」

慌てて布団から抜け出る。

ワンピース型のセーラー服に着替え、髪を整える。

「髪長くなったなあ…」

思わず呟く私の声に狐達はぎょっとする。

『かみきっちゃだめだからね!』

『やくそくしたよね!』

「切らないってば…」

そう何度も言わなくたって良いじゃないか…

私そんなに信用されてないのかな…

「ただ、ハーフアップするには長すぎるし、邪魔だし、編み込んだりなんかしてちょっとコンパクトにしたいなって」

『うーん…』

『たしかにどあとかにはさみたくないよね』

そうなんだよね…体育座りした時とか髪が地面に付いちゃうし…何とかしたいなって思ってたんだけど

「試しに編み込んでみようかな」

そう言って時計を見る。まだ7時くらいだ。

よし、と思ってピンや髪ゴムを引き出しから出す。

前に髪を少し残して、両サイドを編み込む。勿論それじゃあまだ太ももくらいの長さになるだけだから、二つの編み込みの三つ編みを一度低くポニーテールにし、そこでシニョンのようにお団子にする。

全てお団子に詰め込みたかったが、団子が大きくなりすぎるし、頭が重くなったため、髪の毛が腰のあたりまで来るようにしてお団子を作った。

団子の下に低くポニーテールしたような感じになったがまあ見た感じ悪くないので完成とする。

『わあ、やちかーわいい!』

『そのかみがたいいね!』

「でしょ?」

私は少し鼻を鳴らしながら言った。
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