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女の悔恨はその地へと

第二話

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新しい髪型で心機一転!と言いたいところだが…

入学式の次の日から髪型変えるってなんかキリ悪いと言うかなんというか…

細かいことは気にするなと言われたらまあそこまでなんだけど…

昨日からこの髪にすれば良かったと少しだけ後悔…

「八ー千!」

「わあ!」

突然名を呼ばれてビクッとする。

私の後ろに立っていたのは百花だった。

「も、百花…びっくりさせないでよ…」

「あ、ごめんごめん…って、八千!昨日私の事置いて行ったでしょ!」

思い出してあ、と言う。

「幼馴染を置いてくって酷くないですかー?しかも忘れてたなんて」

百花が不貞不貞しく言う。

「ごめんって…今度何かで埋め合わせするからさ」

さっきとは立場が一転して今度は私が謝る。

「え、いや、良いよ。埋め合わせとか、そう言うのをして欲しいわけじゃないし」

彼女が慌てて言う。

「そう?ごめんね」

「良いの良いの!但し、今日は一緒に帰ろうね」

「分かった」

私が答えると百花は満足そうに微笑んだ。

「て言うかその髪型可愛いね、涼子さんにやってもらったの?」

「ううん、自分でやった。大体お母さんはそんな器用じゃないというか寧ろ不器用というか…」

否定すると彼女は目を瞠って言った。

「八千にそんな特技があったとは…ずっと一緒に居たのに知らなかったや…」

「言わなかったからね」

少し笑いながら言う。

「稗田 八千はやっぱりどこまでも完璧ってことか…」

不意に彼女が呟いた言葉に私は否定する。

「え、完璧なんかじゃないよ!?料理…出来ないし…」

恥じらいながら言うと百花が半眼で私を見つめてきた。

「な、何…」

「いや、八千ならなんか養ってもらえたりしそうだなって」

「えええ」

養ってって…

『やちがこまったらおれたちがなんとかしてあげるよ』

『ぼくもてつだうよー?』

「八千は人生苦労しなさそう」

「言いたい放題だな」

今度は私が半眼になる。

絶対料理出来るようになろう…!

そう思った瞬間であった。
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