【連載版】婚約破棄? 私が能無しのブスだから? ありがとうございます。これで無駄なサービスは終了致しました。

ごどめ

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第一部

5話 リフィルの想い

 野蛮そうな男たち三人に囲まれ、絶体絶命のピンチに追いやられてしまった私。

 この窮地を乗り切るにはどうすれば良いのか……と、悩み、困り果てていると。

「何をしている! その方から離れよ!」

 更に森の奥から別の男性の声が響く。

 この声は……まさか、いや、そんなはずはない。

 だって、彼がこんな所に現れるはずなんてないもの。

 でも、私が彼の声を聞き間違えるなんてありえない。

 そう思いながら、高鳴る鼓動を少しでも鎮めようと両手を胸に当てて、森の奥を見やる。

「淑女一人に下郎が三人とは……一体これはなんの真似だ?」

 そしてそこに現れたのは、私の大好きなあのコバルトブルーの髪と瞳をした、あのシュバルツ様だったのだ。

「なんだあ? テメェ!?」

「たまたま街で出くわしたセシリアが妙な事を呟いていたのが気になり、リフィルさんの馬車を追いかけてみたら、アルカード領とは正反対方面へ行くではないか。怪しいと思ったらこのザマというわけか。……ダリアスめ」

 シュバルツ様は私の身を案じてここまで駆けつけてくれたのである。

 こんな夢みたいな事があるなんて……。

 私は驚きと喜びに胸がいっぱいになった。

「俺たちのお楽しみを邪魔するやつぁ、馬に蹴られて死んじまえやぁー!」

 野盗どもは邪魔者を先に処分しようとシュバルツ様へと一斉に襲いかかる。

 しかしそれを見たシュバルツ様がすぐに右手に魔力を練成。

 そして、

「電撃よ……悪しき者どもを打ちのめせ、【サンダーボルトッ!】」

 シュバルツ様の華麗な上位電撃魔法が炸裂。

「「ぎゃぁああーーーッ!」」

 たった一つしか使えない上位魔法とはいえ、それでも上位魔法だ。雑魚の野盗などひとたまりもないだろう。

 さすがはシュバルツ様ですわッ!

 これで野盗たちも無事一掃……と思ったのに。

「きひひ、悪いなあ? 俺ぁよ、これでも雇い主サマから、結構良い物貰ってんだわ」

 二人の野盗は最初の電撃の前に倒れたが、残った一人のダミ声をした野盗だけは無傷で立ち塞がりそう言った。

 その野盗がチラッと見せつけたのは、マジックアイテムの【魔法抵抗マジックレデューサー】アミュレット。ダリアス様にしては中々気が利いている。

「そんなわけだから、テメェはさっさと死ね!」

 野盗がシュバルツ様へと剣で襲いかかる。

「……ッく!」

 電撃魔法を放った直後で反応が遅れた為か、シュバルツ様は野盗の攻撃を肩に受けてしまう。

「シュバルツ様!」

 私は野盗の隙を見て彼の傍へと走り寄る。

「大丈夫か、リフィルさん?」

 シュバルツ様はご自身の傷よりもまず第一に私を気遣ってくれた。

 ああ……夜会でもないのに彼に出会えたのは本当に嬉しい。

 でも、今はそんな事を言っている場合ではない。

「私は平気です! それよりシュバルツ様のお怪我の方が……ッ」

「なぁに、擦り傷だ。それよりキミは少し下がっていなさい」

 そう言って彼はまたあの優しい笑顔を見せて、私の前へと再び立つ。

 しかしシュバルツ様はお世辞にも剣の腕は高くない。魔法も最も得意なのは先程見せた上位電撃魔法だけ。

 対してあの野盗は魔法こそ使ってこないものの、剣の扱いに長けていそうだ。

 肩にダメージも負ってしまった今のシュバルツ様では、あの野盗を倒せないかもしれない。

 そんな彼を案じた私は、高鳴る胸を抑え、ごくんと喉を鳴らし、意を決した。

「シュバルツ様ッ!」

「なん――……ッ!?」

 私は彼の顔へと背のびし、そして強引に彼の唇を奪った。

 彼の温かい唇の感触が私に伝わる。

 顔が沸騰してしまうのではないかと思うくらいに熱い。

「リ、リフィルさん!? い、一体何を……!?」

「わ、私は貴方が好き、です……。だから、どうか、どうか、こんな所で死なないでください!」

 アレ!? 私何言ってるの!?

 自分でも恥ずかしすぎる言葉が思わず飛び出てしまった。キスだけにしようと思ったのにどうして私ったら、勢い余ってそんな告白まで……ッ!?

 はうう……キ、キスのせいで舞い上がってしまったのかしら。

「なーにイチャついてんだ! うぜぇ! そういうのはあの世でやれやーッ!」

 野盗が痺れを切らして再びシュバルツ様へと剣で襲いかかる。

「さ、下がりなさいリフィルさん! 私が足止めする! 【サンダーボルトッ!】」

 そう言ってシュバルツ様はすぐさま野盗へと向けて放った電撃。

 それは――。

「ぎぃぃぃぃぃぃぃやあああああああああーーーッ!?」

 ドゥゥゥゥンーッ! と重く響く轟音と共に、先程までの威力とは比べ物にならない程の大電撃となって、野盗を襲った。

 あまりの威力にその地面は神の落雷が落ちたが如く、抉れてしまうほどに。

 あの威力はもはや【サンダーボルト】ではなく、最上位魔法の【ライトニングボルト】にまで昇華されていた。

 そして野盗のアミュレットがパリン、と小さな音を立てて割れ、

「……ま、まほう……ていこうを……上回る、ほどの……ぐふっ」

 そう言い残し、野盗は倒れた。

「こ、これは一体……?」



 シュバルツ様は不思議そうな顔をしていたが、私はそんな事など気にも止めず、彼へと抱きついたのだった。




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