【連載版】婚約破棄? 私が能無しのブスだから? ありがとうございます。これで無駄なサービスは終了致しました。

ごどめ

文字の大きさ
21 / 70
第一部

20話 魔鉱石の濃縮核

 私たちを襲った野盗たちはものの見事に私を襲う事に成功。そしてシュバルツ様にはトドメをささず、彼の目の前で私を辱めた事で、シュバルツ様には大きな精神的ダメージを負わせてやった。

 ――という事にして、この内容を伝えにダリアス様のもとへ戻れと私は野盗に命じた。

 それを聞けばあの陰湿なダリアスでも充分満足するはずだからだ。

「それと、貴方にはこれを差し上げますわッ!」

 私はそう言って、馬車の中に入れておいた私の小さめなトランクバックから、予備の私の下着を取り出した。

「え? パンツ?」

「わ、私のお気に入りですわよ! それをちょっと破いた感じにしてダリアス様に手渡せば、彼も納得しますわよ!」

「リ、リフィルさん。いくらなんでもそこまで……」

「あーッ! シュシュ、シュバルツ様はまだ目を開けちゃダメですわぁー! ちょっと貴方、さっさとそれ、ポッケにおしまいなさい!」

 弟のルーフェンと、この何処の馬の骨とも知らない野盗なんかにパンツを見られるくらいどうでもいいですけれど、シュバルツ様だけには見られたくありませんもの。

「……俺、本当に殺されないよな?」

 ダミ声の野盗がまだ心配そうに呟いているので、

「大丈夫ですわ。もし仮に私やシュバルツ様が王都で彼らに会ったりしても、なんとなく話を合わせますから。だから貴方はさっさと帰りなさい。もし本当に困ったら、アルカードにお逃げなさい。そうしたら今度こそルーフェンが助けてくれますわよ」

「……わかったよ。あんたらに逆らっても、ダリアス坊ちゃんに逆らっても俺には勝ち目はねえ。だったら、お嬢ちゃんの言う通りにするわ。なんか……すまなかったな」

 急に従順になったダミ声の男は、ペコリ、と私たちに頭を下げた。

「おう。もう二度と何があってもリフィル姉様を襲うなよ。次は本当に絶対殺すからな」

「う、わ、わかってる。けど、その……お、俺がやばかったら、あんたの所に頼ってもいいんだよな……?」

「……リフィル姉様が言ったんじゃ仕方ねえからな。ダリアスの所へ行って、上手くいかなきゃ逃げてこい。匿ってやる」

「し、信じるからな? 絶対だからな!?」

「あーわかったわかった。さっさと帰れッ!」

「あ、俺の名前、ドノヴァンっていうんだ。ドノヴァン・グース。覚えといてくれよなッ! 世話になるかもしれねえし!」

 そう言って野盗の男は去り際に名前を告げ、そして私のパンツをギュッと握りしめ、王都へと帰って行った。

「……しかし本当にダリアスの奴に何もしなくても良いのか? また何か嫌がらせをしてくるかもしれねぇぞ?」

 んもう、ルーフェンったらまた同じ事を言い始めましたわ。

「大丈夫ですの。彼は放っておいても、近い将来それどころじゃなくなるんですわ」

「それどころじゃなくなる? ってのは一体……」

 私の【魔力提供マジックサーバー】の効力が尽きて、魔力キャパシティも本来の状態に戻り、覚えた上位魔法もほとんど使えなくなる、という事なのだが、それは口にできない。

「……私、内緒にしていたんですけれど、実は星占いに最近ハマっていたんですの。その占い結果にそう出ていたんですわ」

「う、占いぃー……?」

「リフィルさん、いくらなんでもそれは希望的観測過ぎるのでは……」

 ルーフェンもシュバルツ様も少し馬鹿にした感じで私を見るが、もう他に言いようがなかったので、私は強引にそれで納得させた。

 とにかく何もしなくていいのだ。

 私の予想が正しければ、あと一ヶ月もすればダリアス様はまた落ちこぼれ魔導師に戻るはずなのだから。

「はあ。なんだか疲れて喉が渇きましたわ……」

「あ、それならリフィルさん、ルーフェンくん。これでよければ」

 そう言ってシュバルツ様は黄色い液体が入った蓋付きの瓶を私たちに手渡した。

「お、こりゃあハニーウォーターだな。シュバルツ殿、なんでこんな物を?」

「リフィルさんが以前、夜会で好きだと言っていたので多めに買い置きしておいたのだ。良かったらそれを飲んでくれ。私も頂くとする」

「ありがとうございますわ! 私、喉がカラッカラでしたから助かりましたわぁ」

「さすがシュバルツ殿だ。気が利くぜ」

 私たちはお言葉に甘え、ハニーウォーターで喉を潤す。

「それよりルーフェン。貴方、一体なんでこんな所にいたんですの?」

「ああ。俺が孤児院から戻ったら、ルーラの奴が教えてくれたんだ。姉様が彼氏とデートだって。きっと明日の朝まで戻らないだろうから、用があるなら今のうちに追いかけた方が良いって言われてな。俊足の魔法で追いかけて来たってわけだ」

「「ぶーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」」

 私とシュバルツ様が同時にハニーウォーターを吹き出した。

「ど、どどど、どーゆー意味なんですのそれは!? そ、それにまだシュバルツ様は彼氏とかではなくて……ッ」

「ゲホッゲホッ……! んん! そ、そうだルーフェン殿。私とリフィルさんはまだお付き合いしているわけではなくてだな……」

「あん? そうなのか? おっかしいな、ルーラの奴は姉様ったらすっごいイケメン貴族令息にメロメロで、きっと今晩は熱い夜を過ごすはずだからとかなんとか言ってたんだが……」

 私とシュバルツ様は同時に顔を真っ赤にして、その後もしばらくわけのわからない言い訳を繰り返した。

「まあそれはともかく、姉様に渡しておきたい物があったんだ」

 そう言ってルーフェンは胸ポケットから小さな青白い小石のような物を取り出して、私へと手渡した。

「これはなんですの……?」

「そいつぁ世にも珍しい希少石、魔鉱石まこうせき濃縮核のうしゅくかくだ」

「なんですの、それ?」

「コイツぁな、探そうと思っても見つかる物じゃねえ。世界にどれだけあるか知らねえが、滅多にお目に掛かれる代物じゃねえんだが、偶然孤児院のガキからもらったんだ。リフィル姉様、いまだに上位魔法はひとつも覚えられねえんだろ? だったらそれを飲み込んでみろ」

「え、ええ……? この小石を飲むんですの……?」

「そりゃあ魔鉱石って言ってるが厳密には石じゃねえ。魔力の濃縮された結晶みたいなもんだ。そいつを体内に取り込むと、爆発的に潜在魔力が底上げされる。魔力キャパシティも大きく上がるから姉様でも絶対に上位魔法を覚えられはずだぜ」

「ルーフェン……貴方、これを私に届ける為に、ここまで追いかけてきてくださったの?」

「そうだよ。だって姉様、まだ【宝石変換ジュエルコンバータ】できねえんだろ? 王都でパーティやらに出る時は貴族婦人の必須魔法みたいなもんだし、これでそれを覚えられればリフィル姉様も肩身が狭い思いをしなくて済むだろ」

「ルーフェン……ありがとうございますわ」

「ま、むしろそいつのおかげで姉様やシュバルツ殿を助けられたから、一石二鳥って奴だな」

 シュバルツ様も頷いて、

「本当に助かったルーフェン殿。ありがとう。また後日、貴殿のお屋敷へ礼にお邪魔してもよろしいだろうか?」

「何言ってんだシュバルツ殿。あんたは姉様の彼氏なんだから、遠慮なくいつでも遊びきてくれ」

 ルーフェンったら、またそんな事をッ!

 シュバルツ様もルーフェンの言葉に「自分なんかではリフィルさんには不釣り合いで」とか否定しなくても良いのに。


 こんな騒ぎがあったものの、私たちはようやくパレードに遊びに行く事ができたのだった。


感想 3

あなたにおすすめの小説

外れ伯爵家の三女、領地で無双する

森のカフェしっぽっぽ
ファンタジー
十三歳の少女アイリス・アルベールは、人生を決める「祝福の儀」で“ゴミスキル”と蔑まれる《アイテムボックス》を授かってしまう。戦えず、稼げず、価値もない――そう断じた家族は、彼女を役立たずとして家から追放する。さらに、優秀なスキルであれば貴族に売り渡すつもりだったという冷酷な真実まで明かされ、アイリスはすべてを失う。 だが絶望の中、彼女は気付く。この世界が、自分がかつてやり込んだVRMMORPG『メデア』そのものであることに。 そして思い出す―― 《アイテムボックス》には、ある“致命的なバグ”が存在することを。 市場で偶然を装いながらアイテムを出し入れし、タイミングをずらすことで発生する“複製バグ”。それは、あらゆる物資を無限に増やす禁断の裏技だった。 食料も、装備も、資金も――すべてが無限。 最底辺から一転、誰にも真似できないチートを手にしたアイリスは、冒険者として歩み始める。だがその力はやがて、経済を歪め、権力者の目に留まり、そして世界の“仕様そのもの”に干渉していくことになる。 これは―― ゴミと呼ばれた少女が、“世界の裏側”を掌握する物語。

無能勇者の黙示録~勝手に召喚されて勝手に追放されたので勝手に旅に出ます~

枯井戸
ファンタジー
力も強くない、足も速くない、魔法も使えないし、頭も大してよくない、どこにでもいるちょっとオタク趣味の主人公・東雲真緒が白雉国に勇者として転生する。 同期の勇者はそれぞれ力が強かったり、魔法が使えたり、回復ができたりと各々の才能を開花させ頭角を現していくのだが、真緒に与えられた才能は異世界転生モノでよく見る〝ステータスオープン〟のみだった。 仲間には使えないと蔑まれ、ギルドには落第勇者の烙印を押され、現地人には殺害されかけ、挙句の果てに大事な人を亡くし、見ず知らずの土地の最底辺で生きていくことになった真緒だったが、彼女はまだ〝ステータスオープン〟の可能性に気づいていないだけだった。 ───────────── ※投稿時間は多少前後しますが毎日投稿は続けていくつもりです。 ※タイトルは予告なしにガラリと変わる場合があるのでご了承ください。 ※表紙は現在の主人公のイメージ図です。もしまた別の国へ行く場合、彼女の装いも変化するかもしれません。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

愚かな者たちは国を滅ぼす【完結】

春の小径
ファンタジー
婚約破棄から始まる国の崩壊 『知らなかったから許される』なんて思わないでください。 それ自体、罪ですよ。 ⭐︎他社でも公開します