【連載版】婚約破棄? 私が能無しのブスだから? ありがとうございます。これで無駄なサービスは終了致しました。

ごどめ

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第一部

36話 英傑選前夜にて

 ――私とシュバルツ様が同じ屋根の下で共に過ごすようになってから、しばらくの日々が流れた。

 彼との生活は、とても幸せに満ち溢れていた。

 彼のご両親とは最初からウマが合っていたのもあり、私が住まわせてもらってからも、実に良好な関係を続けられている。

 そしてシュバルツ様がお家にいらっしゃる時で、お暇な時は私といつも一緒にいて、私に愛を囁いてくれた。

 けれどシュバルツ様は成人している事もあり、基本的に平日の昼間はお仕事をしている。

 彼の今のお仕事は、国の見習い衛兵だ。

 とは言ってもこれはあくまで彼の社会勉強の為らしく、ずっと続けるつもりではないらしい。

 英傑選の本選に備えて、その見習い兵としてのお仕事も今は休暇をもらい、ここ最近シュバルツ様はずっと魔法と剣術の鍛錬に勤しんでいる。

 ちなみに英傑選の適正審査に関して、シュバルツ様はあっさりと通過していた。

 剣術はギリギリの腕前としてだったが、魔力に関しては圧倒的な実力を見せつけて合格したそうだ。

「自分でも信じられない。リフィルさんと共に過ごすようになってから、更に日々私の魔力は向上し続けている」

 と、言っていたので、私の【魔力提供マジックサーバー】は順調に彼を強化しているとわかった。

 英傑選の本選まで、残りあと数日。

 私は彼の英傑選に備えて、日々可能な限りシュバルツ様のお傍にいるように心掛けた。

 あまりにいつも一緒に居すぎたせいで、いまや周りからはシュバルツ様と私はすでに夫婦だと思われてるらしい。

 私たちはすでに婚約状態にはなっている。シュバルツ様が私とお付き合いを始めてからすぐに、婚約を申し出てくれたのであっさりと私も頷いたのだ。

 年齢制限がもどかしい。正直言って、私は今すぐにでも彼の妻になりたい。そのくらいに彼を愛している。

 ちなみに私たちはまだ大人の階段を登ってはいない。

 私としてはいつ、いかなる時にでもこの貞操を彼へ捧げても構わないのだが、シュバルツ様が頑なに私が成人するまでは、と待ってくれているのだ。

 そしてなんの偶然か、私の成人する日まで残すところあと数日であり、その私の誕生日はなんと英傑選のその日でもあった。

 英傑選がその日でなければ、すぐにでもシュバルツ様と式を挙げたかったが、こればかりは仕方がない。

 私たちは英傑選が無事終わったら挙式をする事に決めた。



        ●○●○●



 ――そしていよいよ、英傑選の前夜となる。

「リフィルさん、入っていいかい?」

 コンコン、とノック音。

 お風呂を終えて、私が自室で彼の明日の事を案じていると、ちょうどそのタイミングでシュバルツ様が部屋に訪れてきてくれた。

「はい、どうぞ!」

 彼は私の合図を聞いてから、ドアを開いて部屋の中へと入ってきた。

「シュバルツ様、明日の事でございますか?」

「うむ、そうなんだ」

 シュバルツ様はとても繊細な方だ。共に過ごした短い期間でも私はそれを充分に理解している。

 明日の英傑選に気後れしているのだろう。

 だから今晩は必ず私の部屋に訪ねてくると予想していたが、案の定であった。

「ふふ」

 私はその予測が見事に的中した事が嬉しくて、思わず小さく笑う。

「ん? どうかしたかい?」

「あ、いえ。それよりシュバルツ様、調子の方はいかがですか?」

「ああ、それならば体調も問題ないし、魔力の方もバッチリだよ」

 そう言って笑うシュバルツ様の魔力はいまや、とてつもない事になっている。

 まず上位魔法は既にルーフェンと並ぶ20種類以上をも契約し、そのうちのいくつかは鍛錬によって最上位魔法へと進化させてあるのだから。

「ただいかんせん、少々緊張しすぎてしまって、中々眠れそうにないんだ」

「だから私のところへお話しに来てくださったのですね?」

「うむ。め、迷惑だったかな?」

「そんなわけ、あると思います?」

「……リフィルさんには敵わないな。もうすっかり私の妻のようだ」

「私はそのつもりですわ! もしシュバルツ様がお望みなら、私は今すぐにでも貴方様とここで……」

「いや、駄目だリフィルさん! まだキミは成人していないッ」

 もう……相変わらずお堅いですわね。

 私の大好きな人に抱かれたい気持ちも多少は汲み取ってくださってもよろしいと思いますけれど。

 それにできるなら、今晩は初夜にもってこいだと私は考えていた。

 もし身体を重ねられたなら、きっと彼へ送り続けている【魔力提供マジックサーバー】の効果は最大限にまで発揮されると考えられるからだ。

 ただ、こうまで頑なだと少し心配になってしまう。

 シュバルツ様は本当は私を抱きたくはないのかもしれない、と。

 彼が私を愛してくださっているのはよくわかる。けれど私はいまだに自分が可愛いと思えない。

 だから、シュバルツ様は実は私の顔を見ても性欲がそそられないのではないか、なんて不安も実はあったりする。

 いつもならそれをそう思うだけに留めていた。

 けれど、今日は。

「……シュバルツ様。私も明日には成人ですわ」

「そうだね。キミと出会ってから、なんだかあっという間だったよ」

「ええ、そうですわね。私は貴方と夜会で出会ったあの日から、ずっとお慕い申しております」

「それは私もだよ、リフィルさん。私にとってキミより素敵な女性は他に存在し得ない」

「本当ですの?」

「本当だよ。いつも言っているだろう?」

 もちろん信じてる。

 だけど……。


「……前にシュバルツ様に聞きそびれた質問がひとつだけ、あります」


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