39 / 70
第一部
38話 ルーフェンの評価
――翌朝。
「う……ん」
夢のような一夜が明け、眩しい日差しが部屋に差し込む。
頭がボーっとしてて上手く回らない。
アレ、今日はなんの日だっけ。
私がそんな風に呆けていると。
「んん……おはよう、リフィルさん」
「あ、おはようございますわシュバ……」
!?
……。
!?
え?
あれ? なんでシュバルツ様が私のベッドに?
ってアレッ!? なんで私、お布団の中でこんな格好!?
「……は、わ」
慌てて頭まで布団を被る。
そうだ、思い出した。
私は昨晩……と言っても今日、彼とついに……。
望んでいた彼と結ばれたんだった。
それを思い返し、再び顔を真っ赤にする。
色々恥ずかしい発言や行動を思い返し、更に恥ずかしさで体を身悶えさせた。
「リフィルさん、その……身体は大丈夫、かい?」
「……ふぁい、大丈夫れす」
布団の中で顔を埋めて私は答える。
恥ずかしい。
でも、凄く嬉しい。
「リフィルさん、その、なんていうか、ありがとう」
「……ふえ?」
「私は正直、昨日まで全然勇気が持てなかったんだ。魔力は爆発的に増幅し、魔導師としての能力は甚だしいほどに開花しているとは言え、それでも自分に自信が持てなかった。それをキミが……補ってくれた」
「シュバルツ様……」
「リフィルさんを愛している。そしてキミからもらったこの愛と力、私は今日全力を以ってして、存分に奮ってくるよ」
今日は英傑選の日。
そうだ。
私の【魔力提供】はおそらくかつてないほどのエネルギーを彼へと注いだはず。
そんな彼なら、きっと――。
「はい! シュバルツ様なら、絶対に素晴らしい成績を残せますわッ!」
私は布団から顔だけ出して、彼へと笑顔で告げた。
●○●○●
――そして時刻は昼。
エリシオン王宮の宮廷前広場にて、英傑選に出場する選手たちが集められた。
「これが英傑選……。凄い人ですわね……」
私は広場内の柵で仕切られた外側、観客用スペースから、彼を見守り応援すべく訪れていた。
「リフィル姉様ーーーッ!」
人混みの中、付近で私の名を呼ぶ声がする。
「……っとと、すげぇ人だな。よお、姉様。やっと見つけたぜ」
「ルーラ!? ルーフェン!? 貴方たち、どうしんですの!?」
いつの間にか、ルーラとルーフェンもこの会場に訪れていた事に驚く。
「どうしたもこうしたも、シュバルツ兄様が英傑選に出るって日に、来ないわけがないだろ。俺たちだって、家族なんだし」
「そうなのですッ! ルーラもシュバルツ兄様の活躍が見たいのですッ!」
「さすがにお父様とお母様は置いてきたけどな」
ルーフェンとルーラもシュバルツ様を気にかけてくれているのだとわかり、私はなんだか嬉しくなった。
「で、今回の英傑選はどんな内容なんだ?」
なんでも知っているルーフェンが珍しく私に尋ねてきた。
「あら? 貴方が知らないなんて珍しいですわね?」
「調べてくる暇がなくてな」
「ふふーん。じゃあ今回は姉様から色々教えて差し上げますわ!」
そう言って久しぶりに優秀な弟にモノを教えられる事に喜びを覚えた私は、鼻息を荒くしてルーフェンとルーラに今回の英傑選について解説をした。
今回集められた選手は総勢三百人ほど。
まずはその三百人で一斉同時に第一試練を受ける。
その内容は、王が指定した魔物を時間制限以内にたくさん仕留めて来ること。
そしてその魔物のコアを入手してくる事だ。
この世の魔物たちには必ずコアというモノが存在する。私たち人間で言えば心臓みたいなモノだが、そのコアは魔物ごとに色の違う小さな宝石のような形状をしている。
制限時間以内にそのコアをどれだけ集めてくるかが勝敗の分かれ目となる。
そこで一気に選手を上位三十六名まで絞る。
そして第二試練。
第二試練では、三名一組でパーティを組まされ、チームごとに争い合う。
そしてそれはバトルロワイヤル形式での戦いとなり、指定されたフィールド内で、剣術や魔法を駆使し戦い抜き、そこで相手を戦闘不能にさせるか降参させていく。
もちろんこの時、相手を殺してしまうと規約違反で反則負けとなり強制リタイヤとさせられる。
これを全十二チームで行ない、最後の三チームになるまで時間制限なく続けられる。
そして最終試練。
残された九名は、エリシオン王宮、宮殿内にある闘技場エリアで一対一の試合を行なう勝ち抜き戦となる。
ここで上位三名までが『英傑』の称号と報酬を授与されるのである。
「はーん、なるほどな。しっかし、これ、いくら殺しは駄目だって言っても、人死には必ず出ちまうんじゃねえのか?」
「そうなんですの。毎回必ず犠牲者が出るらしいですわ。だから私、シュバルツ様が心配で……」
私の言葉を聞いて、ぽんっとルーフェンが私の肩を叩く。
「安心しろ、姉様。俺はシュバルツ兄様とこの前も一度お会いしたんだがな、彼はとんでもねえ事になってるぜ?」
「え? 一体いつ会っていたんですの?」
「確か五日くらい前だったかな。シュバルツ兄様が俺の屋敷に訪ねてきたんだよ。聞きたい事があるってな」
「聞きたい……こと?」
「……ま、そりゃ姉様は気にすんな。んで、その時に少しシュバルツ殿と手合わせしてみたんだよ。『覚醒』した彼の魔法力がどんな感じになってるか確かめたかったからな」
「そ、それでシュバルツ様はどうなんですの……?」
「そうだな、一言で言うなら……」
「言うなら……?」
私がごくり、と喉を鳴らして尋ねると、ルーフェンはニヤっと笑い、
「バケモン、だな」
「う……ん」
夢のような一夜が明け、眩しい日差しが部屋に差し込む。
頭がボーっとしてて上手く回らない。
アレ、今日はなんの日だっけ。
私がそんな風に呆けていると。
「んん……おはよう、リフィルさん」
「あ、おはようございますわシュバ……」
!?
……。
!?
え?
あれ? なんでシュバルツ様が私のベッドに?
ってアレッ!? なんで私、お布団の中でこんな格好!?
「……は、わ」
慌てて頭まで布団を被る。
そうだ、思い出した。
私は昨晩……と言っても今日、彼とついに……。
望んでいた彼と結ばれたんだった。
それを思い返し、再び顔を真っ赤にする。
色々恥ずかしい発言や行動を思い返し、更に恥ずかしさで体を身悶えさせた。
「リフィルさん、その……身体は大丈夫、かい?」
「……ふぁい、大丈夫れす」
布団の中で顔を埋めて私は答える。
恥ずかしい。
でも、凄く嬉しい。
「リフィルさん、その、なんていうか、ありがとう」
「……ふえ?」
「私は正直、昨日まで全然勇気が持てなかったんだ。魔力は爆発的に増幅し、魔導師としての能力は甚だしいほどに開花しているとは言え、それでも自分に自信が持てなかった。それをキミが……補ってくれた」
「シュバルツ様……」
「リフィルさんを愛している。そしてキミからもらったこの愛と力、私は今日全力を以ってして、存分に奮ってくるよ」
今日は英傑選の日。
そうだ。
私の【魔力提供】はおそらくかつてないほどのエネルギーを彼へと注いだはず。
そんな彼なら、きっと――。
「はい! シュバルツ様なら、絶対に素晴らしい成績を残せますわッ!」
私は布団から顔だけ出して、彼へと笑顔で告げた。
●○●○●
――そして時刻は昼。
エリシオン王宮の宮廷前広場にて、英傑選に出場する選手たちが集められた。
「これが英傑選……。凄い人ですわね……」
私は広場内の柵で仕切られた外側、観客用スペースから、彼を見守り応援すべく訪れていた。
「リフィル姉様ーーーッ!」
人混みの中、付近で私の名を呼ぶ声がする。
「……っとと、すげぇ人だな。よお、姉様。やっと見つけたぜ」
「ルーラ!? ルーフェン!? 貴方たち、どうしんですの!?」
いつの間にか、ルーラとルーフェンもこの会場に訪れていた事に驚く。
「どうしたもこうしたも、シュバルツ兄様が英傑選に出るって日に、来ないわけがないだろ。俺たちだって、家族なんだし」
「そうなのですッ! ルーラもシュバルツ兄様の活躍が見たいのですッ!」
「さすがにお父様とお母様は置いてきたけどな」
ルーフェンとルーラもシュバルツ様を気にかけてくれているのだとわかり、私はなんだか嬉しくなった。
「で、今回の英傑選はどんな内容なんだ?」
なんでも知っているルーフェンが珍しく私に尋ねてきた。
「あら? 貴方が知らないなんて珍しいですわね?」
「調べてくる暇がなくてな」
「ふふーん。じゃあ今回は姉様から色々教えて差し上げますわ!」
そう言って久しぶりに優秀な弟にモノを教えられる事に喜びを覚えた私は、鼻息を荒くしてルーフェンとルーラに今回の英傑選について解説をした。
今回集められた選手は総勢三百人ほど。
まずはその三百人で一斉同時に第一試練を受ける。
その内容は、王が指定した魔物を時間制限以内にたくさん仕留めて来ること。
そしてその魔物のコアを入手してくる事だ。
この世の魔物たちには必ずコアというモノが存在する。私たち人間で言えば心臓みたいなモノだが、そのコアは魔物ごとに色の違う小さな宝石のような形状をしている。
制限時間以内にそのコアをどれだけ集めてくるかが勝敗の分かれ目となる。
そこで一気に選手を上位三十六名まで絞る。
そして第二試練。
第二試練では、三名一組でパーティを組まされ、チームごとに争い合う。
そしてそれはバトルロワイヤル形式での戦いとなり、指定されたフィールド内で、剣術や魔法を駆使し戦い抜き、そこで相手を戦闘不能にさせるか降参させていく。
もちろんこの時、相手を殺してしまうと規約違反で反則負けとなり強制リタイヤとさせられる。
これを全十二チームで行ない、最後の三チームになるまで時間制限なく続けられる。
そして最終試練。
残された九名は、エリシオン王宮、宮殿内にある闘技場エリアで一対一の試合を行なう勝ち抜き戦となる。
ここで上位三名までが『英傑』の称号と報酬を授与されるのである。
「はーん、なるほどな。しっかし、これ、いくら殺しは駄目だって言っても、人死には必ず出ちまうんじゃねえのか?」
「そうなんですの。毎回必ず犠牲者が出るらしいですわ。だから私、シュバルツ様が心配で……」
私の言葉を聞いて、ぽんっとルーフェンが私の肩を叩く。
「安心しろ、姉様。俺はシュバルツ兄様とこの前も一度お会いしたんだがな、彼はとんでもねえ事になってるぜ?」
「え? 一体いつ会っていたんですの?」
「確か五日くらい前だったかな。シュバルツ兄様が俺の屋敷に訪ねてきたんだよ。聞きたい事があるってな」
「聞きたい……こと?」
「……ま、そりゃ姉様は気にすんな。んで、その時に少しシュバルツ殿と手合わせしてみたんだよ。『覚醒』した彼の魔法力がどんな感じになってるか確かめたかったからな」
「そ、それでシュバルツ様はどうなんですの……?」
「そうだな、一言で言うなら……」
「言うなら……?」
私がごくり、と喉を鳴らして尋ねると、ルーフェンはニヤっと笑い、
「バケモン、だな」
あなたにおすすめの小説
外れ伯爵家の三女、領地で無双する
森のカフェしっぽっぽ
ファンタジー
十三歳の少女アイリス・アルベールは、人生を決める「祝福の儀」で“ゴミスキル”と蔑まれる《アイテムボックス》を授かってしまう。戦えず、稼げず、価値もない――そう断じた家族は、彼女を役立たずとして家から追放する。さらに、優秀なスキルであれば貴族に売り渡すつもりだったという冷酷な真実まで明かされ、アイリスはすべてを失う。
だが絶望の中、彼女は気付く。この世界が、自分がかつてやり込んだVRMMORPG『メデア』そのものであることに。
そして思い出す――
《アイテムボックス》には、ある“致命的なバグ”が存在することを。
市場で偶然を装いながらアイテムを出し入れし、タイミングをずらすことで発生する“複製バグ”。それは、あらゆる物資を無限に増やす禁断の裏技だった。
食料も、装備も、資金も――すべてが無限。
最底辺から一転、誰にも真似できないチートを手にしたアイリスは、冒険者として歩み始める。だがその力はやがて、経済を歪め、権力者の目に留まり、そして世界の“仕様そのもの”に干渉していくことになる。
これは――
ゴミと呼ばれた少女が、“世界の裏側”を掌握する物語。
無能勇者の黙示録~勝手に召喚されて勝手に追放されたので勝手に旅に出ます~
枯井戸
ファンタジー
力も強くない、足も速くない、魔法も使えないし、頭も大してよくない、どこにでもいるちょっとオタク趣味の主人公・東雲真緒が白雉国に勇者として転生する。
同期の勇者はそれぞれ力が強かったり、魔法が使えたり、回復ができたりと各々の才能を開花させ頭角を現していくのだが、真緒に与えられた才能は異世界転生モノでよく見る〝ステータスオープン〟のみだった。
仲間には使えないと蔑まれ、ギルドには落第勇者の烙印を押され、現地人には殺害されかけ、挙句の果てに大事な人を亡くし、見ず知らずの土地の最底辺で生きていくことになった真緒だったが、彼女はまだ〝ステータスオープン〟の可能性に気づいていないだけだった。
─────────────
※投稿時間は多少前後しますが毎日投稿は続けていくつもりです。
※タイトルは予告なしにガラリと変わる場合があるのでご了承ください。
※表紙は現在の主人公のイメージ図です。もしまた別の国へ行く場合、彼女の装いも変化するかもしれません。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。
魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした
たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。
死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中